鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: かしこい海外不動産投資

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

知らないと損する!国際税務知識

ここ数年、特に東京では、数多くの海外不動産投資セミナーが行われるようになりましたが、そのほとんどは「物件紹介セミナー」。要は、海外物件販売のためのイベントです。

海外の不動産を買うと、当然、「税金の問題」がついてきます。

日本で不動産物件を買う、所有権登記する、家賃収入や売却益を得る・・・当然、確定申告が必要になりますね。それは海外物件とて同じこと。賃貸収入や売却益が出た際は、物件所在国で源泉所得税や譲渡益税(キャピタルゲイン税)の納税義務が発生します。

しかし、海外不動産を紹介する業者のなかで、その国の税制に精通し、どんな場合にどの税金をいくら払うのか、明快に説明できる者がどれだけいるのでしょう?(特に新興国の場合は、税制や運用がまだ確立途上。いろんな専門家が違うことを言うので、明確な回答はとても難しいです・・・)

私たちが海外物件を買う際に、むしろ気をつけるべきは、「日本の確定申告への影響」だと思います。というのも、日本の税制は「全世界所得課税」が原則。日本に住所のある「居住者」である限り、国内外を問わず、所得は全て日本で申告する義務があります。

外国で生じた不動産所得も、日本で申告すれば、日本の税法に基づいて解釈されます。そのことで、私たち投資家が、トクすることも損することもあります。

トクすること・・・たとえば中古物件の減価償却。海外で、法廷耐用年数を過ぎた物件(例.築22年以上の木造家屋)を買って、日本で申告すると、簡便法が適用されて、「建物部分は4年で償却」可能になります。たとえば米国では物件価格の8割程度が建物部分の価値になるので、高額所得者には、節税効果が特に大きい。

逆に、知らないと損すること・・・代表的なものは、贈与税でしょうね。英語圏では、夫婦で不動産を買うと、夫婦共同名義(持分は夫:50%、妻:50%)になるのが一般的ですが、たとえば日本人夫婦が英語圏の不動産を購入し、その資金の出所が「100%旦那のお金」である場合、日本の税法では「贈与」とみなされ、「物件価格の50%分」が贈与税の対象になってしまいます。

特に、基礎控除の2500万を大きく超える海外の高額物件を上記方式で買ってしまうと、後日、シャレにならない贈与税負担に悩むことになりかねません。

贈与税・・・海外不動産で足をすくわれる、ことにならないように!

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贈与税を回避する方法はあります。たとえば購入時に、「夫が50%、妻は50%を拠出した」エビデンスをつくる(例.銀行通帳の入出金記録や、公正証書)・・・ただ、購入後に後付けでエビデンスつくることは無理なので、物件購入前に知っていないと対処できませんね。

もう一つ・・・海外物件を買った本人が亡くなった場合の遺産相続の問題も無視できません。日本の相続はシンプルで、遺産分割協議書を役所に提出すれば自動的に相続開始になりますが、一方、英米圏では「プロベート(Probate)」という相続手続きがあって、遺産管理人や裁判所での債権債務の清算が済んで、はじめて相続人に分配されるルールになっています。

英米圏の遺産相続(Probate)は煩雑で、とても時間がかかる・・・

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この手続きに1~2年、あるいはそれ以上の時間がかかることも珍しくなく、場合によっては、海外不動産の相続を受ける前に、日本の相続税支払いが発生する憂き目になりかねません。

これを回避する方法として、たとえば、「法人で不動産購入する」とか、「ファミリートラスト(家族信託)をつくる」などがありますが、これも、物件購入前に知っておかないと対処はできません。

海外不動産投資の世界はまだ新しくて、未成熟。現時点ではどうしても、海外物件購入が先行してしまい、税務・法務知識が後付けになってしまう問題があります。

しかし、上記の問題を回避するためにも、海外物件を買う前に、あらかじめ国際税務の専門家のアドバイスを受けておくことを、是非おすすめします。

邦貨換算、数百万円程度の低額物件を買うならともかく、数千万や億の単位になると、上記の税務知識があるとないとでは、後日、日本での税負担でが大きな違いが出てしまう可能性があるのです。

今の日本では、個人投資家レベルで相談できる、国際税務の先生が極端に少ないです。私の主宰する、海外不動産投資コミュニティ「アジア太平洋大家の会」にご相談いただければ、良い先生を紹介することは可能です。

アジア太平洋大家の会 事務局 daihyo@asia-pacific.tv

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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