マンション価格がここ数年で大きく上昇傾向にあることをご存じですか? 新築マンションの高騰に連動して中古マンション価格も値上がりし続けているのです。
そのため投資用マンションの売却をお考えの方の中には「今がいいタイミングかもしれないな」と思っている方も少なくないのではないでしょうか。
本当に「投資用マンションの売却は今!」なのか、さまざまな最新のデータを使って検証してみましょう。中古マンション価格の推移を見ながら、2022年最新の投資用マンション市況を探ります。
【2022年】投資用マンションを売却するなら「今」といわれる5つの理由
理由① マンション価格が上昇し続けている
以下の表から全国的にマンション価格が上昇し続けている様子がわかります。
株式会社不動産経済研究所「全国マンション市場動向-2020年のまとめ-」(2021年2月)
上昇傾向が見られるようになったのが2013年です。その前の2012年のマンション価格全国平均3,824万円に対し、2020年の全国平均価格は4,971万円。この8年で30%アップしたことになります。
【区分マンション】
住宅全般で上昇傾向が見られますが、特に区分マンションの上昇率が著しいといわれています。下のグラフからも、2013年頃から一気に上昇傾向にあることがわかりますね。
国土交通省「不動産価格指数(住宅)(令和3年9月分・季節調整値)」
【一棟マンション】
投資用一棟マンションも同様に2013年頃から上昇傾向が見られています。
参照:健美家「収益物件 市場動向 四半期レポート 2021年10月~12月期」
2012年10~12月期と比べると、2021年 10~12月期は、価格が約25%アップしていることが分かります。
また以下のグラフから、特に東京23区や大阪市など主要都市での価格上昇が大きいことも見て取れますね。
参考:東京カンテイ プレスリリース「中古マンション価格」(2021年12月)
さらに収益物件情報サイト「健美家」が行ったアンケート調査によると、実際に半分以上の投資家が「投資用不動産の価格が上昇している」と回答しました。
参照:健美家「不動産投資に関する意識調査」(第15回)(2021年5月)
2020年10月に行われた前回の調査で「価格が上昇している」と答えた投資家は23.4%。価格が上昇したと感じた投資家が、この半年で倍以上と大きく増えていることが分かります。
新型コロナの影響で経済が大きなダメージを受けているにもかかわらず、マンション価格は上昇傾向が続いているため「今なら投資用マンションを高く売れる」と考える投資家が多いと推測できます。
マンション価格上昇の現状やその理由について、ぜひ以下の記事も参考にしてください。
物件数が減少……東京23区新築マンションは平均価格8,455万円に高騰! マンション投資するなら「今」のワケ【前半】
物件数が減少……東京23区新築マンションは平均価格8,455万円に高騰! マンション投資するなら「今」のワケ【後半】
理由② 住宅需要が強い
このコロナ禍においても住宅需要はほぼ衰えを見せていないようです。
国土交通省「建築着工 統計調査報告 令和3年11月分」によると、2021年11月の「貸家」新規着工数は2万6,819戸。前年同月比+1.4%、9ヶ月連続の増加となっています。
貸家の新規着工数が増えているということは、分譲だけでなく賃貸マンションへの需要も高いことを示しているといえるでしょう。
コロナ禍において在宅勤務する人や自宅で過ごす時間が増え、居住快適性を求める人が多くなり、むしろ住宅需要は増加していると考えられます。
そのため「住宅需要が強い今のうちに投資用マンションの売却を」という意見が多く見られるのでしょう。
理由③ 中古マンションの在庫減で売り手市場に
新型コロナの影響による住宅需要増以外にも、ここ数年続くマンション価格上昇の理由として
・相続税対策による需要増
・ローンの低金利化による不動産購入希望者の増加
などが挙げられます。
このようにさまざまな理由が重なってここ数年マンション需要が増えており、実は2019年初旬から中古マンションの在庫数が減少し続けているのです。これは、需要が多いにもかかわらず新型コロナの影響を危惧し中古マンションを売り控える売主が増えていることも主な原因の1つと考えられています。
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「月例速報Market Watch サマリーレポート 2021年12月度」
上記のグラフから中古マンションの在庫件数が下がっているのが分かりますね。それでも購入希望者が多いため、今不動産業界は売り手市場になっているといわれています。
売り手市場であれば、投資用マンションの売却時にも価格面などで売主側の事情が有利に働く可能性が期待できるでしょう。
理由④ 新築マンションの価格高騰で中古マンションへ需要が流れている
全国的にマンション価格が上がっている中でも、特に新築マンションの高騰ぶりが目立っています。
