人口減少が「稼げる土地」と「稼げない土地」の二極化を生み、「稼げない土地」がさらに拡大してしまう… 前回、そんなお話をしました。
なんだか地主さんや投資家にとって、この上ないピンチのようですが、実は大きなビジネスチャンスでもあります。
その1―地主さんのチャンス!
土地の二極化により、今現在もしくは近い将来「稼げない土地」になる可能性のある地主さんは、いったいどうすればよいのでしょう。
… 答えは、「一日も早く稼げる土地に買いかえること」です。
「そうはいっても、先祖から受け継いできた土地を手放すのはちょっと…」とおっしゃる地主さんも多いかもしれません。投資ではなく、財産として代々受け継ぎ、守ってこられた地主さんにとって、土地を手放すことがどれほどのことなのかは私も理解できます。
ただ、このままでは財産の価値をただ下げるだけになってしまいます。
こちらに、ワンルームアパートを10戸建てた場合のシミュレーションがあります。
建築費約5,000万円は全額銀行からローンを借ります。
Aは東京都内の私鉄沿線、駅から徒歩5分の好立地(稼げる土地)、Bはもう少し都心から離れた駅、さらに徒歩25分の不便な土地(稼げない土地)です。
試算をみると、毎月の手取額で210,000円、20年となると50,400,000円もの差が出てきます。
これだけの差があるのなら、稼げない土地を売却し、稼げる土地に買い換えてからアパートを建築した方が有利です。
そのうえで安定した収益を確保していくことこそ、“ご先祖から引き継いだ財産を守る”ことになるのです。
これが「資産のくみかえ」、地主さんに残された唯一のカードです。
「資産の組みかえ」とは、「稼げない土地」を「稼げる土地(もしくは稼げる土地にある不動産)」に買い換えること。(参照:あなたの土地は「稼げる土地」? -金持ち地主でありつづける方法-)
地主さんが「資産の組みかえ」で購入するのは、「土地」に限ったことではありません。「稼げる土地」にあるのなら、中古の賃貸マンションや分譲マンション、テナントビルでもよいのです。
「稼げる土地」や「稼げる土地にある不動産」は人気があります。この先どんどん少なくなってしまうので、「資産のくみかえ」は早ければ早いほうがよいでしょう。
「資産のくみかえ」が成功すれば、じりじりと下がり続ける地価、空室や減り続ける家賃の心配をすることなく、安心して安定した生活を送ることができます。
そして、次世代には価値のある資産を継承させることができるのです。これが地主さんのチャンスです。
その2 ―投資家のチャンス!
さらに、投資家のみなさんにもチャンスが訪れます。それは“既存の地主さんが不動産を売却し、不動産市場が活性化する”ということです。
先祖代々の伝統的な地主さんの場合、投資目的で土地を所有しているわけではありません。いくら誘いがあっても土地を手放さない地主さんが多くいらっしゃいました。
今は、その地主さんたちがいよいよ所有の土地やアパートを売ろうかという状況です。これまで市場に出なかった物件が、多く出回ってくるのです。
多くの地主さんが求めているのは高い利回りより安定収入です。稼げる土地にある安定した家賃を生む優良物件を購入するでしょう。
そういった人気の不動産は価格が高く、投資利回りは低くなりますが、安定収入を求める地主さんにはピッタリです。いわばローリスクローリターンですね。
一方、地主さんが見切りをつけて売却するのは将来に不安を感じる土地や賃貸アパート・マンションでしょう。それらの不動産なら比較的安く買うチャンスがあります。
安く買った不動産の投資利回りは上がります。さらに、工夫次第でより高い利益を生み出すことも可能です。つまりハイリスクハイリターン、これが投資家のチャンスです。
人口が減少する地域だからといって、まったく不動産投資(賃貸アパート経営)ができないわけではありません。
たとえば、管理やメンテナンスが上手くできていないため空室が多くなっている中古物件を“安く”購入するという方法もあります。
購入後、その問題点を解決できれば、多くの入居者を集め、家賃収入を増やして不動産の価値を大きく上げることが可能です。専門的にいうと、「収益改善による付加価値の増加」です。価値が上がった不動産は売却してもよいし、そのまま所有していてもよいのです。
ほかにも、今後ますます需要の増える高齢者向けの住宅やペット共生住宅、また同じ趣味を持っている人たちが暮らすことのできるシェアハウスなどへの投資もよいかもしれません。
ほかにも、アイデア次第でいくらでも土地は活用できるのです。
訪れる変革期-民間賃貸住宅市場は100兆円!
そしてもうひとつ。
地主さんたちはこれからいろいろな理由で、所有する賃貸マンションやアパートを売却します。
1.相続がおきた
2.地主さんが高齢化したが、後継者がいない
3.建物が老朽化したが、リフォームできない
4.賃貸経営が悪化した
5.資産の組みかえ
そう考えると、総価値が100兆円といわれる民間賃貸住宅の市場が大きく動く変革期ともいえるのです。
投資家のチャンスは、あらゆるところに拡がっていくのかもしれません。