佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.1

はじめに

令和2年~2020年2月25日に首相官邸の新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策本部より「新型コロナウイルス感染症対策の基本方針」が発表された直後に「新型コロナウイルスへの対応から学ぶ不動産投資のリスク対応」というコラムを公開させていただきました。

今考えれば、あのタイミングが事実上の緊急事態のキックオフであったわけで、大変残念なことに新型コロナウイルス感染症の拡大が未だに止まる気配がありません。
中国や台湾など一部の諸外国では封じ込めに成功した、あるいは鎮静化に向かっているという報道がなされていますが、未だに世界中で感染者の増大が続いています。経済力や社会システム、衛生環境などが先進国より乏しい開発途上国の事を考えると暫くは日常生活に甚大な影響を及ぼすはずです。
また、よく現在の状況が100年前のパンデミック(スペイン風邪)に例えられますが、その際も数年の間に都合3回の流行がありました。医療技術や情報伝達のスピードが進化しているとはいえ、安心はできない状況だと感じています。

そんな中、4月7日に7都府県を対象に緊急事態宣言が発令され、その後4月16日には対象が全国に拡大されたため、今後、経済活動への打撃も深刻化していく可能性が高く、当然、不動産賃貸市場の影響も考慮も無視ができません。
知人である橋本秋人さんが、このコラム枠で「新型コロナショックのなかで生き残るために賃貸オーナーは今何をしておくか」というオーナー目線のコラムを書かれているので、一読いただければ・・・と思います。
現在進行形で、感染拡大が進んでいるので、執筆時点(2020年4月23日時点)で確認できる経済統計を基に、私の方はもう少し上流工程からの目線で、複数回に分け、ことを整理してみたいと思います。
具体的には、家賃収入などに影響のある「不動産賃貸市場」から見た景色、そして、当面の資金繰りに影響のある「融資」関連から見た景色を見ていきたいと思います。

不動産賃貸市場の状況は・・・

新型コロナウイルス感染拡大の影響が既に顕在化しています。

インバウンド・観光需要の激減により、インバウンド需要の受け皿となっていた百貨店など大型商業施設やホテルなど宿泊施設、特にその目的で民泊やマンスリーなどでマンション投資している方への影響が懸念されます。

日本政府観光局(JNTO)が4月15日に発表した「訪日外客数(2020 年 3 月推計値) 」によると、
・訪日外客数は、前年同月比で93.0%減の19 万 4 千人。
・原因は、新型コロナウイルス感染拡大により、多くの国において海外渡航制限や外出禁止等の措置が取られたこと、また、日本においても検疫強化や査証の無効化等の措置が取られたこと等
・特に訪日外客数の多い東アジア市場で 97.6%減と減少率が高く、東南アジア (86.3%減)、欧米豪(82.7%減)を上回っている。
・現在も世界的に旅行需要が停滞している状況にある
ということです。

現在、「三密」(密集、密室、密接)の防止ということで、緊急事態宣言に伴う休業要請や営業自粛から営業を取りやめる中小零細規模の飲食店も多くなっています。こうした中小零細業者は店舗を借りて営業しているケースが圧倒的で、売上がストップすれば、当然に賃料や人件費など固定費の支払いは厳しくなります。

政府からも賃料支払いの猶予や減免を要請する声は大きくなっていますから、事態が平穏に戻った後のことを考えても、大家として何も対応しないのは得策ではありません。
まずすべきことは、テナントの現状や要望を出来るだけ早く聞くことです。
実際は、窓口になっている管理会社が行うことになると思いますが、手順を誤ると却って事態を悪化させる可能性がありますから、気を付けましょう。

仮に誠実性が感じられず、直ぐに対処して欲しいと思っても、テナント側から退去の以降が出ない限り、難しいのが現状です。また、実務的に大家サイドが満たす正当事由は、「3か月分の賃料滞納」が,信頼関係破壊の1つの目安なので、家賃3ヶ月分程度に滞納額が累積するまでは、契約書上は解除可能であっても、難しいです。
ですから、例えば、具体的な財務状況等を説明して貰い、今後の対応についてもしっかり説明できるようなら、普段から会計管理ができている証拠なので、分割払いや一時的な減額などの申し入れを受けられる範囲内で受けてあげましょう。例えば、「半年間まで賃料を通常の半額とする」とすれば、理論上、半年後にこの状態になります。

早期に資金繰りを回復させるには、今後の売上=収入確保&回復はもちろん、一時的にしろ、家賃や人件費、ローン返済など固定費=費用の圧縮が欠かせません。
その際、政府からの中小企業などに最大200万円、個人事業主に最大100万円が支給される「持続化給付金」などの公的支援の内容を知っているか?も確認し、受けるのであれば家賃の一部でも支払って貰うよう取り決めたり、融資実行の際、受けないのであれば、どのように支払っていくつもりか?確認したりし、継続的な状況報告もして貰うなど覚書を交わしましょう。
通常の状況に戻るまで時間稼ぎすることが現在の良策でしょうし、この方法は賃貸住宅への対応についても通じる発想です。

例えば、郊外や生活密着系のドラッグストアやスーパーマーケットなどの業種は、インバウンド需要の依存度が高い都心や観光地にある店舗と違い、むしろ三密需要に乗り業績は落ちていないはずです。ですから、一律に対応する必要はありません。

こういう機会は二度と訪れて欲しくはないので、手間かもしれませんが、ノウハウや経験を得る意味からも管理会社に任せきりにせず、対応しましょう。

以上、次回に続く

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

CFP®認定者、日本FP協会 評議員
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー(一財住宅金融普及協会)

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。 オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして20年近く活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FP~金融商品販売を伴わないコンサルティング業務をメインとした~教科書通りのFP=ライフプランFP® として、20年の長きにわたり活動。

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