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企業型確定拠出年金(DC)とは?iDeCoとの違いや併用について解説

老後のための資産形成に役立つ確定拠出年金には、事業主が主体の企業型確定拠出年金(企業型DC)と個人で加入できる個人型確定拠出年金(iDeCo)があります。
企業型DCは事業主が導入していれば自動的に加入となることも多いため、会社での説明は聞いたものの、詳細はよくわからないまま運用しているという方もいるかもしれません。

そこで今回は、企業型DCの特徴をiDeCoと比較しながら解説します。また、確定拠出年金法改正によって2022年10月から対象が広がる企業型DC加入者のiDeCo加入要件や拠出上限額、iDeCo併用時の注意点についても触れています。年金資産を増やし、ゆとりのある生活を送りたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

確定拠出年金とは

確定拠出年金は、日本の年金制度の3階部分にあたる、公的年金とは別に加入できる私的年金制度です。毎月拠出した掛金を加入者自身が運用することによって、将来の年金受取額が決定されます。略してDC(Defined Contribution Plan)とも呼ばれます。

確定拠出年金のメリット

確定拠出年金は、掛金拠出時・運用時・受取時を通じて税制優遇があり、効率的な資産形成ができます。自身が支払った掛金は全額所得控除の対象です。そして、運用益にかかる20.315%の税金がかかりません。

確定拠出年金は自分で選んだ運用商品で原則最低60歳に達するまで運用する仕組みです。運用益は再投資されるため、非課税であることは運用効率を大きく上げるでしょう。途中で資産を切り崩すことはできない点は制約ではありますが、年金資産を増やすという目的においては理にかなった制度といえます。

受取時には、一時金で受け取る場合は退職所得控除、年金で受け取る場合には公的年金等控除が利用でき、より税制上有利な受け取り方も選択可能です。

また、年金の持ち回り(ポータビリティ制度)ができ、結婚や転職を機に働き方が変わった場合にも、そのまま年金資産を持ち運べることも魅力といえるでしょう。

一方、運用がうまくいかない場合には、将来受け取れる年金資産が減少することもあります。ご自身の年齢や運用方針に基づいた運用商品の選択や、定期的な資産バランスの見直しが必要となるでしょう。

企業型(企業型DC)と個人型(iDeCo)の2種類

確定拠出年金には、事業主が導入する企業型(企業型DC)と個人が希望に応じて加入できる個人型(iDeCo)があります。企業型DCとiDeCoの主な違いを簡単にまとめました。

企業型DCiDeCo
加入方法会社で加入個人で加入
加入対象年齢最大70歳未満(会社による)65歳未満
拠出限度額月額最大5万5000円
(会社による)
職業や他の年金加入状況で異なる
(月額1万2,000円~6万8,000円)
掛金の拠出会社
(個人が追加できる場合もあり)
個人
事務手数料負担会社個人

※2022年5月現在

なお、制度上は企業型DCの加入者もiDeCoを併用することが可能で、後述しますが2022年10月より、併用できる対象者の要件が緩和されます。

個人型(iDeCo)については、以下の記事で詳しく解説しています。
iDeCo(イデコ)とは?メリット・デメリットやおすすめの運用方法

企業型確定拠出年金(企業型DC)の特徴

企業型確定拠出年金(企業型DC)は、会社が導入していれば加入条件を満たす人は自動加入となることが多いです。しかし、会社によっては確定拠出年金への拠出と給与として上乗せ支給とを選べる選択制の場合もあり、企業型への加入を迷う方や、個人で加入できるiDeCoとの違いが気になる方もいるでしょう。
ここからは企業型DCの特徴について解説します。

企業型は企業が掛金を拠出

企業型DCの掛金は、会社側が拠出します。また、企業が負担する掛金は福利厚生として扱われるため、社会保険料算定の対象外です。

なお、企業型DCには、企業の掛金に加え、個人が企業拠出額を上回らない範囲内で掛金を追加できるマッチング制度があります。
会社にマッチング制度が導入されていて利用を希望した場合には、個人の掛金は社会保険料控除後に拠出します。拠出分は全額所得控除の対象になり、所得税や住民税の低減効果が期待できます。

個人の管理手数料が原則不要

企業型確定拠出年金は、掛金に加えて口座管理にかかる事務手数料が会社負担となります(※規約によっては一部加入者負担になる場合もあります)。
口座開設料や月々の管理料などの負担が必要になるiDeCoに比べて、コストを抑えた運用が可能です。

運用商品が限られる場合がある

企業型DCは、会社が契約した運用機関での運用となり、iDeCoのように自身での選択はできません。
運用機関によって採用されている運用商品は異なり、iDeCoと比較すると選択肢が少ない可能性もあるでしょう。