株式会社不動産経済研究所「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2021年10月」(2021年11月)のデータによると、2021年10月の首都圏新築マンション平均価格は6,750万円(前年同月比+10.1%)。10月としては1990年のバブル期を超えて過去最高値を記録しました。
価格高騰の原因として、
・土地値、建築費などの値上がりがマンション価格に反映されている
・供給量を絞って価格を維持しようとするディベロッパーの戦略
・世帯収入の多い共働き世帯などからの、タワーマンションなど高額帯のマンションへの人気が集中している
などが挙げられます。
こうした新築マンションの高騰と供給数の減少を理由に、今新築マンションから中古マンションに需要が流れてきているのです。
参照:公益財団法人 東日本不動産流通機構「首都圏不動産流通市場の動向(2021年)」
中古マンションの在庫数は減少し続けているにもかかわらず、2021年の成約件数は前年より上昇していることが上の表から分かりますね。
こうした現状から、中古マンションの需要が高いにもかかわらず在庫が減少している今が売り時と考える投資家が多いわけです。
理由⑤ マイナス金利政策が続いているうちに売却を
日本では、日銀のマイナス金利政策が長らく続いています。ローン金利が低ければ多くの人に不動産を購入できるチャンスがあり、なおかつ同じ年収であっても金利が低い分購入可能額も上がるわけです。
低金利政策は、持ち家だけでなく投資用マンションにおいても購入希望者が増える大きな要因の1つとなっています。
2021年9月に行われた「政策委員会・金融政策決定会合」において、マイナス金利政策の維持が決定されました。さらに、新型コロナの影響によっては追加的金融緩和措置を講じる可能性があることも表明しています。
当面低金利政策は続くものと見込まれますが、今後の経済変動によって金利政策がどう変化するかは分かりません。金利上昇の傾向が見られれば、住宅需要にも影響が出る可能性があるでしょう。
低金利が続き、投資用マンションの購入希望者が多いうちに売却を、という意見が強いこともうなずけるのではないでしょうか。
【2022年】投資用マンション売却にあたって気にしておきたい2つのポイント
マンション価格が上昇し、需要も高く、在庫数の減少から売り手市場となっている今、売主には比較的有利な状況であることが分かりましたね。
一方で、今後投資用マンション市況が動く可能性のある、気にしておきたいポイントが2つあります。
新型コロナの影響
今のところ、新型コロナが不動産投資に与えた影響は少ないと見られています。
2020年4月に初めて緊急事態宣言が出された際、物件の売り控えや内覧・契約の延期・中止などがあり、一時的に取引数が減少しました。しかしその後2ヶ月程度ですぐに成約件数は回復し、価格は上昇し続けています。
コロナ禍において家賃の下落が見られなかったことも投資家にとっては朗報だったでしょう。
参照:東京カンテイ プレスリリース「分譲マンション賃料(年間版)」(2022年1月)
こうした理由から、今のところ新型コロナが不動産市況・不動産投資にとって大きなマイナス要素にはなっていないといえるでしょう。
ただし、次々と変異し感染者数を拡大し続けている新型コロナの今後の動きは誰にも分かりません。基本的に不動産取引件数が落ち込んで需要が下がれば、不動産価格も下がっていく傾向があります。
新型コロナが不動産投資に与える影響は、今後も注視しておくとよいでしょう。
公示地価の変動
上昇傾向が続いていた公示地価ですが、2021年度、全用途の不動産において全国平均値が6年ぶりに下落。住宅用途に限っては5年ぶりの下落となり、東京圏の住宅用途も8年ぶりに下落しました。
しかし2022年には一転、全用途平均・住宅地・商業地いずれも再び上昇に転じています。
参考:国土交通省「令和4年地価公示の概要」
国土交通省は、こうした地価公示の変動を新型コロナによる景況感の変化が影響していると見ています。
一般的に公示地価の数値は数年後に販売される新築マンション価格に反映されます。そして新築マンション価格と中古マンション価格は連動するものです。
公示地価の変化は、投資用マンションの売却価格に影響を及ぼす要因の1つとなりますので、今後も最新情報にアンテナを張っておくとよいでしょう。
今後の投資用マンション市況に注目して売却のタイミングを見極めよう
さまざまなデータを検証した結果、中古マンションには高い需要があり、価格上昇が続いていることが分かりました。マンション売却を考えている方にとって、これらのデータは具体的に売却に向けて動き出すきっかけとなるかもしれません。
しかし今後の新型コロナをめぐる変化や金利変動によっては、不動産市況や住宅需要に何かしらの変化が起きる可能性もあります。地域や物件の種類によっても状況は異なります。
政策・経済・金融などさまざまな分野にアンテナを張り、自分が保有する物件に関わる最新の情報を得て、投資用マンション売却のタイミングを見極めるようにしましょう。
マンション売却の重要なポイントや手順については、【不動産投資】売却初心者が注意するべき8つのポイントと売却手順の記事で詳しく解説されています。ぜひ参考にしてください。