佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.2 景気判断を知り、対応方法を考えよう!?

景気判断をするために見る経済統計は?

良く投資に関する講演でも、私自身「潮目や流れを見よう」というお話をします。
好景気の時に行う投資と不景気の時に行う投資では、当然、上り調子の時に行う方がやりやすいはずだからです。
例えば、利回り掲載するにしても最初の一歩の良し悪しがその後に影響しますし、不動産投資は長期間投資が基本なので、投資を行う際にタイミングを推し量ることは非常に大切です。

景気の良し悪しを判断するために見る主な統計として「景気動向指数」と「月例経済報告」があります。

「景気動向指数」とは、様々な経済活動に重要で景気に敏感に反応する指標の動きを統合することで、景気の“現状把握”“将来予測”をするために作成された指標です。
コンポジット・インデックス(CI)とディフュージョン・インデックス(DI)があり、CIは景気変動の大きさやテンポ(量感)を、DIは景気波及の度合い≒方向性を確認できます。
景気に対し先行して動く先行指数、ほぼ一致して動く一致指数、遅れて動く遅行指数の3つの指数があり、“現状把握”には一致指数を、“景気予測”には数ヶ月先行すると言われる先行指数を、“事後確認”には半年程度遅れると言われる遅行指数を用いて判断されます。

そして、政府の正式見解として影響が大きいのが「月例経済報告」です。
月ごとに公にされる景気に関する政府の公式見解をまとめた報告書で、経済指標をもとに内閣府がとりまとめ、経済財政担当大臣が関係閣僚会議に提出、了承を経て公表されます。
景気の現状・基調・先行きに関する見解、個人消費や設備投資など個別の主要経済指標についての判断を政府として示すことに加え、海外の景気に対する判断も行っています。

報道もされますが、以下のサイトで、自分の目で定点的に確認しましょう。
景気動向指数
月例経済報告

新型コロナの影響を受けた政府の景気判断は?

今後の賃貸不動産市場の影響は、新型コロナウイルス感染症がどこまで実体経済を悪化させ、企業や家計による不動産の実需を低下させるか?という点を確認する必要があります。

2020年4月23日に政府より2020年4月の「月例経済報告」が以下のように公表されました。

景気の現状・基調・先行きに関する見解

・景気は、新型コロナウイルス感染症の影響により、急速に悪化しており、極めて厳しい状況にある。
・先行きについては、感染症の影響による極めて厳しい状況が続くと見込まれる。また、感染症が内外経済をさらに下振れさせるリスクに十分注意する必要がある。金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

個別の主要経済指標

・個人消費は、感染症の影響により、急速に減少している。
・設備投資(=企業の投資)は、おおむね横ばいとなっている。
・輸出は、感染症の影響により、このところ減少している。
・生産は、感染症の影響により、減少している。
・企業収益は、感染症の影響により、急速に減少している。企業の業況判断は、感染症の影響により、急速に悪化している。
・雇用情勢は、感染症の影響により、足下では弱い動きがみられる。
・消費者物価は、このところ横ばいとなっている。
・金融資本市場の変動等の影響を注視する必要がある。

総じて悲観的な内容になっています。

例えば、OECD(経済協力開発機構)とIMF(国際通貨基金)という国際機関による世界経済成長率の見通しの変化を見ても、経済の先行き感は刻一刻と深刻さを増しています。

3月2日に OECDが公表した世界経済見通しは、感染症の影響は主に中国経済を停滞させるということで、世界経済成長率の見通しを昨秋(2019年11月時点)の公表値2.9%から2.4%、0.5%引き下げただけでした。
ただ、それから1ヵ月後の4月14日に IMF が公表した世界経済見通しでは、前回(2020年1月時点)の公表値3.3%からマイナス3.0%と実に6.3%も大幅に下方修正しました。

違う団体の予測ですが、双方とも影響力の大きい情報なので、この対応の変化は見過ごせません。

新型コロナの影響を受けて、変化する視点

昨年お話しした講演会でも「景気循環の観点からも、消費税UPというイベントや東京オリンピック向けの公表事業の終息から、数値上2012年(平成24年)年末から長期的に続いている好調であった景気も、一旦、山から谷へリセッション=マイナスの方向になってくるのではないか?」とお伝えしていました。
その理由=トリガーは違いましたが、十中八九そうなりそうで、しかもその幅が急激なので、その点が心配です。

正直、歴史オタクである私自身も数年前から災害関連の事柄について積極的に調査していたので、ペストやコレラ、スペイン風邪など歴史上のパンデミックのことを調査していましたが、今回の新型コロナウイルス感染拡大の影響は私自身も過小評価していました。反省としては実体験してはいなかったので、肌感覚を間違ったかなぁ・・・と感じています。

今後、このコラムでもこのような歴史的な視点から情報提供させていただきたいと感じていますが、現時点で、この困難を乗り切るために間違えなく言えることが3点ほどあります。

1つ目は、多くの方が少なからず悪影響を受けることになります。ただ、その度合いはまちまちで乗りきれる方とそうでない方が出るということです。これはパンデミックの際にも多くの方が感染したり亡くなったりしますが、生き残れる方も必ず居るのと一緒です。例えば、収支ギリギリのキャッシュフローで賃貸経営をされていた方や保有資産に対して大きな借入をしている方、またインバウンドや低所得者向けに民泊やシェアハウス経営をされている方はかなり苦境に立たされている方もいらっしゃると思います。

2つ目は、これを契機に時代や物の見方の基準が変わるということです。今までの常識とこれからの常識・・・常識が大きく変化します。ダーウィンの「進化論」ではないですが、変化に柔軟に変化できる方がそうなるのでしょう。例えば、以前のコラム新型コロナウイルスへの対応から学ぶ不動産投資のリスク対応でも書いたとおり、働き方改革の後押しもあり確実に在宅ワークが進むので、在宅ワークに適した住環境が求められます。次世代通信である5Gやストレスのないインターネット環境の整備やそれを実現するための電気供給システム、健康を維持するために必要なフレッシュな空気や水などを得つつ、快適性を維持しながら生活するためにどのような設備が必要か? 住宅で快適に仕事をするためにはどれくらいのスペースが必要か? また、今まで意識されなかった精神的・経済的な負担=ゆとりはどれくらいか? など入居者目線で考えざるを得なくなるでしょう。

3つ目は、それらの苦難を乗り越えた方の中から、必ず得をする人=成功者が出てくるということです。今までの基準=モノサシが役立たないとまでは行かなくても、違うモノサシが出てくるでしょうから、今までの成功事例が役立たなくなってきます。ロジカルに考えすぎない方が良いかもしれません。外部≒海外の方の流入がどれくらい戻るか?によりますが、しばらく難しいと思われるのであれば、人口減少社会下ではパイの取り合いにならざるをえなくなります。先読みできる&素早く行動できることが大事になってくるでしょう。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

CFP®認定者、日本FP協会 評議員
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー(一財住宅金融普及協会)

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。 オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして20年近く活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FP~金融商品販売を伴わないコンサルティング業務をメインとした~教科書通りのFP=ライフプランFP® として、20年の長きにわたり活動。

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※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

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