鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: かしこい海外不動産投資

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

カナダ不動産事情

カナダ…北米大陸の北半分を占め、日本の約26倍という広大な国土を持つ国、人口は約3400万人。首都はオタワ。

カナダはヨーロッパから来た英国系とフランス系移民が主力となって建国されました。大雑把に言って、国土の西側3分の2が英語圏、東側3分の1が仏語圏です。いずれもカナダの公用語ですね。カナダは世界中から移民を受け入れ、近年はアジア系人口も増えています。

カナダは「資源国」として知られています。石油、天然ガス、ウランをはじめ、世界有数のエネルギー・鉱物資源の産出量を誇り、これらを輸出して外貨を稼いでいます。また広大な国土を活かした食糧生産・輸出も盛んです。

とはいえ一次産品だけに依存する経済構造ではなく、金融、サービス、教育はじめ多様な産業が発達し、世界的にみても高い所得・生活水準を誇る、れっきとした先進国、G7構成国の一つでもあります。

超大国「アメリカ」と長い国境線で接しており、同じ英語圏ということもあり経済的、文
化的に大きな影響を受けます。カナダの景気もアメリカの経済状況に左右される面が大きいです。

【州によって経済や産業が違う】

カナダは国土が広大なため、日本と勝手が違う部分もいろいろあります。たとえば
地図を見ながら、カナダの西側から東側まで俯瞰してみましょう。

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『カナダ西部』
・太平洋岸の「ブリティッシュ・コロンビア州」(最大都市:バンクーバー)はアジアとの関係が深く、貿易や観光が盛ん。
・「アルバータ州」(同:カルガリー) は膨大な量の石油を産出する、カナダで一番富裕な州。金融業も発達。
・「サスカチュワン州」と「マニトバ州」は、農業、肥料生産が盛ん。

『カナダ東部』
・カナダ最大の人口と経済規模を誇る「オンタリオ州」(同:トロント)は、アメリカとの貿易が盛んで、製造業はじめ多様な産業が発達。グローバル企業の本社も多い。
・「ケベック州」(同:モントリオール)はフランス語圏に属し独自の文化圏を形成。木材関連、製造業が盛ん。
・大西洋岸の「ニューファンドランド」「ニューブランズウィック」「ノバスコシア」三州は、漁業や公共事業に依存する面が大きく、一部を除いて経済基盤は弱い。

(※あと、国土の北半分を占める広大な地域が「ノースウェスト準州」「ヌナブト準州」「ユーコン準州」に属しますが、気候が厳しく人口は非常に稀薄。)

【州によって税制や税率が違う】

主要なものだけ書きますと、カナダの消費税は、連邦税と州税の二本立てになっており、富裕な州ほど州税は安くなる傾向があります。

たとえば、石油産出州アルバータ州は州税ゼロ、住民は5%台の連邦税だけ払えば良いですが、経済基盤の弱い大西洋岸は州税が高く、連邦税とあわせて13~15%に達する州もあります。不動産に直接関係する「固定資産税」や「キャピタルゲイン税」(譲渡益税)の税率も州によって異なります。

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【不動産市場の状況】

広大なカナダ全土で一様な状態はありえず、当然ながら各地域の産業経済の影響を受けます。たとえば

・バンクーバーは、カナダで一番温暖な気候を持つ風光明媚な都市で人気が高く、アジア(特に香港系)富裕層が大量流入した経緯もあり、都市人口や平均所得はカナダでトップではありませんが、不動産価格が一番高くなっています。

・アルバータ州(カルガリー等)は、所得水準が高いので家賃水準も高く、不動産価格は上昇中ですがバンクーバーやトロントよりまだ低いため、賃貸利回りは概して高め。

・トロントは、カナダ最大都市ゆえ不動産価格はバンクーバーに次いで高い。

なお、2014年後半以降、エネルギー価格が急落しているため、ここ数年ブームが続いたアルバータ州の不動産市況も上昇から横ばいに転じています。一方で石油を産出せず、消費する側の東部諸州は、エネルギー価格下落すれば地域経済にもかえってプラスの影響が出るといわれています。

【通貨カナダドルの動向】

資源通貨なので、豪ドル等と同様、エネルギー・資源価格の影響を強く受けます。いまカナダドルは米ドルに対して、日本円と同じくらい下落しています。

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2012年以降、日本円がアベノミクス、金融緩和路線で、米ドルやユーロに対して大幅に下落していますが、カナダドルと円を比較してみると、上下はしてますがだいたい1カナダドル=90~100円の範囲に収まっています。

【カナダでの不動産投資】

日本国民でもカナダ国民同様、同国内での土地建物を所有することができます。

人口の着実な増加、安定した金融システム、築年数が経っても建物の状態が良ければ銀行の担保評価が出る制度によって、同国の不動産価格は堅調に推移しており、多少の浮き沈みはあれど「年率数%値上がるのが当たり前」の状態が続いています。

2008~10年にかけて、リーマンショックの影響を受けましたが、不動産価格の下落幅はカナダの主要都市で10~15%前後にとどまり(※アメリカでは50%以上下落した都市もある)、その後は持ち直しています。

カナダ地方都市で典型的な一戸建て
木造建築が多く、一階部分と地下部分に3~4部屋が設けられているのが、典型的な家族の住まい。

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大都市部では集合住宅も多い

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また、賃貸に出した場合の契約期間は1年間が多く、契約更新のタイミングで賃料を値上げするのが当たり前。なお、州によっては賃料の値上げ幅を法律で規制しているところもあります。

なお税金ですが、不動産所有時に支払う固定資産税が、概して日本と比べて高めです。その代わり、キャピタルゲイン税(譲渡益税)や相続税の負担は日本と比べて低め。アパート・タウンハウスなど集合住宅を購入する場合は、「管理費」と「修繕積立金」に相当するCondo Feeが毎月かかり、暖房費も含まれるのでオーナーには結構な負担になります。

また、入居づけや共用部の清掃、冬場の除雪や暖房機器のメンテなどは現地の管理会社に任せることになりますが、その費用は賃料の10~12%が相場で、入居時、空室時に関わらず徴収されることが多い。まとめると、カナダは不動産保有時のコストが結構高く、利益確定時のコストは比較的安いといえます。

最後に、日本人がカナダで不動産を購入する際、現地の銀行から融資を引くことは可能です。現時点では、物件価格の65%を融資で調達、35%は自己資金で用意することになります。融資申込に先立って、最低一度はカナダに渡航して、銀行口座を開設する必要があります。

お知らせ…2月14日土曜日、アルバータ州を中心に、カナダの収益不動産を紹介するセミナーを東京で開催しますので、興味のある方は参加してみてくださいね。
アジア大平洋大家の会主催「資源国カナダ不動産投資セミナー@東京」

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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