佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.3 新型コロナウイルスの受けての今後の景気予測は!?

今回の新型コロナ感染拡大の影響は未だ予測の域ですが、リーマンショック時の影響と良く比較されます。
このLIFULL HOME’S 不動産投資コラムの執筆者としても名を連ねる 財務・融資関連のスペシャリスト樗木裕伸さんから聞いた財務的な観点から見ると、リーマンショックが資産(ストック)面のクラッシュであった事象なのに対して、今回の新型コロナ感染拡大は現金の流れ=キャッシュフロー(フロー)面のクラッシュであることを区別する必要があるそうです。

確かにキャッシュフローさえ潤沢であれば、赤字会社であっても倒産はしません。それが社会全体で起きた事象がリーマンショックです。いくら資産が目減りしてもキャッシュフロー(現金の流れ)さえ止まらなければ、返済も滞らず=世の中の経済活動は止まらないので、時間が解決してくれます。

ただ、今回は、キャッシュフローが止まっているので、明らかにそれとは違う状況です。各国政府も可及的速やかに社会全体のキャッシュフローを戻す必要があるので、早期に経済活動を再開したいわけです。

不動産投資で大事なのは会計上の収益よりもキャッシュフローの潤沢さ

不動産投資は、通常、借入を起こし一定のレバレッジを掛けて行う投資手法です。
具体的には借り入れて来た仕入れの金利よりも、賃貸収入や売却で得た利益の割合=利益率が高く、その差額が儲けになります。また、一定の節税も可能という投資手法です。利回りを重視した投資の視点からは、レバレッジ効果を高めるほど効率的な投資が可能になります。

ですから、今回の新型コロナ感染拡大で考えなければいけないのは・・・その逆になってしまう事象、つまり、仕入れ金利と運用利回り=利益率が逆転し、逆レバレッジになってしまうケースです。その要素を確認すれば良いと言うことになります。

収益=収入-支出ですから、
①収入である賃貸収入がどうなるか?
②支出=費用である業務手数料や税金、特に仕入れの金利がどうなるか?
そして、売却時の損得や利回り計算をする際の基準となる
③売却価格がどうなるか?
という3点を確認すれば良いということになります。

特に不動産投資は長期投資ですから、今すぐ売却する必要が無いのであれば、短期&中期的には、キャッシュフローの源泉の影響がどうなるか?見定める必要が高くなりますから、上記の①②について見ていくことになります。

今後の不動産賃貸市場に影響を与えること

まず、①収入面に視点を当てましょう。
【個人】雇用環境や所得水準 と 【企業】業績 の2点を確認する必要があるでしょう。なぜなら、双方とも前回のコラム「新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.2 景気判断を知り、対応方法を考えよう!?」でお伝えした通り、政府の経済見通し(見解)は当面、ネガティブ=弱いからです。

つまり、②費用である業務手数料や税金は政策的に一定の短期間は押さえこめますが、①収入に関しては一定期間減ることを覚悟する必要があります。

賃貸住宅に投資している場合、【個人】雇用環境や所得水準から直接的に影響を受けますが、その源泉は【企業】業績です。ですから、他の投資家より一歩先読みするためには、まず、オフィス需要にも直結する【企業】業績を見る必要があります。

オフィス需要に関連する企業業績は?

この【企業】業績については、今回の新型コロナウイルス感染拡大により年度末に掛けて経済活動が大きく停滞することを余儀なくされてしまったため、大きく崩れてしまいました。業容拡大意欲も減退する可能性があるので、遅かれ早かれ賃貸市場(実需)が悪化するのは避けられようがありません。

現在、入居中の物件については条件緩和などの対応もできるだけ行い、入居を継続して貰うようにしましょう。政策面のサポートも充実しつつあります。現在、空き家・空室になっている物件については、ご自身の財務状況を確認し、どれくらいの期間、未収入でも堪えられるか?など自ら見通しを立てましょう。実際に価値のある物件を投げ売りすることだけは避けたいので、体力が無ければ市場が動いているうちに早めに現金化することも一案です。そもそもこの機会に、手持ちの物件が売却可能か?しっかり見定めたいモノです。

さて、現在、企業の業容拡大意欲が既に悪化していることを明確に示す指標はありません。第四次産業革命の真っ只中という認識の下、政府は、狩猟社会(Society 1.0)→農耕社会(Society 2.0)→工業社会(Society 3.0)→情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会をSociety 5.0と定義し、官民一丸となって新技術の開発・導入などに邁進していることも影響しているかもしれません。

