鈴木 学の不動産投資コラム

シリーズ連載: かしこい海外不動産投資

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

海外お宝物件が長続きしない理由

今回も辛口のコラムでいきますね。

私の主宰する「アジア大平洋大家の会」は、2011 年以来、世界各国の不動産物件を扱う仲 介業者さんとお付き合いしつつ、セミナーや海外ツアーを行ってきましたが、彼らとのや り取りで、よく思うこと、

業者さんが持ってくる最初の案件は、投資視点からみて光る物件が多い。
でも二番目に持ってくる案件は、微妙なものが多い。

具体的な業者名や国名は出せませんので、一般論として言いますが、なぜ、「お宝海外物件」 をコンスタントに出し続けられる業者が少ないのか、理由を考えてみました。


理由1):現地分譲価格の値上がり

これは東南アジア等の新興国で、現地デベロッパーがコンドミニアムを建てて、仲介業者
が日本人向けに販売をする際に良く起こる話ですが、

現地は経済成長中、インフレ中なので、時間の経過とともに物価が上がります。そして、 物価上昇以上のスピードで、デベロッパーが分譲価格を値上げしてくるのが世の常です。 仲介業者としては仕入れ価格が上がるので、それを販売価格に転嫁せざるを得ません。

業者さんから紹介された一軒目は、「おお、立地やグレードの割になかなか安くていいな」 と思っても、時間の経過した二軒目になると、「えっ、いつの間に、こんなに高くなったの?」 と驚く…想定利回りなどを考えると、どうしても微妙に見えてしまうのです。


理由2):現地物件の供給過剰

経済発展中の新興国では、とにかく、ものすごい勢いで高層コンドミニアムが建ちまくり
ます。供給戸数も一プロジェクトあたり数千戸が当たり前で、それが何十棟も一気に供給 されたりします。一方で現地国の賃金水準はまだ低く、コンドミニアムを借りられる人や、 買える人の数は限られる。市場が小さい分、すぐ飽和して、供給過剰になりやすい状況です。

そうした建築ラッシュのタイミングで、日本人の仲介業者が物件を紹介してくるわけです

が、1軒目の時点では「まだライバル少なくて何とかなりそう」と思っても、2軒目3軒目になると、すでに「周りに似たような物件がボコボコ建って」魅力が薄れることも、よくある話です。


理由3):業者側の組織維持

業者側の都合で、微妙な物件を紹介せざるを得ないことも、新興国先進国問わず、よくある話です。

最初に取り扱った海外物件がヒットしてたくさん売れた場合、業務量も増えるので普通は 人を雇います。当然、経営者としては人件費を払い続けることを含めて、組織の維持拡大 を考えなくてはならない。

手っとり早く利益を上げるためには、「デベロッパーからコミッションが多くもらえる物 件」を扱うか、「販売価格に自社分の利益を上乗せする」ことになります。その結果、彼ら の紹介する2軒目、3軒目は、1軒目と比べて投資妙味が乏しく見えてしまうのです。

これは、ある意味仕方ないことかもしれません。経済学でいう「収穫逓減の法則」ではな いけれど、新興国なら当然、現地物価や物件価格は上がるし、供給過剰リスクもすぐ顕在 化する。業者としても利益を上げて、商売として成り立たせなければならない。

だからこそ、私は物件個別の収益性の見極めが大事だと考えます。

収益性の指標について、海外と日本で差はありません。

・想定キャピタルゲイン
・想定利回り (表面、実質、キャップレート)
・投資利益率
・ポテンシャル (レノベ―ションやリフォームなどをすることにより、得られる想定収益)

・・その辺です。

少なくとも、業者が信用できるからといって、その業者が推薦する物件なら信用する、と
いうスタンスを、私は採りません

これ、日本で賃貸経営やっていれば、当たり前の感覚なんですけどね。私たちが手にする 収益は、基本、「物件力+運営力」で決まります。運営する上で、管理会社とのパートナー シップは大事ですけど、売買仲介した業者などは、ある意味、どうでも良い。

もっとも、海外不動産の場合は日本と言葉も商習慣も違うし、日本人投資家が安心して取 引できるインフラも未整備なので、物件ひとつを買うにも仲介業者の語学力や知識に依存 する面が大きくなります。

ただ、彼ら業者が不動産としての収益性を見極めた上で紹介できているのかというと、そ うとは限らないので、彼らの言うことを鵜呑みにせず、自分でよく考えて、よく調べて、 海外の良い物件を買っていきたいと思います。

【このコラムの著者】

鈴木 学

アジア太平洋大家の会 会長
1968年千葉県生まれ。一橋大学社会学部卒業。
卒業後、ITエンジニア・マネジャーとして、日本、豪州、中国、米国、インドの5ヶ国で勤務経験あり。海外在住経験は8年間。 2002年、豪州シドニーで不動産を買い賃貸に出し、日本から遠隔管理して自信をつけたことを皮切りに、現在では、日本、オーストラリア、米国、タイ、英国、ドイツに、計21室を所有・経営するグローバル大家。

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