シェアハウス経営は、近年注目を集めている不動産投資の一つです。初期費用を節約して高い利回りを期待できる、空室リスクを抑えられるなど投資家にとって複数のメリットがあります。
しかし、費用や運営面に関して一般的なアパート経営とは異なる点が多いため、シェアハウス経営を始める前に理解を深めておくことが大切です。
今回は、シェアハウス経営の基本的な知識、シェアハウス経営にかかる費用や始め方について解説します。
シェアハウス経営の基礎知識
シェアハウスとは、複数の他人同士が1つの建物で共同生活する賃貸物件です。個人の居室スペースとキッチン、リビング、浴室などの共用スペースに分かれています。
共同生活のため、初期費用や生活費を安く抑えられることが入居者にとっての大きなメリットです。また、「テレワークスペース有」「女性専用」などコンセプトを持った物件が多数あるため、付加価値がついた住居として若い世代を中心に人気を集めています。
シェアハウス経営とは、シェアハウス向けに物件を購入または建設して運営する不動産投資です。投資家にとってのシェアハウス経営のメリットは、高い利回りを期待できることや空室リスクを分散できることが挙げられます。
シェアハウス経営のメリット・デメリットは以下の記事で解説しているので、興味がある人はご覧ください。
【ホームズ】シェアハウス投資の今~メリット・デメリットとコロナ禍における将来性~
https://toushi.homes.co.jp/column/lifull-homes-investment/beginner115/
シェアハウス経営にかかる初期費用
シェアハウス経営にかかる初期費用は、一般的なアパート経営と異なる部分があるため注意が必要です。シェアハウス経営を始める前に、初期費用について確認しておきましょう。
物件の購入費用
シェアハウス経営のための収益物件を購入する場合、以下3つの方法があります。
・新築物件を建築する
・シェアハウス用の中古物件を購入する
・居住用の中古物件を購入してシェアハウス向けにリフォームする
新築を建築する場合は、費用が高額になりやすいため注意が必要です。シェアハウス用の中古物件を購入する場合は、新築と比べて費用を抑えられます。ただし、シェアハウスは特殊な物件のため、一般的な賃貸アパートよりも選択肢が限られるでしょう。
また、シェアハウスは、空き家を改装して利用するケースも珍しくありません。空き家をすでに所有していて活用を検討している場合、シェアハウス経営を始めることも選択肢の一つです。
リフォーム工事費用
シェアハウスは一戸建てを利用するケースが一般的ですが、シェアハウス用ではない一戸建てを利用する場合、リフォーム工事費用がかかる場合があります。
たとえば、複数人で生活するシェアハウスでは、トイレ、浴室、洗面所などの水回り設備は混みやすくなります。入居者の人数に対して適切な個数が設置されていないと、入居者にとってストレスとなり、退去の原因になりかねません。
入居者が快適に過ごせるように、適切な個数の設備を設置しましょう。
また、延べ床面積が200㎡を超える一戸建てを利用する場合、建物の「用途」を変更するための改修工事が必要になります。
居住用の一戸建ての用途は建築基準法上で「一戸建ての住宅」に該当し、シェアハウスは「寄宿舎」に該当します。寄宿舎へ用途変更するためには、用途に適した基準をクリアしたうえで建築確認https://www.homes.co.jp/words/k4/525002257/の手続きが必要です。
寄宿舎は不特定多数の人が使用することが前提となっているため、一戸建ての住宅よりも建築確認の基準が厳しくなっています。
シェアハウスのリフォーム工事をする際、シェアハウス運営の実績がある不動産会社や建築士、各地域の自治体の担当者など、専門家へ相談することをおすすめします。
共用部や個室の家具・家電
シェアハウス経営では共用部や個室の家具・家電をオーナーが用意するケースが一般的です。必要なものはシェアハウスのコンセプトによって異なりますが、一般的には以下の準備が必要になります。
【共用部に必要な家具・家電】
・キッチン:電子レンジ、冷蔵庫、電気ポット、炊飯器、調理器具、食器棚、各食器類など
