金井 規雄の不動産投資コラム

シリーズ連載: アメリカ不動産投資のすべて

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

アメリカ西海岸の不動産取引実情(3)

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(6)ローンの承認と実行
ローンの本申請をし、最終承認を取り付けます。本申請で要求されます書類などは図表13をご覧ください。これらの書類を銀行に提出し、必要であれば、追加の書類も提出します。銀行は提出された書類、鑑定評価書などをチェックしてローンの最終承認をします。承認されれば、ローン契約書が出され、買手は署名します。
このとき、ローン契約書・手形と担保信用証書(Deed of Trust)に、本人署名の証明のため、公証人による証明(Notary)が必要になります。日本では、東京のアメリカ大使館、大阪のアメリカ総領事館で行います。

署名したローン契約書などの書類をすべてエスクローに送付し、エスクローは書類をチェックして銀行に送付、銀行は書類に不備がなければ翌日にローンが実行されます。

銀行口座開設と必要書類

こぼれ話5 サイン署名と公証(Notary)
売買契約書やローン契約書など、不動産関係書類および銀行口座開設のサイン署名は、必ずパスポートと同じサインをします。漢字であってもローマ字の筆記体であっても、パスポートと同じサインであればいいのです。理由は、本人のサインであるかどうかを見分けるのはパスポートによって本人とサインが確認できるからです。

それから、ローンを組む場合、Deed of Trust担保信用証書のサインには、公証人による認証が必要になります。ここで重要なことは、この公証人はアメリカで認められた公証人でなければならないことです。アメリカで署名サインをする場合、たいていエスクローの担当者が公証人ですので、問題ないのですが、日本でサインする場合は、東京のアメリカ大使館や大阪のアメリカ総領事館で公証する必要があります。

では、ローンを組まないでオール・キャッシュで購入する場合は、このサインの公証は不要ですが、既婚者でご主人だけが名義人になる場合、カリフォルニア州では奥様の所有権放棄証書が必要になり、奥様のサインの公証が必要になります。

 

(7)タイトル(名義)「Grant Deed」およびタイトル保険
アメリカの不動産の所有権・名義は、譲渡証書(Grant Dead)を登録し、確定しますが、証書の積み重ねになるため、どこかで証書解除が抜けているとその前の登録者が残って、所有権者が複数になることもあり得ます。それで大変なことになるので、そのリスクをタイトル保険でカバーします。

具体例で説明します。最初の物件所有者は、Aさんとします。AさんがBさんに物件を売却します。そのとき、Aさんは「Bさんに所有権を譲渡します」という譲渡証書(Grant Deed)に署名して登記します。これで、所有権者はBさんになります。その際Bさんは物件購入のためローンを組んだとします。銀行は物件に抵当権を設定します。抵当権証書を登録するのです。数年後、今度はBさんがCさんに売却。BさんがGrant Dead譲渡証書を署名、登録します。そしてBさんのローンの銀行は抵当権を外すため、再譲渡[返送]証書(Reconveryance Deed)を登録します。次はCさんがDさんに売却。同様にGrant DeedとReconveryance Deed(ローンがある場合)が登録。以下同様にDさんがEさんに、EさんがFさんに、・・・と続いて、今SさんがTさんに売却するとします。SさんがGrant Deedを登録しますが、昔EさんのGrant Deedが記入不十分などの理由で登録されていなかったとしますと、所有権者はEさんとTさんになってしまいます。このような登録漏れは実際にはあり得ないことですが、可能性はゼロとはいえません。そこで、タイトル保険会社が登録済み証書をすべてチェックし、登録漏れがなかったりとか、他の不明な所有権が記載されていないかなどを調べて問題なければ、タイトル保険を提供します。つまり、タイトル保険会社がタイトル保険を出すということは、タイトルもれなどの問題がない、ということになります。

証書の登録ですが、アメリカでは郡という行政区があります。いくつかの市が管轄されています。たとえば、ビバリーヒルズ市や、サンタモニカ市は、ロサンゼルス郡に入ります。この郡の行政所に、Recorder’s Office(登録局)というところがあり、そこに証書の登録をします(実際にはエスクローがタイトル会社に連絡し、タイトル会社の担当員が署名済みの証書をRecorder’s Officeに持ち込んで登録します)。

(8)保険(火災など)
物件に火災保険などを付ける必要があります。特にローンを組む場合、銀行が要求します。また、購入する物件がコンドミニアムやタウンハウスの場合、物件の内部をカバーする保険(HO6)も付けなければいけません。保険会社や保険エージェントは、不動産エージェントに紹介してもらうのが良いでしょう。物件を賃貸に回す場合、オーナーズ保険も必要です。あと地震保険もありますが、これは任意ですが、かなり高額になります。コンドミニアムやタウンハウスは、オーナーの組合(Home Owners Association.略してHOA)に毎月HOA Fee(共益費のようなもの)を支払いますが、このHOA Fee のなかに建物全体と共有部と各戸の外部建物をカバーする保険が入っています。

(9)エスクロー締結と名義変更(登録)
ローン契約書が銀行から出されますと、ローンの諸経費の費用が判明し、買手が払い込む金額が決定します。買手は指示された送金先に送金、エスクローが入金を確認し、すべての条件が整い、登録する証書も完了しますと、翌日に証書が登録されます。その登録をエスクローが確認して、エスクローが締結(クローズ)し、名義が買手のものとなります。

不動産取引の流れ

次回コラムに続く

【このコラムの著者】

金井 規雄

立命館大学経済学部卒、カリフォルニア大学院統計学修士号。
三菱東京UFJ銀行(為替資金部資金課および企業融資担当)入行ロスアンジェルス支店勤務後、Bank of the West日本企業部を経て、2004年コスモ・インベスメント(不動産仲介・コンサルティング)を設立、現在に至る。

カリフォルニア州不動産仲介ライセンス、カリフォルニア州保険ライセンス保有。米国での仲介実績多数。
現地銀行、会計士、弁護士、保険業者、管理会社などとの幅広いネットワークを持つ。

著書に「アメリカ不動産投資の実態。」「アメリカ西海岸で不動産投資 7年で1億円!」「安全!確実!アメリカ不動産投資のすべて」「ドル資産を持て! 世界最強の通貨によるアメリカ不動産投資戦略」がある。

HP: https://www.cosmoinvestusa.com/

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