佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

2015年に変わった“意外と知られていない”大きなこと!?

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

2015年も後わずか。今年は昨年に引き続き、異次元的金融緩和の下、実質的な物価上昇がみられる一年となりました。
年内最後のコラムは、“意外と知られていない”不動産関連の事柄で今年変わった“大きな”ことについてお伝えします。

① 今年はどんな年だったか?

2015年は、3年に1度の評価替えの年でした。
そうです。固定資産税の基準である固定資産税評価額が改訂される年でした。

そもそも四半世紀前のバブル経済期には、特に「土地」の固定資産税評価額は公示価格の1~2割と言われ、安価でした。ところが1990年代の地価高騰による評価変更により、現在の公示価格の7割評価となりました。 当然、そのまま税金の計算をすると3.5~7倍に一気に納税額が跳ね上がるので、負担調整措置という施策を行い、何十年も掛けて“徐々に”税金を上げていくようにしたことから、バブル崩壊後の固定資産税の負担感は大きくなる一方です。

それに対して不動産投資の主用途である「建物(住宅)」に関しては、経年により単純に減価する仕組みになっており、特に木造一戸建て住宅に関しては20~25年で価値が0になる仕組みとなっています。

② そんな中、どんな問題が持ち上がったのか?

2015年3月に公表された「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル報告書(国土交通省)」では、そもそも中古住宅の評価の適正化の話が大きな議論の対象で、そのスタートしました。

以下の図はその会議時にも使われた貴重なデータですが、実は日本全体でこれまで住宅に使った金額が約900兆円なのに対して、実際に資産価値として残っているのは約350兆円で、実に550兆円もの価値が失われているということです。550兆円といえば、日本が1年間で稼ぎ出す(儲け)=GDPが500兆円ですから、それと同じ額だというくらいです。とても巨大な金額です。

参考資料:中古住宅市場活性化ラウンドテーブル報告書

参考資料:中古住宅市場活性化ラウンドテーブル報告書

さすがに国もこれはただ事ではないということで、その理由について数年前から確認をしていました。

2012年6月に 不動産流通市場活性化フォーラムで提言がなされた内容は以下の通りです。

・ 建物の評価が正しくなされていないので、建築年数を基準とした評価基準(手法)に見直すべき
 ↓具体的には・・・
・ 経年で一律に減価する現在の評価方法ではなく、個々の住宅の品質を重視した評価へ変更
 ↓そのために・・・
・ インスペクションの結果や瑕疵の有無等を十分に把握して精緻に価格評価に反映していくことが重要で、
・ 金融機関の担保評価への反映も視野に入れる
 ↓また、
・ リフォーム等を担保価値として評価する仕組みも検討すべき
つまり、今後、中古住宅を中心に行われる不動産関連の改訂の第一弾として、「建物の評価価値を上げる」ことにしたわけです。

③ 2015年、建物評価はどうなったのか?

さまざまな議論を経て、2015年7月に「既存戸建住宅の評価に関する留意点」の策定・公表されました。
これは、不動産鑑定を専門に行う不動産鑑定士が「既存(中古)戸建住宅の評価を行うに当たって、建物の性能やリフォームの状況等を的確に反映し、信頼性の高い価格情報を市場に提供すること」を目的として策定されたルールです。

また、同時に宅建業者の建物評価実務の改善も図られました。
宅建業者向けに実務で用いる価格査定マニュアルを策定している 公益財団法人不動産流通推進センター が「既存住宅価格査定マニュアル」を改訂しました。

どのような改訂が行われたかといえば、
「中古戸建住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」の内容を取り入れた改訂
 ・ 建物の基礎・躯体のランクを最上位のものから標準的なものまで5段階に分け、それぞれの耐用年数を設定
 ・ 基礎・躯体について、劣化状況の判定を価格査定に反映
 ・ 屋根、外壁、外部建具、内部建具、内装、台所、浴室・洗面・トイレ、給湯設備の各部位について、修繕や取替えといったリフォームを価格査定に反映するため、リフォームされた部位の耐用年数が延伸する仕組み

社会情勢の反映
 ・ 戸建住宅の価格査定に反映させる基礎的な資料の整備状況
 ・ 新耐震基準に関する評価
 ・ 情報開示等に関する評価を新たに戸建住宅の価格査定に反映
 ・ 付加価値設備に関する評価の見直し
などです。

④ 大胆予測! 今後、どうなるのか?

 上記の改訂により、徐々に建物価格にも影響が出てくるでしょう。

以前、2000年に「土地」の鑑定評価基準が変更した際に起きたことは、みなさん、認識されていると思います。
それまでの評価=価格は「みんな上がれば上がるし、下がれば下がる」という基準でした。
ところが、基準が改定され、それが実行された2002年から個別対応中心の評価となり、二極分化≒格差が生まれました。

 今回の改訂で、「建物」の鑑定評価が変化し、固定資産税評価額がUPするのは必至でしょう。

つまり、不動産投資家にとっては、維持コストが上がり、耐用年数が延びることで、減価償却費など節税に利用される数値が低く抑えられてしまうことを意味しますから、投資利回りに影響が小さいはずがないと感じています。

また、売買価格や賃料などは二極分化=格差がより一層進むモノと思われますから、個々の不動産の相場などと睨めっこすることとなるでしょう。

2016年は自分自身の投資プランを、再度見つめ直すことから始められるとよろしいと思います。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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