鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

欧州の経済大国ドイツの不動産事情

今日、欧州の経済をリードする国は、まぎれもなく「ドイツ」でしょう。

ドイツ経済は、2018年中盤から減速してきたとはいえ、ユーロ圏全体の貿易黒字のほとんどを一国だけで稼ぎ出し、政府の財政も黒字基調。失業率も欧州有数の低さ。そのため、東欧や南欧の若い世代は職を求めてドイツを目指します。ドイツは出生率低くて高齢化した国ですが、移民や労働者の流入で総人口は増加中。ドイツの住宅市場は中古流通が主流で新築供給力が弱いこともあり、都市部を中心に住宅不足が深刻化しています。

かくも経済が安定した国で、しかも住宅不足なドイツの不動産価格は欧州トップクラスと思いきや、意外にそうでもありません。都市別のアパートメント平米単価をみると、1位ロンドン、2位ジュネーブ、3位チューリッヒ、4位パリと来て、5位にようやくドイツ首位のミュンヘンがランクイン(11,547ドル/㎡)。その他の都市は、首都ベルリンを含め、欧州主要都市で平均的な5000~8000ドル/㎡の範囲内に収まっています。

その理由は、ドイツ国内に圧倒的な大都市が無いことと、この国が伝統的に賃借人保護の法律が強く、家賃を上げるのが難しいことから、不動産投資先としてごく最近まで、国際的に注目されてこなかったという事情があります。

ドイツの住宅価格は、2010年前後から上昇基調が続いています。特に2016年からの直近3年は、名目ベースの価格上昇率が年率7~8%の状態が続き、庶民層にとって住宅難と賃料上昇が社会問題になっています。私がドイツ不動産に出会ったのは、その価格上昇が始まる前(2016年)でしたが、当時は驚くほど価格が安く、利回り高かったのが印象的でした。社会科の教科書に出てきた「ルール工業地帯」の各都市(デュイスブルク、エッセン、ドルトムント等)で、土地付き4部屋の一棟アパートが2000万円、区分が300万円、グロス利回り12%、ネット利回り9%みたいな収益物件が当時はざらにありました。これらは比較的低額な労働者・学生・移民向け賃貸住宅ですが、住宅不足なので空室率は低く、安定した賃貸経営が可能。いま思うと、あのタイミングで買った人は先見の明があったといえます。3年前にネット利回り9%出ていた物件が、いま買うと6~7%程度ですから。

ベルリン、フランクフルトなど大都市に行くと、3年前のネット利回り4%前後だったのが、今買うと2~3%といったところ。首都ベルリンはここ3年で海外の投資マネーが入り、マンションの坪単価150万円程度だったのが3年で250万円になる等、本当に価格上がりました。ドイツ最高額都市ミュンヘンでは、都心近くの稀少立地物件が坪500万円近くで分譲される事例も出て、さすがに高騰感があります。ただ、前述のルール工業地帯や、ブレーメン、ライプチヒなど、まだ割安で買える都市も多数残っているのがドイツの面白いところ。住宅不足は当面解消されないので、こういう街の不動産価値は底堅く推移するでしょう。

ドイツの住宅文化は、都市部では石造りの集合住宅に住むケースが多く、築100年超の建物も当たり前にあります。賃借人が法律で守られる伝統から、今でもドイツ人口の過半数は賃貸暮らし。またドイツの一般的な賃貸住宅では、入居時点で家具はおろか台所まで無い状態で貸すのが一般的(台所セットは入居者持ち込みになります)。オーナー視点でいうと賃貸需要が強く、退去時リフォームがシンプルなのがありがたいですね。

ドイツ古い賃貸住宅でもきれいに暮らす借家人が多い

ドイツ台所無しで貸す賃貸住宅

ドイツの一般的な低価格住宅

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資の流れ9ステップを解説! 目標設定から物件引き渡しまで

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 住宅メーカーのアパート戦略と不動産投資家のとるべきスタンス ~大和ハウス、積水ハウス、大東建託の考察~

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.42 ASEAN各国の災害リスクとは?

佐藤 益弘

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

最新コラム: 高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 物件購入後に出て行くお金、「想定外」を「想定内」に

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 物件オーナーが火災リスクから身を守る4つのポイント

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 28.「決算書思考」で不動産投資が変わる(後編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。