「働き盛りの30~40代、みんなはどれくらい、何に投資しているの?【前半】」では、30~40代の資産運用の実態に関する世の中のさまざまな調査をLIFULL HOME’S不動産投資編集部が独自にまとめてみました。
投資の実態や関心度の高さがだいぶ明らかになったのではないでしょうか。
30~40代の4~5割が資産運用中という実態が判明したものの、その内訳は定期預金・積み立て型保険などローリスク・ローリターン商品の占める割合が多いのが現状です。インフレ対策や効率的な資産形成という視点で見ると、やはり「貯蓄から投資へ」の意識が重要になってくるでしょう。
そこで今記事【後半】では、まだ資産運用に取り組んでいない人や、これから本格的に資産運用したいと考えている方へ、30~40代で早期に資産運用を始めるメリットについて解説します。30~40代で始めるならぜひ参考にしたい投資商品も併せてご紹介しましょう。
30~40代で資産運用を始めるメリット
「30代40代で投資なんてまだ早い」そう思っている方、多いのではないでしょうか。しかし資産運用は若いうちに始めれば始めるほど有利で、多くのメリットがあるといわれています。
30~40代の若いうちに資産運用を始めることにはどのようなメリットがあるのか、見ていきましょう。
老後に備える時間がある
30~40代の人にとって、老後はまだ20~30年後のことです。老後、実際に資金が必要になる時までの投資期間が長ければ長いほど時間を味方につけることができ、効率的な資産形成ができます。
また長期投資はリスク分散の重要なポイントです。短期間で見るとマイナスからプラスの値動きが大きい商品であっても、10年20年と長期保有することでその値幅が小さくなる傾向にあります。
毎月一定額を定期的に購入する積み立てタイプの投資商品であれば、長期運用することでなおさら元本割れのリスクを回避できる可能性が高いといえるでしょう。
小額からでも資産形成が可能
老後に目標とする資産額が同じ場合、30代で始めるのと50代で始めるのとでは、毎月投資に回さなければならない金額が変わってきます。
資産運用のスタートが早ければ早いほど毎月の投資額が小額でも資産形成が可能です。
大きな支出となるライフイベントが控えている
30~40代は、結婚・出産・マイホーム購入・子供の進学などお金のかかるライフイベントが控えている年代です。老後だけでなく、こうした近々控えている支出に対しても資産形成を進めておく必要があるでしょう。
こうした近々控えている出費には、年金保険やiDeCoのような長期的に解約できない運用方法ではなく、NISAや投資信託などいつでも引き出せる種類の運用をするのがお勧めです。
主なライフイベントにかかる平均費用について詳しくは以下の記事を参考にしてください。
【貯金の仕方おすすめ3選】人生の大イベントに必要な貯金額の平均は?
収入の安定が投資の安定につながる
30~40代は比較的収入が安定しており、今後さらなる収入アップが期待できる年代です。
リスクを避けるための長期投資を実現するには、定期的かつ安定的に投資資金を準備することが重要になります。収入が不安定で短期解約する可能性が高いと、元本割れなどのリスク率が上がり、利益が利益を生む複利効果がなくなってしまうからです。
少額で始めて、収入がアップし余裕が出てきたら途中から投資額を増やすこともできます。
30~40代で始める、ぜひ参考にしたい資産運用8選
30~40代で始める資産運用にはさまざまなメリットがあることが分かりました。
では、具体的にどのような種類の資産運用が向いているのでしょうか?30~40代にお勧めの投資先を8つご紹介します。
iDeCo(イデコ)
iDeCoとは、将来もらえる年金額をもっと上乗せしたい人が任意で加入する私的年金制度です。国が主導する税制優遇措置であり、掛け金の全額所得控除や運用益非課税などを適用することができます。
原則60歳まで引き出せないため、直近のライフイベント用の資産形成には向いていません。あくまで老後の資金形成目的で利用するとよいでしょう。
iDeCoについて詳しくは以下の記事を参考にしてください。
iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットやおすすめの運用方法
iDeCoは本当にデメリットしかない!? iDeCoがお勧めの人・iDeCoに向かない人
NISA(ニーサ)
iDeCoと同様、国が国民の投資活動を後押しするために設定した税制優遇措置です。NISA口座内で購入した商品から得られた運用益は非課税となります。
非課税期間5年で年間非課税枠120万円の一般NISAと、非課税期間20年で年間非課税枠40万円のつみたてNISAの2種類。iDeCoと違っていつでも引き出せるため、直近のライフイベント用の資産運用としても活用できるでしょう。
NISAについて詳しくは、ぜひ以下の記事を参考にしてください。
NISA(ニーサ)とつみたてNISA(ニーサ)の違いを分かりやすく解説
債券
債券とは、国・地方公共団体・企業などが資金調達する際に発行する有価証券です。投資家が債券を買うことで発行体にお金を貸したことになり、満期を迎えるまで利息を得ることができます。
国の財政破綻や企業の倒産などがない限り、満期時に元本が戻ってくるケースが多く、安全性を重視する人に向いているでしょう。
リスクが低い分リターンも低い傾向にあるため、大きく資産を増やしたい方には物足りない投資手法かもしれません。
債券について詳しく知りたい方は、ぜひ以下の記事を読んでみてください。
債券投資って何? 投資信託や株式との違い・債券価格と金利の関係とは?
