佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

地域包括ケアシステムで変わってゆく不動産投資

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

2015年国勢調査人口速報集計が公表され、人口は1億2,711万人、前回2010年調査より94.7万人減少となりました。
調査以来初の人口減少で、同時に高齢化も確実に進んでいます。

我が国は諸外国と比べ、既に例をみないスピードで高齢化が進行しています。
既に65歳以上の高齢者人口は3,000万人を超え、国民の約4人に1人になっています。
また2042年に約3,900万人でピークを迎え、その後も、75歳以上の人口割合は増加し続けることが予想されています。

事実、昨年2015年は、いわゆる団塊の世代といわれる年齢分布の割合の大きな世代が高齢者(65歳以上)になり、年金を受給する年齢に達しました。また、同時に、政府は10年後の2025年に同世代が75歳になるので、公的医療保険や介護保険の増加が不可避であることから、対策が急務となっています。

この様な中、年金に関しては「定年の延長」や「さらなる受給年齢の引き上げ」が検討され、また、公的医療保険に関しては「保険点数の見直し」、介護保険に関しては「在宅介護を原則とする」など改正が進んでいます。

高齢期の住まい方にもこれら社会保険の変化が大きく影響することから、今回、今後の政府(厚生労働省)の指針である「地域包括ケアシステム」について見ていきたいと思います。

◎地域包括ケアシステムとは?

上記の団塊の世代(現在約800万人)が75歳以上となる2025年以降に国民の医療や介護の需要がさらに増加することが見込まれています。
厚生労働省は、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。

具体的には、以下の図にあるとおり、5つの構成要素と「自助・互助・共助・公助」から成り立っています。

地域包括ケアシステムにおける「5つの構成要素」(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書)

地域包括ケアシステムにおける「5つの構成要素」(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書)


「自助・互助・共助・公助」からみた地域包括ケアシステム(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書)

「自助・互助・共助・公助」からみた地域包括ケアシステム(平成25年3月 地域包括ケア研究会報告書)

この中で生活の基盤として必要な住まい=住宅は、「介護」、「医療」、「予防」という専門的な「生活支援・福祉サービス」の前提として位置付けられており、本人の希望と経済力にかなった住まい方が確保されていることが前提になっています。

また、特に高齢者の単身世帯や高齢者のみの世帯がより一層増加することが予想され、特に都市部では、「自助・互助・共助・公助」の観点から、強い「互助」を期待することが難しい一方、民間サービス市場が大きく「自助」によるサービス購入がメインになることで、新たな産業が生まれることが期待されています。

◎迫り来る「都市部の高齢化」

65歳以上の高齢者数は、2025年には3,657万人となり、2042年にはピークを迎える予測(3,878万人)。また、75歳以上高齢者の全人口に占める割合は増加していき、2055年には25%を超える見込みです。
特に、75歳以上人口は、都市部では急速に増加し、もともと高齢者人口の多い地方でも緩やかに増加する。各地域の高齢化の状況は異なるため、各地域の特性に応じた対応が必要になります。

賃貸住宅に関しても高齢者対応の重要性が高まることが容易に想像できます。

【都市部と地方の75歳以上年齢の予想】

参照:都市部の高齢化対策の現状(厚生労働省老健局)

参照:都市部の高齢化対策の現状(厚生労働省老健局)

◎新しい住生活基本計画でも

そのような中、4月より新しい住生活基本計画が始動しています。

詳細は後日、本コラムでしたためたいと思いますが、その中でも、以下の目標案(計画期間:2016 年度~2025 年度)が掲げられています。

<居住者からの視点> 目標2
「新しい高齢者向けの住まいのあり方を示すことによる高齢者の身体状況等に応じた安心かつ快適な暮らしの実現」「サービス付き高齢者向け住宅の需要に対応した供給や地域のサービス拠点化等による高齢者の居住の安定確保 等」

<産業・地域からの視点> 目標7
「強い経済の実現に貢献する住宅に関連する産業の成長」の④で「子育てや介護・医療支援のための住生活関連の新たなビジネス市場の創出 等」

現に借家人の高齢者割合が増加している大家さんについては、身寄りのない高齢者の方も増えてくるでしょうから、不測の事態に備え、地域包括ケアシステムの行政窓口である「地域包括支援センター」等と交流を始めるのも良いでしょう。

今回の「地域包括ケアシステム」のように、一見不動産と関係の無い施策でも、実は住宅政策の根幹である「住生活基本計画」とも関係性の高い≒大きく影響を受けているケースもあります。

今後も様々なアンテナを張り、情報収集に努めましょう。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

LIFULL HOME'S 不動産投資編集部

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 会社員の副業は不動産投資で決まり!?副業で取り組むメリット4つとは?

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 不動産投資で押さえておきたい土地の公的価格

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.41インドネシア不動産投資のチャンス その2

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: ヨーロッパの不動産事情

最新コラム: 経済苦境続くギリシャ不動産のいま

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 利下げと不動産投資

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: フィッシャー・ハドソン・ウィルソン・モデル

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 27.「決算書思考」で不動産投資が変わる(前編)

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。