LIFULL HOME'S 不動産投資編集部の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

年収別の教育費の割合 公的支援制度を上手に活用する

子どもを一人前にするためにはいくら必要?
家計費に対する教育費の適正割合ってあるの?
収入が少ないから、教育費の準備ができるか不安。

など、教育費に関する疑問や悩みはつきません。

教育資金が足りないときどうすればいい?
本記事では、教育費の公的支援制度や、貸与型奨学金、国の教育ローンの仕組みについて解説します。

家計における子どもの教育費の割合
「我が子の希望をかなえてあげたい」。
将来の可能性を広げるために、少し無理をしても習い事費は削らない、そんなご家庭も多いと思います。

実は、生まれてから小学校卒業までの12年間は、子どもにかかる費用をコントロールしやすい時期でもあり、貯蓄のゴールデンタイムといわれます。
この時期に高校以降の学費の準備をしておくと、後々、楽になります。

逆に、この時期に「子ども費」をかけすぎてしまうと、高校や大学のための資金が十分に準備できないことにもなり兼ねません。幼いころから計画的に教育資金を準備することが大切なのです。
教育費が家計に与えるインパクト
高校生から大学生がいる世帯で、1年間の在学費用が家計に与える影響を世帯年収別に調べたデータがあります。

日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によると、子ども全員にかける年間在学費用の合計額が世帯年収に占める割合の平均は、約15%です。

年収階層別では下表のとおり。

年収世帯年収に占める在学費用の割合
200~400万円未満26.7%
400~600万円未満21.1%
600~800万円未満15.5%
800万円以上11.6%

(参考:日本政策金融公庫 2021年12月20日 子ども1人あたりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
2 在学費用の負担 図‐8 年収階層別にみた世帯年収に占める在学費用の割合 から筆者にて加工
kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf (jfc.go.jp)

親の年収の多寡にかかわらず、子どもが選ぶ進路が同じであれば、基本同じだけの費用がかかります。
つまり、必然的に年収の低い世帯では、家計に占める学費の割合は高くなり、年収の高い世帯ではその割合は小さくなります。

また、同調査では、教育費以外の生活費を節約して、教育費にあてている世帯が約3割ということもわかっています。具体的に節約している項目は、旅行・レジャー費、外食費、衣類の購入費と続いています。(*)

多くの世帯において、教育費の負担は軽いものではないことがうかがえます。

(*)(参考:日本政策金融公庫 2021年12月20日 子ども1人あたりにかける教育費用(高校入学から大学卒業まで)は減少 ~令和3年度「教育費負担の実態調査結果」~
4 教育費の捻出方法
kyouikuhi_chousa_k_r03.pdf (jfc.go.jp)

公的支援を利用して学費を軽減
親の年収差による教育格差解消を目指し、2020年より、新しい修学支援制度が始まっています。

給付型の奨学金や授業料の減免制度がスタートしており、高等教育無償化とも呼ばれています。

所得制限がありますが、公的支援の利用で保護者の負担はかなり軽減されることになりました。

ただし、基本的に利用者からの申請が必要な制度であるため、自ら申請しないと支援の対象外となってしまうことに注意してください。対象となる世帯は忘れずに申請をしましょう。

高校生への修学支援
高等学校等就学支援金といい、返還不要の授業料支援が受けられます。

公立高校への進学
世帯年収目安:910万円まで(*)
支給額:11万8,800円(年額)

私立高校への進学
世帯年収目安:590万円まで(*)
支給額:39万6,000円(年額)

なお、私立高校で、年収目安590万円超910万円までの世帯は、公立高校と同じ11万8,800円(年額)の支給となります。
(*)両親、高校生、中学生の4人家族で両親の一方が働いている場合。

支援金の対象となる年収目安は、家族構成により異なるため、自分の場合はどうなのかを、お住まいの都道府県等に確認するようにしましょう。

また、国の支援に加え、年収要件を拡大して独自の支援金を支給している自治体もありますので、確認をしてみましょう。

大学生への修学支援
日本学生支援機構の給付型奨学金
住民税非課税世帯及び、それに準ずる世帯の子どもが、国が認めた、大学、短大、高等専門学校、専門学校に通う場合、給付型奨学金が受けられます。
返済は不要です。

なお、住民税非課税世帯、それに準ずる世帯の年収目安は次の通りです。
第I区分:~270万円
第II区分:~300万円
第III区分:~380万円

家族構成によって、年収目安は異なります。詳細は自治体に確認をしてください。

給付型奨学金の支給額(年額)
*住民税非課税世帯(第I区分)

