鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: 海外不動産融資事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

第一回:外国人でも融資がひける国、ひけない国

日本はもちろん、海外でも、不動産投資と融資は、切っても切れない関係があります。

どの国の人にとっても、不動産は安い買い物ではなく、現金買いできる人は少数。持ち家を普及させ、住宅を市場流通させるために、各国とも住宅融資制度を、自国民向けに整備することになります。

先進国はもちろん、東南アジア新興国でも、たとえばフィリピンやベトナム程度の経済レベルがあれば、人々はマイホームをローンで買う流れができつつありますし、より後発のカンボジア、ラオス、ミャンマーでも、数年後にはそうなると思われます。

ただ、自国民が利用できる不動産融資を、その国に住所を持たない外国人(非居住者)も利用できるかというと、それは国によります。

金融機関の立場でいうと、非居住者への融資は一般的にリスクが高い話になります。なぜなら、

・融資審査の段階で、海外での給与収入証明が必要だが、自国と制度や書式が違うので、その真偽や妥当性を確認する手間やコストがかかる。
・資金を貸し付けても、住所が海外なので、返済が滞った際に債権を回収できるかどうか不安がある。

とはいえ、不動産担保融資の場合は、「返済が滞れば不動産を差し押さえて資金回収できる」面があるので、借り手が非居住者であっても問題ないと判断をする金融機関もあります。特に、

・英米圏の金融機関は、不動産担保価値を重視する融資の伝統があるので、外国人・非居住者には比較的オープンな傾向があります。

例えば、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等の金融機関では、非居住者により多くの自己資金を準備させてリスクをヘッジすることを前提に不動産融資を出すことが、一般的に行われています。

・自国の居住者には、担保評価の20%の自己資金を求め、80%を融資する。
・非居住者には、担保評価の30~40%の自己資金を求め、60~70%を融資する。
・利率は、年利2~5%台。年数は20~30年。

上記の国々は、国土の割に人口が少なく、海外の資金やマンパワーを導入して経済発展を遂げてきた歴史があるため、外国人の不動産取得に対する融資にも比較的オープンといえます(注.とはいえ最近では以前ほど簡単ではなくなりました。稿を改めて解説します。)。

東南アジア新興国で、似たような状況にある国が、マレーシアです。同国は近隣諸国に比べて人口が少なく、住宅や都市建設にかかる巨額な費用を、外国人投資家のマネーでファイナンスする政策が行われてきました。特に2011~12年頃は、首都クアラルンプールやジョホールバルに建設予定のコンドミニアムを外国人が買う際に、最大95%まで、融資が出ていた時期もあります。年利は4%台。しかし、マーケットが過熱しすぎたため引き締めが行われ、今では外国人向けに融資出すとしても50%程度のようです。

あとカンボジアも、「人口少ない、海外マネー必要」という意味で、マレーシアと似た状況で、外国人向け融資商品も出ていますが、利率が高い(年利8%以上)ため利用者は少ないです。

以上まとめると、外国人・非居住者に対して不動産融資をしやすい国は、次の特徴があります。

・不動産担保評価を重視する融資スタイルの国(例.英米圏)
・人口が少なく、外国マネー導入を必要としている国(例.オーストラリア、マレーシア、カンボジア)

逆に、次のような国は、外国人・非居住者融資には、どちらかといえば消極的です。

・人口が多く、自国民相手の融資だけで商売が十分成り立つ国(例. 中国、アメリカ)
・個人属性を重視する融資スタイルの国 (例. 日本)

もっとも、上記はあくまで「一般論」であり、個別の不動産物件について、或いは借り手の属性によっては、どの国でも「外国人向けに融資が出る」ことはありえます。

例えば、「タイ」は、一般論として外国人向け不動産融資に積極的な国とはいえませんが、バンコクの一等地で、それなりの価格帯(3000万円以上)であれば、タイやシンガポールの銀行が融資を出すことがあります。あとアメリカも外国人にとって融資が比較的難しい国ですが、物件価格50万ドル(5500万円)を超えてくれば融資受けるチャンスは出てきます。

最後に、日本に支店を出している外国の銀行(例.ナショナル・オーストラリア銀行やフィリピン・ナショナル銀行の東京支店)が、日本の居住者にとって比較的使いやすい住宅ローンを提供することもあります。日本語の相談も可能です。

海外銀行の融資事前審査の証明書(Pre-Approval Certificate)

海外銀行の融資事前審査の証明書(Pre-Approval Certificate)

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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