佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

高齢化と不動産投資(2)~「簡易生命表」を見て、人生100年時代を理解する

前回は、先日公表された平成30年度版「簡易生命表」を基に、その意味付けや表から読み取れることの一例をご紹介しました。
今回はその続きを見ていきましょう。

健康寿命から考える不動産投資

「健康寿命」という言葉を聞いたことがあると思います。

厚生労働省の e-ヘルスネット[情報提供] の説明によると、「健康寿命(けんこうじゅみょう/Healthy Longevity)とは、WHOが提唱した新しい指標で、平均寿命から寝たきりや認知症など介護状態の期間を差し引いた期間」のことを言います。

前回、お伝えした平均寿命や平均余命は、いわゆる「寝たきり」や「認知症」といった介護を要する期間も含めているので、高齢により健康を害してしまう時期が一定期間、含まれています。
そういう意味からも、不動産投資は日常生活に制限のない期間(健康寿命)に自分自身で対応を決め、残りの期間は信頼のおける誰かしらに対応を頼むなどの必要があります。
また、近年、厚生労働省でも「健康寿命の延伸」を政策目標にさまざまな施策を行っています。

「簡易生命表」のデータではありませんが、平成30年版高齢社会白書(概要版)の「健康寿命と平均寿命の推移」の表を見ると、健康寿命は平成28(2016)年時点で男性が72.14年(歳)、女性が74.79年(歳)で、平均寿命との差は男性が8.84年(歳)、女性が12.35年(歳)となっています。

つまり、投資家の立場からは、男性で9年、女性で12年(以上、小数点以下四捨五入)は誰かしらのサポートを受けることを考える必要があるということです。

健康寿命と平均寿命の推移

内閣府 平成30年版高齢社会白書


また、入居者=顧客という観点からこのデータを見ると、そもそもこの年代の方達を顧客対応とするか?と言う判断にもよりますが、対応する場合、どのような注意点があるか?など、しっかり想定する必要があります。

2017(平成29)年4月に「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」が改正され、高齢者や低額所得者など住宅確保要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅を、都道府県や市町村に登録し提供する新たな「住宅セーフティネット制度」が2017(平成29)年10月から始まっています。この様な制度を活用するのも一案です。

2010(平成22)年~2016(平成28)年における健康寿命の延びは、平均寿命の延び(男性1.43年、女性0.84年)を上回っており、今後も高齢化傾向は続くモノと思われるので、来たる2020年代に向け、想定しておきましょう。

あまりマスコミでは紹介されないので知らない方も多いのですが、「簡易生命表」の中に「寿命中位数等生命表上の生存状況」という表があります。

個人的にはこの表はとても実務で活かせるので好きな表です。出生者(10万人)のうちその年齢の方がどれくらい居るのか? つまり、その年齢までどれくらいの人が生きているのか?が示されている表になります。

直近の平成 30 年簡易生命表の概要を引用すると・・・
「男女それぞれ 10 万人の出生に対して 65 歳の生存数は、男89,507人、女94,466人となっている。これは 65 歳まで生存する者の割合が男は 89.5%、女は 94.5%であることを示している。同様に、75 歳まで生存する者の割合は男 75.6%、女 88.1%、90 歳まで生存する者の割合は男 26.5%、女 50.5%となっている。」

65 歳まで生存する者の割合が、男性 89.5%、女性 94.5%ですから、年金を貰える人がほとんどということです。また、男性の4人に1人、女性の2人に1人は90 歳まで生きるということです。このデータから、日本人にとっては現役時代の死亡リスクが低く、長寿化リスクが高いことがわかります。

寿命中位数等生命表上の生存状況

実は、前述の簡易生命表では95歳までしか表に示されていないので、95歳までしか比較できないと勘違いしている専門家もいらっしゃいます。前回のコラムで示した男女別の統計表を見れば、104歳までは年齢単位で数値を確認できます(105歳以上は一括記載)。

今回のコラムでは、「人生100年」と言う以上、私の方で100歳の欄を追加し、みなさんに情報公開することで、不動産投資にお役立ていただければと思います。

この表を見て注目したいのが、平成に入ってから90歳以上の数値が急激に伸びていることです。1990(平成2)年の100 歳まで生存する者の割合は男性 0.9%、女性 5.2%に対して、2018(平成30)年は男性 1.7%、女性 7.1%と、男性 +0.8%、女性 +1.9%となっています。現時点で100歳以上の方は、100人中男性で2人、女性で7人という感じで、平成の時代に男性は1%、女性は2&、100歳以上の方の割合が増えたことになります。

この様な数値を見るに付け、時代の節目で今までの成功体験や事例が通じなくなっている現実があると感じます。

最後に

 今回公開されたデータは基幹統計として活用されます。また、これから数年間は2020年代の社会保険~主に医療保険と介護保険~の改正に向け、国民的な議論に対象になるはずです。

 必然的に不動産投資への影響もありますから、今度もLIFULLHOME’S不動産投資コラムなどをお読みいただき、情報収集や知識の研鑽に努め、ご自身でしっかりと事業計画を立て、不動産投資に臨んで下さい。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。
オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして10年以上活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FPとして、そのネットワーク確立のため、「マイアドバイザー®」を運営。
数少ない 金融商品販売を伴わない コンサルティング業務をメインとした~ お金の家庭教師≒教科書通りのFP として活動中。

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