・リビング:ダイニングテーブル、椅子、ソファ、テレビ、カーテンなど
・洗濯機
・掃除機
・Wi-Fiルーター
【個室に必要な家具・家電】
・コンセント
・エアコン
・照明
・寝具
・収納スペース
・カーテン
・机、椅子
必要な資金は入手する手段や個数、グレードによって大きく異なりますが、高額になる場合があるため、必要な物をリストアップしておき、価格を調査しておきましょう。
シェアハウス経営の始め方
ここでは、シェアハウス経営を始めるまでの以下のステップを順番に解説します。
STEP1:運営方法を決める
STEP2:エリア・コンセプト・ターゲットを決める
STEP3:物件の購入・リフォーム工事
STEP4:家賃を設定する
STEP5:管理会社を選定する
STEP6:入居者を募集する
STEP1:運営方法を決める
シェアハウス経営の運営方法には、以下3つの方法があります。
・自主方式:オーナーがすべてを管理する方法
・委託方式:管理業務の一部を管理会社に委託する方法
・サブリース方式:物件ごと管理会社に貸し出す方法
シェアハウスはコンセプトに基づいた運営や、共有スペースの清掃など管理方法が一般的なアパートとは異なるため、管理会社に委託するケースが珍しくありません。
また、入居者同士の距離が近いため、騒音やマナーを原因としたトラブルが起きやすい環境です。管理会社に委託せずに自主方式で管理すると運営コストを節約できますが、その分、管理の負担が大きくなるため、運営方法は慎重に検討することが大切です。
STEP2:エリア・コンセプト・ターゲットを決める
シェアハウスでは、エリアの需要に適したコンセプトの設定が重要なポイントとなります。
エリアやターゲットの選定は、一般的な賃貸住宅でも大切なポイントです。しかし、シェアハウスでは入居者が住居としてだけでなく付加価値を求めているケースが多いため、コンセプト設定も入居の動機づけに影響します。
物件を購入する前に現地調査で周辺環境を確認し、需要を見極めることが大切です。
STEP3:物件の購入・リフォーム工事
ターゲットやコンセプトが決まったら、物件を購入し、必要に応じてリフォーム工事を行いましょう。先述のとおり、用途変更が必要になる場合があるため、リフォーム工事の際は不動産会社や自治体の担当者など専門家へ相談することをおすすめします。
STEP4:家賃を設定する
一般的なアパートとシェアハウスでは、家賃の相場が異なるため家賃を設定する際に注意が必要です。シェアハウスは、一般的な賃貸アパートよりも家賃相場が低くなっています。
以下の表は、シェアハウスと賃貸アパートの家賃相場を比較したものです。
家賃相場の目安
個室 | 相部屋 | |
シェアハウス | 4万~6万円 | 4万円前後 |
賃貸アパート (1R・1K・1LDK) | 4万~8万円 |
参考
国土交通省:シェアハウスに関する市場動向調査結果について
見える!賃貸経営
家賃相場は地域によって大きく異なるため一概には言えませんが、シェアハウスでは個室タイプだけでなく相部屋タイプもあり、4万円未満の物件も珍しくありません。
家賃を設定する際、周辺のシェアハウスの賃料を調査し、相場を確認することをおすすめします。
STEP5:管理会社を選定する
管理会社に管理を委託する場合、管理会社を選定します。シェアハウスは一般的な賃貸物件よりも管理の手間がかかるため、管理委託手数料が高くなるケースが一般的です。
管理委託費用の目安は賃貸アパートの場合、家賃収入×5%程度ですが、シェアハウスでは家賃収入×20%程度です。委託先や委託する範囲によっても手数料が異なるため、各管理会社の手数料を比較したうえで選定しましょう。
STEP6:入居者を募集する
シェアハウスの入居者は、管理会社が運営する公式サイトやシェアハウスのポータルサイトなどを利用して募集します。
そのほか、SNSで物件の専用ページを作成する方法もおすすめです。シェアハウスの入居者は若い世代が多いため、SNSで検索してくれる場合があるでしょう。
まとめ
シェアハウスは単なる住居としてだけでなく、交流の場や趣味を楽しむ場など付加価値を求める人が入居する傾向にあります。シェアハウス経営の考え方は一般的な賃貸アパートとは異なるため、シェアハウスの特徴をよく理解したうえで始めましょう。