確定拠出年金制度の改正にともなう企業型DCの主な変更点

2022年以降、拠出年金法等の改正による新制度が段階的に施行中です。企業型DCの加入条件の緩和および、企業型DCとiDeCoの併用条件が拡大されていますので、内容やスケジュールについて紹介します。

加入要件の緩和

2022年5月より、企業型DCの加入可能年齢および要件が緩和されました。加入年齢は、これまでの65歳未満から、企業の定めるところにより最大70歳未満まで加入できるようになりました。
また、60歳を超えての企業型DCの加入は同一事業所での雇用が継続していることが条件でしたが、改正後は厚生年金被保険者であれば加入できます。

企業型と個人型の併用条件が拡大

これまで、会社で企業型DCに加入している場合にiDeCoに加入するには、会社の規約の定めと事業主掛金の上限の引き下げが必要で、加入できないケースが多くありました。

しかし、2022年10月より、規約や掛金引き下げの条件なしに、企業型DCとiDeCoの併用が可能になります。企業型DCの掛金拠出額が少ない方でも、個人でiDeCoに加入して将来の年金資産を増やせる道が広がりました。

企業型DCとiDeCo併用時の上限拠出額はどうなる?

企業型DC加入者がiDeCoに加入する場合、企業型DCの拠出額や他の企業年金の有無によって拠出可能な上限額が異なります。
現行制度、および2022年10月以降、2024年12月以降で変更になる部分もありますので、併せて確認しておきましょう。

現行制度の上限額

現行制度でiDeCoと企業型DCを併用する場合、iDeCoは企業型DCの事業主掛金を3万5,000円に引き下げた上で月額2万円まで設定できます。企業型DCとDB(確定給付年金)など他制度の両方に加入している場合には、企業型DCを1万5,500円に引き下げた上で月額1万2,000円が上限です。DBや他制度のみに加入している場合(厚生年金基金、年金払い退職給付)にも、上限は月額1万2,000円になります。

2022年10月以降の上限額

企業型DC加入者の場合、iDeCoでの拠出額は月額上限2万円、DBなどにも加入している方は月額上限1万2,000円になります。

2024年12月以降の上限額

さらに、2024年12月には、企業型DCやDB加入者のiDeCo限度額の公平化を図るため、上限月額2万円、企業型DCおよびDBにおける事業主の拠出額との合計で5万5,000円以内であることという条件に統一されます。
2024年の改正以降は、上限額の計算にあたり確定給付型の掛金相当額を一律2万7,500円としていた規定がなくなるため、DBなど他制度の加入者は、加入状況によりiDeCoに掛金を拠出できなくなる可能性があることを認識しておきましょう。

【企業型DC加入者のiDeCo掛金上限額】

現行2022年10月以降2024年12月以降
企業型DCのみ加入2万円5万5,000円-企業型DCの事業主掛金
※上限2万円
5万5,000円-企業型DC事業主掛金-確定給付型掛金相当額
※上限2万円
企業型DC+DBなど確定給付型制度に加入1万2,000円2万7,500円-企業型DCの事業主掛金
※上限1万2,000円
参考:DBなど確定給付型制度のみに加入1万2,000円1万2,000円

iDeCo併用時の注意点

法改正によりiDeCo加入で従来必要であった規約の定めや掛金上限の引き下げの条件は撤廃されました。しかし、会社のマッチング拠出制度を利用している場合には、iDeCoへの加入はできません。どちらか一方を選択する必要があります。

また、先に述べたとおり、iDeCoでは企業型DCではかからなかった口座開設料や運営手数料を自己負担しなければなりません。企業型DCよりも商品選択の幅は広がりますが、運用コストは上がるため注意しましょう。

希望の運用商品やそれに近いものが企業型DCで提供されていれば、そのままマッチング制度を利用したほうが、コスト面では有利です。運用口座が2つに分かれてしまう不便もありません。
運用したい商品がiDeCoでしか提供されていない場合には、iDeCoの併用を検討してみるとよいでしょう。

なお、企業型DCやiDeCo、そのほかの年金や退職金の金額とそれぞれの受け取り方によっては、退職所得控除や公的年金等控除の枠に収まらないケースも出てきます。その場合、所得税・住民税の負担が増えるため、受け取りが可能になる60歳を迎える前に、どのような方法・受取順が有利になるのか、専門家への相談をおすすめします。

まとめ

確定拠出型年金は、老後のための資産形成を効率的に進められる方法の一つです。特に、現役世代の方には拠出・運用時の税制優遇は、資産成長に大きく有利に働きます。法改正で企業型DC加入者もiDeCoに加入できる範囲が広がり、制度をフル活用しやすくなっています。仕組みを理解してぜひ検討してみましょう。

将来のための資産運用をお考えなら、不動産投資もおすすめです。不動産投資は、ミドルリスク・ミドルリターンに分類される投資手法で、中長期的な資産形成に向きます。確定拠出年金のみでは将来に不安があるという方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

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