佐藤益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

国の空き家対策から考える 生き残る賃貸住宅の基準

いまさら聞けない、不動産投資のキホン

3月27日、国土交通省は2018年1月1日時点の公示地価を公表し、3大都市圏の地価上昇に止まらず、バブル崩壊後26年ぶりに地方圏の商業地が前年比0.5%上昇し、プラスに転じました。外国人旅行者の増加でホテル用地の地価の回復で地方部に広がりつつある状況が鮮明になっています。

さて、今回は、年度末ということもあるので、みなさんが注目している空き家に関して出された国土交通省の資料から私なりの解釈をしたためてみたいと思います。

前回の公文書(社会資本整備審議会建築分科会及び建築基準制度部会の「今後の建築基準制度のあり方について」(第三次答申))の参考資料の中で、気になった資料がありました。
以下の資料です。

国土交通省住宅局建築指導課 社会資本整備審議会「今後の建築基準制度のあり方について」(第三次答申)より



なぁんだ・・・見なれた、空き家に関する記載じゃないか?
そう思われた方、その通りなのですが、実はこのようなシンプルな資料の中に、行政の考え方≒本音?が見え隠れするのです。

この資料の内容は、こういうことです。

・空き家総数820万戸のうち、その91.1%に当たる747万戸が、賃貸用とその他空き家である。

・賃貸用空き家は429万戸存在し、そのうち耐震性を満たした住宅が369万戸、朽ちたり壊れたりしていない住宅が265万戸、駅から1km以内の住宅が137万戸である。

・その他空き家は318万戸存在し、そのうち耐震性を満たした住宅が184万戸、朽ちたり壊れたりしていない住宅が103万戸で、駅から1km以内の住宅が48万戸である。

・今すぐ活用可能な空き家は、賃貸用空き家で137万戸、その他空き家で48万戸の合計185万戸である。

ただ、逆の見方をすると、この様にも読み取れます。

・賃貸空き家は429万戸存在し、そのうち耐震性を満たしていない住宅が60万戸(=429万戸-369万戸)、朽ちたり壊れたりしている住宅が104万戸(=369万戸-265万戸)、駅から1km超の住宅が128万戸(=265万戸-137万戸)である。

・その他空き家は318万戸存在し、そのうち耐震性を満たしていない住宅が134万戸(=318万戸-184万戸)、朽ちたり壊れたりしている住宅が81万戸(=184万戸-103万戸)、駅から1km超の住宅が55万戸(=103万戸-48万戸)である。
ということです。

実は今回のコラムで最もお伝えしたかったことをお伝えします。
それは、行政が既に、有効活用可能な住宅の基準を決めているという事実です。

今回の資料で、「利活用な有望なストック数」を見るに当たり、国土交通省は3つの基準を示しました。

1.耐震基準を満たしているか?
2.腐朽していないか?
3.駅から1㎞以内か?

ということです。

行政が、「利活用な物件は、駅から1㎞以内」と定義づけたことは、個人的にも大きな衝撃で、今後、不動産投資を行う際の大きなヒントになるでしょう。

もう少し拡大解釈すると、1.はそのままの解釈だとしても
2.腐朽していないか? というのは、「一定の建築基準を満たしているか?」ということになりますし、
3.駅から1㎞以内か? というのは、人口減少&高齢社会が進展する中、「駅や医療&介護施設など生活基盤の中心になる施設から1㎞以内か?」ということになるでしょう。

つまり、行政の施策として・・・
・耐震基準を満たしていない住宅は、今後、建替えを前提に対応して欲しい
・朽ちたり壊れたりしている住宅に関しては、今後、リフォーム等補修をしっかりして欲しい
・生活拠点より1km以内にある物件を中心に利活用を促進する

という方向性であると認識できます。

統計によると、耐震性に関しては賃貸用で60万戸、その他空き家で134万戸の合計194万戸が該当します。
また、補修に関しては賃貸用で104万戸、その他空き家で81万戸の合計185万戸が該当します。
駅から1km超の住宅は賃貸用で128万戸、その他空き家で55万戸の合計183万戸が該当します。

実に空き家全体から見ると、22.3%(=183万戸÷820万戸)が利活用が難しいことになります。

今後は、それらの動きがサポートされるような政策が打たれるが期待されます。

なお、3月27日に公表された地価公示でも、駅からの距離が近いほど地価の上昇率が高い傾向があることが読み取れました。

そもそもこの統計に基準になっている「住宅土地統計調査」の数値が間違っているという識者の方がいらっしゃるのも事実です。確かにおっしゃる通りだと思います。

ただ、ポイントは、この基準が正しいか?間違っているか?が問題なのではなく、この基準に基づいて行政サイドが政策を実行しているという事実です。

不動産投資を行っている、行おうとしている読者のみなさんは、このようなメッセージをうまく読み取り、うまく時流を掴み、投資を進めてください。

ちなみに、不動産行政の基準とする「住宅土地統計調査」は5年に1度集計される基幹統計ですが、今年2018年は調査年になっています。来年以降、この統計に基づいた速報値が発表され、マスコミでも大きく取り上げられると思われます。

注視して情報を見ておきましょう。

【このコラムの著者】

佐藤益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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