佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

必須の統計データ、最新の「住宅・土地統計調査」(住宅数概数集計)を見る

「住宅土地統計調査」(住宅数概数集計)が4月に公表されています。今までは予算執行の始まる6月前後に公表されることが多かった調査結果ですが、今年は改元の関係か?早めに公表されました。
ただ、公表されたのが、10連休の直前4月26日(金)の夕方でしたから、連休明けまで不明点などを発表元である総務省統計局に確認ができず、個人的にはヤキモキしてしまいました。

住宅土地統計調査とは?

この調査は、5年に1度公表される政府の基幹統計の1つで、様々な統計の中でも重要な調査になります。

年金の試算に利用されるある基幹統計の集計ミス(?)が国会で議論の対象となり、話題になったばかりです。この住宅土地統計調査は不動産分野の基幹統計なので、不動産投資を行っているみなさんにとっては必須のデータとなります。

実際、この統計結果に基づき、2021年に公表される(住生活基本法に基づいて作成される)住生活基本計画や土地利用計画などの諸施策の企画、立案、評価等の基礎資料として利用されます。
例えば、住生活基本計画の場合、2020年度1年掛けて計画を立案していくことになります。
ですから、その先読みのデータとして活用できると言うことです。

実際、統計趣旨にも以下のような説明があります。

この調査は、多様化している国民の居住状況や少子・高齢化等の社会・経済状況の変化を踏まえ、住宅のストックのみならず、少子・高齢社会を支える居住環境、耐震性・防火性といった住宅性能水準の達成度や省エネルギー性能住宅、土地の有効利用状況を明らかにすることをねらいとしています。特に住環境対策として空き家対策の重要性は年々高まっていることから、空き家を含めた住生活の実態を把握します。

今回の調査の概要

今回(4月26日)公表されたのは「住宅数概数集計」といって、全国・都道府県単位の「総住宅数」「空き家」「棟数」「住宅の建て方」「住宅の構造」について公表されました。

今回、5年前(前回2013年)、10年前(前々回2008年)と比較し目立っていた、概要でもピックアップしていたと感じたテーマは、「戸建て空き家の増加」と「住宅の高層化の進展」です。

まだまだ増える! 住宅総戸数

「総住宅数」は6242万戸と一貫して増加しており、この30年間(昭和63年~平成30 年)で48.6%も増加しています。ただ、平成20年(2008年)に人口がピークを打って以降、増加率も縮小が続いていて、本調査では3.0%となっています。
恐らく、今後もこの状況は続くものと思われ、在日外国人の増加など人口の社会的増加等がなければ、建替えなどの需要が有ったとしても、新築の着工戸数もある程度のレベルで徐々に減少していくものと思われます。

その他空き家や戸建て空き家の増加

みなさんが最も気になっているのが、「空き家」の状況でしょう。空き家数は846万戸(対前回+26万戸)、空き家率は13.6%(+0.1%)と一貫して増加が続いており、この30年間で452万戸(114.7%)という大幅な増加になっています。共に最高値を更新しましたが、増加率は微増という結果でした。
私自身も空き家戸数は1000万戸を超えてしまうのではないか?と予想していたので、さほど増えずに良かったと思っています。

人口減少下で空き家数が減少するのは、「新しく空き家を増さない(作らない)」か、「既存の空き家を減らす(壊す=除却)」か、しなければいけません。この5年間で変化したことと言えば、2015年の「空家等対策の推進に関する特別措置法」の施行により、空き家に対して行政処分がしやすくなったり、除却に関する優遇税制や自治体単位で除却の補助制度などが多数誕生したりしたことです。また、街を集約し効率化させるというコンパクトシティーという政策を推進していることから、以前よりも積極的に除却が進んでいるものと思われ、その結果が空き家率の伸びを抑えることに寄与したのだと感じています。

建て方別に空き家数を見ても、前回調査と比較しても一戸建ての空き家数の増加数が縮小しています。この内容を見ても一戸建て=実家の空き家中心に除却が進んだモノと思われます。
今後、団塊の世代が後期高齢期に入り、2020年代から徐々に空き家問題の主な原因である相続が増えた段階で、実家の処分がどうなるか?立地によりかなり難しくなるのは必然でしょうから、賃貸経営に関しては早めの決断&対応が大切です。

種類別に空き家の内訳をみると、「賃貸用の住宅」「その他の住宅」「二次的住宅」「売却用の住宅」の順に多くなっています。「賃貸用の住宅」の割合が低下する一方、いわゆる実家の空き家である「その他の住宅」の割合は上昇が続いています。好立地の実家に関しては賃貸併用住宅など一部賃貸用に代わる可能性もあるので何ともいえませんが、そのペースで進むと、次回の調査では「賃貸用の住宅」の空き家割合が50%を割るかもしれません。

住宅の高層化

共同住宅の内訳を階数別にみると、「6階建て以上」の建物が830万戸(35.6%)あり、この内「11階建て以上」の建物が343万戸(14.7%)、「15階建以上」の建物が93万戸(4.0%)となっているようです。前回調査と比べると増加戸数は、「6階建て以上」の建物で45万戸(5.7%)、「11階建以上」の建物で20万戸(6.0%)、「15階建以上」の建物で8万戸(9.5%)の増加となっています。

特に「15階建以上」の共同住宅の住宅数を都道府県別にみると、東京都(25万戸)、大阪府(20万戸)、兵庫県(7万戸)、神奈川県(6万戸)、福岡県(5万戸)、愛知県(5万戸)で、この6都府県で全国の7割以上を占めていようです。
また、この15年間で「15階建以上」の共同住宅の増加数は、東京都(17万戸)、大阪府(12万戸)中心に60万戸と約3倍に増加しています。

今後もAIやIT技術の進展により、効率化が重視された街づくりが促進されそうです。そういう意味からも、災害対策も念頭におきながら、高層化の流れは進展するのでしょう。

最後に

 今回公開されたデータは速報値的な意味合いのデータになります。
今後、市区町村や都市圏別のデータである「住宅及び世帯に関する基本集計」が2019年9月に、「住宅の構造等に関する集計」が2020年 1月に、「土地集計」が2020年 3月に公表されます。ですから、今後、詳細なデータが公表され、修正される可能性もあります。

 そもそも住宅土地統計調査は、来年実施される国勢調査と違い、全戸調査はありません。前回の国勢調査をベースに抽出する、いわば推定調査になりますから、どうしても誤差が発生しますから、その点は留意しましょう。

 引き続きリサーチし、不動産投資に役立てましょう。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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