佐藤益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

公文書「今後の建築基準制度の在り方について」(第三次答申)から見る不動産投資の未来

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

前回前々回と国土交通省(住宅局)の来年度予算から不動産投資への影響を大胆に考えてみました。

今回は、2月22日に国土交通省住宅局建築指導課から公表された 社会資本整備審議会建築分科会及び建築基準制度部会の「今後の建築基準制度のあり方について」(第三次答申)をベースに、今後、変更されることが予想される建築基準について考えてみようと思います。

読者の中には、既存(中古)の木造賃貸アパートを1棟単位で投資されている方も多いでしょう。また、不動産投資を行おうとしている方の中にも、既存(中古)の木造賃貸アパート1棟単位で投資したいと思われている方もいらっしゃると思います。今回の答申は、そのような方達には影響がある内容です。

経緯

この一連の動きは、平成24年8月10日に国土交通大臣より諮問された「今後の建築基準制度のあり方について」で、「木造建築関連基準等のあり方」や「構造計算適合性判定制度等の確認検査制度のあり方」、「耐震改修の促進に関する法律など関連規制等のあり方」について審議されたことに始まります。

その後、平成25年2月21日に出された「住宅・建築物の耐震化促進方策のあり方について」(第一次答申)に基づき、「一定の建築物に対し、耐震診断を義務付けること」や「耐震改修計画の認定で、容積率等を緩和すること」等が規定された耐震改修促進法の改正がなされました。

また、平成26年2月14日に出された「木造建築関連基準等の合理化及び効率的かつ実効性ある確認検査制度等の構築に向けて」(第二次答申)に基づき、「木造3階建ての学校等を建築可能にすること」や「構造計算適合性判定の対象の見直し」「建築物の定期調査・検査制度を強化すること」等を規定した建築基準法が改正されました。

そして、今回、平成30年1月30日に「今後の建築基準制度のあり方について(第三次答申)」が答申されました。

お気づきだと思いますが、過去2回の答申の後、1年以内にその答申の内容が反映された法改正がなされていますので、今回も同様の動きになると思われます。

国土交通省住宅局建築指導課 社会資本整備審議会「今後の建築基準制度のあり方について」(第三次答申)より


今回の答申の内容

今回の答申は、「既存建築ストックの有効活用」、「木造建築を巡る多様なニーズへの対応」、「建築物・市街地の安全性及び良好な市街地環境の確保」の観点から、可及的速やかに対応すべき施策について提言されています。今後の不動産投資に関しても無視ができない事柄が多く記載されています。

具体的に、「既存建築ストックの有効活用」については、
・空き家総数がこの10年間で1.2倍、20年間で1.8倍に増加しており、既存ストックの利活用が極めて重要であること
・既存建築物の活用に当たり、建築基準法への適合に大規模工事が必要となる場合が課題で、特に、防火・避難規定等の合理化による既存建物活用に資する技術開発が必要であること

が掲げられています。

つまり、不動産投資の観点から見て、今回の答申のキーワードは、「既存住宅の利活用促進」「防火・避難規定等の合理化」ということです。
このキーワードに基づき、規制緩和と一定の規制強化が行われると予想されます。

国土交通省住宅局建築指導課 社会資本整備審議会「今後の建築基準制度のあり方について」(第三次答申)より

例えば、消火までの倒壊防止性能、避難中の倒壊防止性能、延焼防止性能により、木材利用の促進やより合理的な性能設計が実現され、3階建ての戸建住宅等を対象とした防火規制の合理化が行われるでしょう。

また、壁面線等に沿って建替えをする場合の建ぺい率の規制を合理化≒緩和することや、大規模な長屋等の建築物については、地域の実情に応じ、条例により、共同住宅と同様に接道規制を付加する≒規制の強化などを可能とする改正が行われる予定です。

従来、長屋と集合住宅の規制が違い、長屋の規制が緩やかであることにより、特に都市部にて袋地など避難や消火がしづらい場所に集合住宅とさほど変わらない大規模な長屋が増えてしまった経緯があります。そこで、そのような大規模な長屋にも集合住宅と同等の規制をかける必要があったわけです。

読者のみなさんの中にもこのような長屋で賃貸経営をされている方もいらっしゃると思います。
また、具体的になれば、本コラムで追記したいと思いますが、みなさんも注視して情報収集をしていきましょう。 

【このコラムの著者】

佐藤益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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