国公立私立
入学金授業料入学金授業料
大学約28万円約54万円約26万円約70万円
短大約17万円約39万円約25万円約62万円
高等専門学校約8万円約23万円約13万円約70万円
専門学校約7万円約17万円約16万円約59万円

(参照:文部科学省 高等教育の就学支援新制度 より抜粋
高等教育の修学支援新制度:文部科学省 (mext.go.jp)

第II区分は、第I区分の額の2/3、第III区分は第I区分の額の1/3が支給されます。

さらに、給付型奨学金の対象となる世帯は、入学金、授業料の減免措置を受けることもできます。免除、減額の上限額は下表の通りです。

授業料等の免除・減額の上限額(年額)
*住民税非課税世帯(第I区分)

自宅通学自宅外通学
大学・短大・専門学校国公立約35万円約80万円
私立約46万円約91万円
高等専門学校(4年・5年)国公立約21万円約41万円
私立約32万円約52万円

(参照:文部科学省 高等教育の就学支援新制度 より抜粋
高等教育の修学支援新制度:文部科学省 (mext.go.jp)

なお、給付型奨学金同様に、第II区分、第III区分の世帯は、住民税非課税世帯(第I区分)の額の、それぞれ2/3、1/3となります。

仮に、住民税非課税世帯の子どもが私立大学へ進学し自宅から通学した場合、年間46万円の給付型奨学金を受け取りながら、授業料は年間で70万円免除されるということになります。

授業料が年間100万円だとしたら、負担額は30万円。これであれば子ども自身のアルバイトや家計からの捻出などでやりくりできそうです。
学費を借りる
高校進学時、大学進学時に十分な資金の準備ができなかった場合、貸与型奨学金や、教育ローンを利用することができます。
貸与型奨学金
日本学生支援機構の貸与型奨学金は、利子の付かない第一種奨学金と、利子の付く第二種奨学金の2つの区分があります。

それぞれに、成績要件や世帯年収要件があります。

在学中は返済義務がありませんが、卒業後には子ども本人に返済義務があります。

昨今、メディアで取り上げられていますが、奨学金を借りたものの、卒業後収入が安定しないなどの理由から、返済が滞ってしまう人が増えています。

借りられるからといって限度額までを借りるのではなく、不足分はアルバイトなどで補填するなど工夫しながら、無理のない返済可能な額を見極めることも大切です。
国の教育ローン
日本政策金融公庫が実施する国の教育ローンです。
親の所得制限がありますが、子ども一人につき、350万円を限度に融資を受けることができます。

また、貸与型奨学金と併用して利用することも可能で、ひとり親世帯や多子世帯などに金利優遇措置があります。

保護者に対しての融資であるため、返済義務は親にあります。

所得の高い世帯への支援はない
所得の低い世帯や一般的な所得の世帯には、教育費の減免制度や、教育ローンなどを利用して教育資金を準備する方法がありますが、所得が一定額を超えている世帯には公的な支援はありません。

さらに、生まれてから中学卒業まで支給される児童手当も、所得が一定額を超えると対象外となります。児童手当は全額貯蓄しておけば、子ども一人当たり約200万円になるため、この差は大きいものと感じます。

仮に、高校の就学支援金の対象世帯の子が私立高校に進学すると、3年間で約120万円の支援が受けられますが、支援金対象外世帯の子どもが同じ進路を選んでも何も支援はありません。

児童手当、高校就学支援金などの支給、支援対象外の世帯と、支給されている世帯の不公平感は子どもの人数が多ければなおさら顕著です。

実は、高所得者ほど、計画的な教育資金の準備が必要なのです。

まとめ
2020年からスタートした修学支援制度は、多くの世帯において教育費の軽減につながることをご理解いただけたと思います。

家計に占める教育費の割合は大きく、高校、大学入学時までに計画的に資金を準備することが望ましいですが、受けられる公的支援は最大限活用したいところです。

これらの支援は申請ベースですので、自ら動かないと支援は受けられないことに注意してください。

貸与型奨学金や教育ローンを利用する場合は、返済計画をきちんと立てて無理のない範囲で借りることを心がけてください。

支援のない高所得世帯の方は、自助努力で教育資金を用意する必要があります。計画的に貯蓄をする、資産運を活用する、などご家庭にあった方法で準備をしましょう。

執筆ライター:山﨑裕佳子

【このコラムの著者】

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

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