LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

私募債とは? 投資のメリット・デメリット・注意点

比較的リスクの低い運用先の一つに、社債があることを以下の記事でお伝えしました。
社債とは? 株式との違い・種類・利回り・メリット・リスクを解説

社債は、利払い方式や発行元による分類のほか、募集形態により金融機関を通じて広く募集される公募債と、限定された少数の投資家が引き受けをする私募債にも分類できます。

一般投資家が私募債に投資する機会は限られていますが、近年ではマッチングプラットフォームも登場しており、どのような運用商品なのか気になっている方もいるでしょう。
そこで今回は、私募債の概要やメリット・リスク、投資にあたっての注意点について解説します。

私募債とは

私募債とは、公募の手続きを取らず、金融機関や少数特定の投資家に対して発行する社債です。投資家は資金を提供している間利子を受け取り、償還日には額面金額が戻ります。

広く投資家から資金を集めることができる公募債は、大きな資金調達に向きます。しかし、発行には有価証券届出書の提出や社債管理者の設置などが必要になることから発行できる企業は限られ、実質的には上場企業が中心です。諸手続きにも時間やコストがかかることもあり、多くの社債は公募を取らず私募で発行されています。

私募債の種類

私募債には、適格機関投資家のみを対象に募集するいわゆる「プロ私募債」と、50人未満を対象に募集する「少人数私募債」があります。
以下、主な特徴をまとめています。

勧誘人数発行総額引受先
プロ私募債制限なし制限なし国、日本銀行、適格機関投資家
少人数私募債50人未満1億円未満が一般的会社の縁故者
参考:公募債制限なし制限なし不特定多数の一般投資家

一般の投資家が投資できる私募債は、少人数私募債になります。少人数私募債は、公募債とは異なり募集を行うことができませんので、引受先は主に会社の関係者や家族、取引先などの縁故者が一般的です。
(※募集とは、多数の一般投資家に対して有価証券の取得を勧誘する行為)

なお、発行総額が1億円以上になると、私募債であっても公募債同様の諸手続きやコストが必要なため、1億円未満で発行されることが多くなっています。

このように、一般投資家が私募債へ投資できる機会は大きく限定されます。しかし、近年マッチングシステムを利用して少人数私募債を扱う証券会社も登場し、直接勧誘を受ける機会のない一般投資家でも私募債への投資が可能になりました。
なかには50万円程度から投資できる社債もあり、新しい企業と個人投資家との関係構築方法として注目されています。

ソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)との違い

企業にお金を貸して利子を得る仕組みには、私募債のほかにソーシャルレンディング(融資型クラウドファンディング)もあります。

ソーシャルレンディングは、投資家から集めた資金を大口化し、企業へ融資する仕組みです。少額の投資が可能ですが、企業と投資家の間にファンド事業者が入ります。
そのため、ソーシャルレンディングでは投資先の会社と同様にファンド事業者の破綻リスクも背負うことになります。

私募債への投資メリット・デメリット・注意点

私募債への投資メリット・デメリットを公募債と比較してみましょう。

私募債のメリット・デメリット

社債は発行企業がニーズに応じて比較的金利や期間を柔軟に設定できます。私募債は公募債と比べると発行に関する規制も緩やかで、公募債よりも有利な条件で募集されるものがあることが魅力です。

少人数私募債は発行条件の50人未満を発行後も満たさなければならず、譲渡については、一括に限定し取締役会の承認が必要といった制限が付されることが一般的です。公募債と異なり償還前に簡単に売却することができないリスクがある分、募集条件は有利となることが多くなります。償還期間も3~5年前後で発行されることが多く、公募債より短い傾向です。

ただし、私募債の購入時には発行企業から一定の資料が提示されるものの、通常公募債のように信用度を客観的に判断できる格付けの取得はなされません。
投資家自身が発行会社の信用度を判断する必要があります。

投資詐欺に注意が必要

私募債は直接会社が勧誘を行いますが、勧誘対象者は50名未満でなければならないため、その対象はほとんどの場合縁故者になります。ですので、勧誘を受ける機会は非常に限られたものになりますし、一般投資家が接点のない会社から勧誘されることは基本的にありません。

しかし、なかには社債をかたり、高い利率で勧誘して資金を集める詐欺的事例も発生しています。当初は信用させるために利子を支払うものの次第に滞るようになり、連絡はつかず償還金も支払わないといった被害例が多いです。近年では劇場型と呼ばれる、買い取り需要をほのめかして購入させる手口も登場しています。

たとえ条件が有利であったとしても、事業内容が不明瞭な発行会社の私募債には十分に注意しましょう。金融庁や日本証券業協会も、私募債や未公開株式をかたった詐欺について一般投資家に注意喚起をしています。

少人数私募債の税金の取扱い

最後に、小人数私募債で得られた利益の税務上の取扱いについても確認しておきましょう。私募債が一般社債に該当するか特定社債に該当するかによって異なります。

利子の取扱い

債券の利子は利子所得となり、税率は20.315%です。
一般社債の場合は、利子支払い時に源泉分離課税となり、課税関係は終了します。
特定社債に該当する私募債は源泉徴収されますが、申告分離課税を選択して上場株式や特定公社債の売却損や償還差損との損益通算が可能です。

なお、同族会社と特殊関係のある個人やその親族などが私募債から受け取る利子については、ほかの所得と通算する総合課税の取扱いとなります。

売却損益・償還差損益の取扱い

売却損益・償還差損益は譲渡所得で、税率は20.315%です。申告分離課税を選択できます。

一般社債の売却損益や償還差損益は、一般公社債や未上場株式との売却損益や償還差益と損益通算ができますが、配当や利子とは通算できません。
また、相殺できなかった損失について繰り越し控除の適用はありませんので注意しましょう。

特定社債の場合には、売却損益・償還差損益は、上場株式や特定公社債の売却損益や償還差損益、配当、利子と損益通算が可能です。相殺できなかった損失は、翌年以降3年にわたって繰り越し控除が適用できます。

まとめ

私募債は広く募集されるものではないため投資機会は限られていますが、少人数私募債を扱うプラットフォームも登場し、投資機会は広がりつつあります。
新たな資金調達方法として活用する企業も出てきており、運用資産の分散先としても今後期待ができるかもしれません。

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

LIFULL HOME'S 不動産投資は、不動産投資・収益物件の検索から不動産投資セミナーやイベント運営を実施。
不動産投資にまつわる新鮮な情報、トレンドを発信。
LIFULL HOME'S 不動産投資には不動産投資の知識・アイディア・ヒントが盛りだくさん。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

LIFULL 不動産クラウドファンディング

シリーズ連載: 不動産投資クラウドファンディングの基礎知識

最新コラム: 不動産特定共同事業法とは?最新の不特法改正のポイントとあわせて解説

有田宏

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 不動産投資のリスク「災害や事故などへの対処」

髙杉雅紀子

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 田舎の実家を相続することを考えてみる~実家を賃貸にした場合の確定申告~

上井邦裕

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 駐車場への投資を考える

平賀 功一

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 不動産を今、買っていい人 買わないほうがいい人

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: スーパーゼネコンVS大手住宅メーカー ~意外に知られていない建設業界での立ち位置を解説~

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.108 フィリピン現地レポート2022年7月 その2

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.6 住生活総合調査からわかる 現状と未来の不動産投資2

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: Withコロナの新・不動産事情

最新コラム: コロナ影響下のアメリカで激安お値打ち物件がなかなか出ない理由!

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 不動産投資を中長期で継続させるには

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: FP視点のマイホームと投資家視点のマイホーム

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 36.大家さんと幸せな人生について

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。