アメリカ、カナダ、オーストラリアなど、英米圏先進国では不動産データ公開が進み、分析手法も発達しています。上記の国では基本どの物件についても、売買・賃貸履歴、目安の賃料や現在価値を、日本に居ながら簡単に調べることができます。
どれくらい簡単かというと、「住所をGoogle検索するだけでOK」。アメリカの場合、Zillow、Redfin、Truliaなどのポータルサイトが出てきて、投資判断に必要なあらゆる情報を表示してくれます。不動産知識と初歩的な英語力あれば理解可能。つまり、遠隔地とはいえ購入前に自分で調査できる余地が大きく、きちんと考えて投資すれば、失敗確率を少なくできる。これが、英米圏不動産のメリットといえましょう。
今回は、アメリカのテネシー州メンフィスで、私が最近調査した「3ベッドルーム、2バスルーム、床面積約100㎡の中古一戸建」の事例をとりあげます。ポータルサイトZillowで住所検索した結果、
Rent Zestimate (Zillowの考える月額賃料) 900ドル
Zestimate Forecast (Zillowの考える来年の資産価値) 92,579ドル、年上昇率6.6%
この物件の売買履歴をみると下記の通りです。2006年に前所有者が59,220ドルで購入しましたが、9年後に破綻したようで、2015年5月競売に出ました。当初価格55,000ドルで出ましたが買い手がつかず、7月に49,500ドルに値下げし、結局、9月3日に45,000ドルで売却されました。
少し想像力を働かせると、Zestimateで86,872ドルの査定が出ているのに、約半額の45,000ドルで売買されているということは、地域の平均と比べて、物件の状態がかなり悪いことが推測されます。
実際、この物件が45,000ドルで売却された時の状態はボロボロで、特に屋根と浴室については、「剥がして、貼り(葺き)直す」全面的な工事が必要になりました。結局、買い取った業者が、4万ドル以上かけてリフォームして、賃貸可能な状態にしました。写真をみると、工事の規模や予算がだいたい想像できますね。
現在、この物件は月額900ドルで入居申込が入り、現在審査中。地域平均より明らかにキレイな状態になっているので、「Zestimateの査定価格86,872ドル」より実勢の取引価格はさらに上。地域の平均グロス利回り(10~11%)から逆算して、10万ドル強の価値があると推測されます。
日本でもそうですが、アメリカでも同じ地域に良い状態の物件とそうでない物件が混在しています。上記物件の周囲の物件価格もZillowで一覧表示できますが、「135,000ドル(135K)」で売りに出される良質物件もあれば、「47,000ドル」みたいな価格で投げ売りされる競売物件もあります。それらもろもろを平均した数字が「Zestimate査定価格」ですので、
・地域平均より物件状態が良いと思われる物件は、Zestimateより価値が上回る。
・地域平均より物件状態が悪いと思われる物件は、Zestimateより価値が下回る。
という感じで、だいたいの価格目安として使えるのです。こういう便利なツールを積極的に使って、賢く投資していきましょう。