不動産投資
マンションやアパートを購入し、入居者に貸すことで家賃収入を得る不動産投資。さまざまな資産運用がある中で、ローンが使えるという大きなメリットを持つのが不動産投資です。30~40代の若い方で自己資金が少ない人でも、ローンを利用して大きな金額の取引を始めることができます。
物件管理を委託すれば副業として取り組んでも負担が少なく、高齢になっても不労所得として収入を得ることができるでしょう。
LIFULL HOME’Sでは、不動産投資初心者でも不動産投資がよく分かる以下のようなコラムを掲載しています。ぜひ併せて読んでみてください。
はじめよう!不動産投資
「プロが教える不動産投資入門」不動産投資の魅力
投資信託
多くの投資家から集めた資金を使って、投資のプロが代わりに資産運用してくれるのが投資信託です。投資先の選定が不安という投資初心者にもお勧めで、小額からスタートすることができます。
投資信託を購入することで、自然と銘柄の分散や資産の分散、地域の分散などが叶うため、できる限りリスクを抑えた運用が可能です。
本業が忙しく、銘柄の選定や値動きを把握する手間がかけられない働き盛りの30~40代の方に向いているでしょう。
投資信託について詳しくはこちら。
投資信託のメリット・デメリット~不動産投資と比較してみよう~
J-REIT(リート)
J-REITとは不動産投資信託のことで、不動産の運用で収益を得ることに特化した投資信託を指します。
投資信託と違う点は、J-REITは証券取引所に上場されていること。株式と同じように売買することができ、換金しやすいメリットがあります。運用資産が不動産であるためインフレに強く、経済変動の影響を受けにくいなどのメリットも期待できるでしょう。
よく比較される不動産投資とJ-REITの違いは以下の記事にまとまっています。ぜひ参考にしてください。
不動産投資とREIT(リート)の違いは?利回り・メリット・デメリット比較
不動産投資と不動産投資信託(REIT)どちらがいいの?(前編)
クラウドファンディング
クラウドファンディングとは、資金を調達したい企業や個人が起案者となってプロジェクトを立ち上げ、それに賛同した投資家が資金を提供する仕組みです。融資型・株式型・不動産投資型などさまざまな形があり、投資家が受け取る報酬も利息・未公開株・分配金などそれぞれ異なります。
小額から始められるものが多いにもかかわらず、プロジェクトの成果によっては大きなリターンを得られる可能性もあるため、収益性を重視する人にお勧めです。
LIFULL不動産クラウドファンディング おすすめコラム
クラウドファンディングとは? 資金調達方法とメリット、デメリットを解説
少額資金から始められる不動産投資とは?~J-REIT、不動産小口化商品、不動産クラウドファンディングの基本~
ETF
ETFとは上場投資信託のことで、日経平均株価やTOPIXなどの動きに連動するように複数の銘柄を組み合わせて運用される投資信託の一種です。
通常の株式投資と違う点は、1つのETFを買うことで複数の銘柄に分散投資できること。一般的な投資信託と違う点は、ETFは証券取引所に上場しているため、株式のようにリアルタイムで売買できることです。
「働き盛りの30~40代、みんなはどれくらい、何に投資しているの?【前半】」でご紹介した通り、株式投資に興味がある人は多いものの、値動きのリスクを気にしてなかなか手が出せない人もいるでしょう。そんな人には、株式投資と投資信託のメリットを併せ持ち、比較的リスクを抑えた運用ができるETFがお勧めです。
まとめ
投資というと、元本を割り込む不安など「怖い」「危ない」のイメージが強い人が多いのではないでしょうか。特に日本は保守的な傾向が強く、預貯金による資産保有が圧倒的です。
しかし実は、インフレ化など経済情勢が変動する中においては、現金のみで資産を保有することにこそリスクがはらんでいることを、今一度知っておいてほしいと思います。
リスクを回避する基本「分散投資」「長期投資」のポイントを押さえて適切に運用すれば、投資に対して必要以上に怯えることはありません。むしろ預貯金よりも高い利率で資産を増やすことが期待できるでしょう。
いつでも引き出しができて元本が保証される預貯金と、資産を増やすための運用とで金融資産を分けるなど、投資への一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか?