鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

経済苦境続くギリシャ不動産のいま

ギリシャといえば、ヨーロッパ古代文明揺籃の地。パルテノン神殿に代表される古代遺跡群、陽光あふれるエーゲ海の島々など、観光・リゾート資源に恵まれた世界的知名度の高い国。一方で、もと西側のEU構成国のなかで、経済状況が一番厳しい国としても知られています。

リーマンショックの影響で欧州全体が不況にあえぐ2009年、ギリシャ政府が行っていた国家財政の粉飾が明るみになって以来、何度もデフォルト(国家財政破綻)危機に見舞われてきました。EUの金融支援を受ける代わりに緊縮財政を要求され、政情は安定せず経済はやせ細る一方。マイナス成長が10年近く続き、2007年から2018年までの間に、GDP(国民総生産)は25%も落ち込んでしまいました。

落書きで荒れたアテネ市内の商店

ギリシャ国内の不動産価格も、経済状況と軌を一にしてほぼ10年間下落が続き、平米単価は2008年のピーク時と比べると40%ほど落ち込みました。

ギリシャ不動産価格上昇率の推移

 

ギリシャ不動産平米単価の推移

 

2018年にようやく、わずかなプラス成長に戻りましたので、不動産価格サイクル的にいえば、今こそが「底値」で「仕込み時」、上値を目指すタイミングではありますが、ギリシャを実際に歩いた皮膚感覚でいえば、将来に向けて堅調な経済成長がいまいちイメージできません。一般市民の所得は低迷したまま、銀行の経営危機により住宅ローンも実質的に死んだ状態が続きました。つい最近まで、銀行ATMから現金引出制限があった国なので、キャッシュレスの流れに逆行するかのように未だに現金決済が主流。EUきっての人気観光国なのにカードが使えない‥‥

そんな国情ゆえ、ギリシャ不動産市場では「お金持ち頼り」の側面が強いです。この国の場合、強い不動産バイヤーは3種類いて、

1.ギリシャ本国のお金持ち
2.EU圏のお金持ち(別荘、リゾート目当て)
3.中国・ロシアのお金持ち (EU永住権目当て)

近年、特に強いのが「3」、特に中国人による不動産買いです。南欧~東欧の、経済的に不安定な国では、「EU永住権あげるから我が国の不動産買ってください」政策を採用していますが、なかでもギリシャは欧州最安値「25万ユーロ(約2950万円)以上の不動産現金購入」を条件にEU永住権を発給する政策をとっており、その結果、中国人がギリシャにおける主要な不動産バイヤーとして台頭しています。

中国語が目立つアテネ市内

首都アテネでは、中国人が好むエリアの不動産が局地的に高騰する傾向がみられます。市の中心地に近く、イオニア海に面した高級住宅地グリファダやエリニコンでは、「3~4年間で2倍近く」に値上がった不動産物件も多いとか。次に中国人買いが来るエリアは、アテネ国際空港の先、エーゲ海に面したアルテミダやポルトラフィティと見されており、私の知り合いの中国系不動産業者は、同地区で中国人向けの新築住宅を建てています。

アテネ海近の戸建住宅25万ユーロ

ギリシャでの不動産投資は、地元の民力が低い分、観光客や富裕層、中国人需要をターゲットとするのが良いかもしれません。アテネの観光地は市内中心部に集中しているため、ホテルや店舗などの商業物件が投資に適し、逆に住居には向きません。住宅地としては、上述したアテネ近郊の海に近い住宅地のほか、地下鉄1号線で市内を少し離れた近郊の駅周辺で中流層実需向けマンションが人気。一般的な賃貸利回りは3~4%なので運営で回したいところ。

中国人はアテネに集中しますが、欧州・ロシア人にはエーゲ海の離島(サントリーニ島、ミコノス島など)が人気高く、数億円~数十億円のビーチフロント豪邸がよく売買されています。

アテネ観光バスとアクロポリスの丘

観光客で賑わうアテネ観光地

 

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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