こんにちは!IREM JAPAN 東京支部長の右手(うて)です。
今回のテーマは皆さんが投資物件を購入・保有される際に、気になる「利回り」についてのお話です。
利回りを簡単に説明してみれば、その物件が稼ぐ売上や利益の収益率ということになります。
皆さんは一体どのくらいの利回りを、希望されているでしょうかね。
一般的には、利回りは高い方が儲かるというイメージがあります。
さて、ここでひとつ事例を提示させていただきます。
利回りと物件の価格の関係を確認してみてみましょう。
【設定条件】
1.同じ駅を利用している物件である。
2.どの物件も年間1000万円の利益(NOI)を稼ぎます。
3.物件数は全部で、6つあります。
4.6つの物件はそれぞれ最寄り駅からの距離が異なります。
A物件・・・徒歩5分
B物件・・・徒歩10分
C物件・・・徒歩15分
D物件・・・徒歩20分
E物件・・・徒歩25分
F物件・・・徒歩30分
5.これらの物件が、開放された市場で取引される際の利回り(キャップレート)は、概ね以下のような収益率となっています。
さて、これらの物件の価格はいくらになるでしょうか。
ここでは次の計算式を使用して、物件の価格を算出します。
物件の価格=NOI(営業純利益)÷市場の利回り(キャップレート)
例えば、A物件の価格=1000万円÷6%=1億6666万円となります。
これらの物件は、どれも年間1000万円稼ぐのですが、物件の価格にはこれほどまでの差が出てくるのです。
要するに、利回りの数字が大きいほど、同じ1000万円の物件を購入するのでも安く購入することが出来ます。
安く購入できるということは、それだけ価値が低いということになるのです。
しかし、この内容を冷静に見てみる必要があります。
同じ1000万円の儲けを得ることが出来て、なおかつ安い物件であれば、お買い得だと思われるでしょうか。
この物件の価格の差は、立地条件の差により、利回りが変化してきています。
この駅からの距離というものは、入居者を集めていく場合の長所にも短所にもなる部分です。
立地に応じて供給商品が適正に共有されていれば、リスクは低くはなりますが、賃貸物件の場合には、どうしても駅までの距離ということによって市場ニーズには大きな差が生まれています。
ここでわかるようにリスクが大きくなると、利回りの数字も高くなります。
安全性を確認する場合に、国債の利回りを見ることがあります。
各国の10年もの長期国債の利回りを比較してみましょう。(2013/11/15)
これらの利回りをご覧いただけると、ご理解が深まると思いますが、日本の国債利回りは本当に低いですよね。2番目に利回り=リスクが低い国がドイツになる訳ですが、ドイツと日本の差は1%強ある訳です。アメリカで2.7%、イタリアは4%、ギリシャは8.9%、ブラジルは12%という数字となっています。
一概には言えませんが利回りの数字が高い国ほど、破綻するリスクも高いといえます。
この考え方は、収益不動産における「利回りとリスクの関係」と同じであるということなのです。
利回りとリスクの関係は、常に背中合わせのものであることをご理解ください。