金井 規雄の不動産投資コラム

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

アメリカ西海岸の不動産取引実情(2)

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(5)物件の調査・検査(Due Diligence)
エスクローがオープンして、買手は物件の調査・実査をします。具体的には、
a 現在の名義の確認
b 物件検査(インスペクション)
c シロアリ駆除検査
[売主が専門会社に依頼して行いますが、そのレポートを買手がもらいチェックする]
d 鑑定評価
が、主たる項目になります。これらの検査・チェックの結果に基づいて、売主に依頼することがあれば、たとえば修理・修繕依頼があれば、このDue Diligence期間内に交渉し合意に至らなければいけません。

a 現在の名義の確認
これは現在の名義の詳細が記載されていますタイトル・レポートをチェックして問題がないかどうか調べるのですが、専門の弁護士に依頼することもできます。依頼の際の主な重要点は、売主以外に所有権者がいないかどうか、固定資産税はきちんと支払われているか、物件に担保権を設定されていないか(ローンの銀行以外)、などで、要するに物件におかしなものが付いていないかどうかを調べるのです。

実は、ほとんどのアメリカ人の買手は、弁護士に依頼しません。理由は、弁護士費用がかかることもそうですが、最終的にタイトル保険が掛けられることや、ローンを組む場合、銀行が細かくチェックするからです。

b 物件検査(インスペクション)
購入する物件を詳細にチェックする必要がありますが、専門の物件調査会社に依頼します。
水廻り(水漏れがないか)、電気・ガス系統、ドアー・窓の開閉、ヒーター・エアコン、その他の電気製品等のチェック、台所・バスルームを重点的に検査します。検査後2日程度で上がってくる検査結果のレポートを見て、修理が必要であれば、売主に依頼し交渉します。

売主がどれだけ修理に応じるか交渉次第ですが、修理の合意はDue Diligenceの期間内に済ませなければいけません。最終的に合意した修理については、売主が実際に修理をする場合と、修理はせず、その分の修理代金を買手にクレジットする場合もあります。方法としては、売買価格を下げるか、クレジットとしてエスクロー費用に充当する、つまり買手の支払い残金がその分少なくなる方法があります。

売主によっては、修理に一切応じないケースもあります。これは、物件を売る際に、”As-Is”といって、現在の有りのままで買手が購入すること(つまり売主は一切の修理はしない)が売買条件の1つとして売買契約を取り交わす場合がありますので、売買契約条件を交渉するときに注意してください。

c 白アリ駆除検査(木造物件)
白アリ駆除の検査は、売主が専門の会社に依頼して行います(ただし、それを売買契約の条件として入れておく必要があります)。その会社が検査結果をまとめてレポートを出し、買手に提出します。

検査結果の問題点は、Section1とSection2に分けられて指摘されます。Section1は、すぐ対処する必要の項目、Section2はできれば対処しておくほうが良い項目で、一般的に売主はSection1を、買手はSection2を負担しますが、ほとんどの買手は物件購入後に行います。

しかしながら、この白アリ駆除(Section1)も負担しない売主もいます。それは、前述の物件売買条件として、”As-Is”(有りのままで)の売買であれば、この白アリ駆除も売主はしませんので、最初の売買契約交渉で、もし売主が”As-Is”という条件を出してきたら、買手としては、極力”As-Is”でないように交渉しておかなければいけません。

d 鑑定評価
物件価値の鑑定評価を銀行指定の鑑定評価会社が行います。もし鑑定評価額が売買価格と同じかそれ以上であれば、問題ないのですが、未満であれば、評価額と売買価格との差額分の値下げを売主に要求しなければなりませんが、最終的には交渉で決まります。もし交渉が決裂すれば、Due Diligence期間内であれば、売買契約を破棄することもできます。この鑑定評価のことをValue(価値)といいますが、後で述べますローンの項目のところで、銀行が借入比率を算出するとき、この鑑定評価額(Value)を使用します。つまり、売買価格の何%を貸し出すかではなく、鑑定評価額(Value)を使用します。つまり、売買価格の何%を貸し出すかではなく、鑑定評価額の何%を貸し出すかになります。借入比率のことを英語でLoan To Value(LTV)といい、鑑定評価額に対してローンはいくらかということになります。ローンの借入比率は、価格に対するローン比率ではありません。

こぼれ話4 オークション
ローンの支払いが滞ってしまいますと、銀行が物件を差押え、競売にかけてローンの全額回収を図ります。これを「フォークロージャー(Foreclosure)」と呼びます。この競売がオークションですが、Trustee Saleと郡が行いますが、件数が多いときはオークション会社が行うときもあります。郡に問い合わせますと、Trustee Saleの情報が入手でき、物件内容や最初の入札価格(Minimum Bid)をチェックし、Trustee Saleに備えます。
オークション当日に指定された場所(郡の事務所が多い)に行って、各物件ごとのオークションに参加し、物件購入を図ります。オークションですから、狙う物件は当然競争になるので、自然と値が上がっていきます。その雰囲気や熱気にあおられて、思わず高く買ってしまいがちですので、オークションの前に、自分なりの最高値をあらかじめ決めておくことが大変重要になります。オークションでの購入のコツは、目当ての物件の競売のとき、最初から競争に参加せず、最後に価格が決まる寸前になって、自分で決めた価格を提示して(挙手して金額を言う)落とすのです。もちろん最後に決める金額が自分なりに決めた価格よりも同じかそれ以下でなければいけませんが・・(筆者はこの方法で1件購入したことがあります)。

もう1つ、別のオークションがあります。それは、Tax Salesのオークションです。Tax Salesとは、固定資産税不払いとなった物件で、物件オーナーが数年間固定資産税を支払わないと未払いの固定資産税回収のため、オークションを行います。前述のフォークロージャーForeclosureは、銀行のローン金額回収が目的ですが、このTax Salesは未納の固定資産税のため、滞納金額は少額であることから、かなりのディスカウントで物件が購入・入手できるのです。たとえば、50万ドルの物件の固定資産税額は、ロサンゼルス郡の場合、取得時期にもよりますが、年間6250ドル程度で、7年ほどの滞納ですので、4万370ドルが回収したい金額になります。実際にはこれに手続費用などが加算されますが、50万ドルの物件が5万ドル程度で、ということは90%割引で購入可能ということになります。当然大勢の投資家が狙っていますので、オークションでは、どんどん値が上がって、50万ドル近辺になります。これでは安く購入できませんので、オークション前に、直接物件所有者と交渉します。この物件所有者との直接交渉は、前述のフォークロージャーのTrustee Saleでも同様です。
【このコラムの著者】

金井 規雄

立命館大学経済学部卒、カリフォルニア大学院統計学修士号。
三菱東京UFJ銀行(為替資金部資金課および企業融資担当)入行ロスアンジェルス支店勤務後、Bank of the West日本企業部を経て、2004年コスモ・インベスメント(不動産仲介・コンサルティング)を設立、現在に至る。

カリフォルニア州不動産仲介ライセンス、カリフォルニア州保険ライセンス保有。米国での仲介実績多数。
現地銀行、会計士、弁護士、保険業者、管理会社などとの幅広いネットワークを持つ。

著書に「アメリカ不動産投資の実態。」「アメリカ西海岸で不動産投資 7年で1億円!」「安全!確実!アメリカ不動産投資のすべて」「ドル資産を持て! 世界最強の通貨によるアメリカ不動産投資戦略」がある。

HP: https://www.cosmoinvestusa.com/

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