内閣府によると
・Society 5.0 で実現する社会は、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、様々な知識や情報が共有され、今までにない新たな価値を生み出すことで、これらの課題や困難を克服します。
また、
・人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されます。
・社会の変革(イノベーション)を通じて、これまでの閉塞感を打破し、希望の持てる社会、世代を超えて互いに尊重し合あえる社会、一人一人が快適で活躍できる社会となります。
ということです。

その影響か?直近(2020年4月1日)に公表された日銀短観でも、2020 年度の企業の設備投資計画(土地を除きソフトウェアを含む)は 44.7兆円と集計され、現時点で大きな落ち込みはありません。ただ、今後、感染拡大が長期化すれば状況が一変する可能性があります。特にオフィス等の賃貸市場に対する悪影響は避けられません。

【個人】雇用環境や所得水準については、マインド面は急速に低下しています。

内閣府が毎月公表している「消費動向調査」を見ると、消費者の暮らし向きに関する考え方の変化や物価の見通しなどが「消費者態度指数」「1年後の物価の見通し」という形で確認できます。
2020年4月6日に公表された 令和2(2020)年3月実施分の消費動向調査を見ると、消費マインドを示す「消費者態度指数」は3か月連続で前月を下回り、「暮らし向き」「収入の増え方」「雇用環境」「耐久消費財の買い時」の構成する4項目全てが前月から低下しました。「収入の増え方」は前月差マイナス4.9%、特に「雇用環境」については前月差マイナス11.6%と大幅な落ち込みを示しています。また、消費者態度指数の動きから見た3月の消費者マインドの基調判断は、悪化しており、2月時点の表現「足踏みがみられる」より下方修正されています。

消費者態度指数と各消費者意識指標の推移(二人以上の世帯、季節調整値)

出典:内閣府「消費動向調査」(令和2(2020)年3月実施分)

雇用や個人所得の数値は、前回お伝えした「景気動向指数」でも「きまって支給する給与」や「家計消費支出」、「消費者物価指数」や「完全失業率」など景気に遅れて動く遅行指数の分野の経済数値です。

一歩先読みするためにも、このような仕組みをまず、知って、定期的にリサーチしましょう。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

CFP®認定者、日本FP協会 評議員
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー(一財住宅金融普及協会)

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。 オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして20年近く活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FP~金融商品販売を伴わないコンサルティング業務をメインとした~教科書通りのFP=ライフプランFP® として、20年の長きにわたり活動。

他のコラム著者も見てみる

不動産投資家によっても違いは様々。
LIFULL HOME'Sが厳選した不動産投資家や専門家のコラムから色々な不動産投資スタイルを吸収してライバルに差をつけよう!

石川 和寿

シリーズ連載: 不動産会社のプロの意見

最新コラム: 賃貸のプロが教える入居者募集の6つのコツ

藤田 博司

シリーズ連載: 不動産投資家が次に着目している民泊投資とは

最新コラム: 民泊の準備で困ったこと

樗木 裕伸

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資ローンと住宅ローンの違いと5つの金融機関の特徴

逆瀬川 勇造

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

最新コラム: 不動産投資は常に融資との戦い?ローンの基礎知識や流れを解説

風戸 裕樹

シリーズ連載: 初心者のための東南アジア投資ガイド

最新コラム: 第2章 日本の不動産市場と海外投資(3)

金井 規雄

シリーズ連載: アメリカ・ロサンゼルスで不動産投資 7年で1億円

最新コラム: あとがき

橋本 秋人

シリーズ連載: 実践派コンサルタントが見たFP的不動産投資事情

最新コラム: 新型コロナ禍で建売が売れている? ~不動産投資への影響と賃貸経営へのヒント~

LIFULL HOME'S PRESS

シリーズ連載: HOME'S PRESS編集部

最新コラム: 新たに始まる「住宅ストック循環支援事業」は特色のある制度に

田中 圭介

シリーズ連載: ASEAN地域の海外不動産投資の現状

最新コラム: No.52 タイにおいて土地建物税(日本でいう固定資産税)の徴収が開始されました

菅井 敏之

シリーズ連載: 誰も教えてくれなかった「銀行」~その傾向と対策~

最新コラム: 【第四回】必ず行っておきたい、銀行との「コミュニケーション」

LIFULL HOME'S不動産投資フェア

シリーズ連載: 2018/9/15+16 投資EXPO出展企業インタビュー

各出展企業インタビュー記事はこちら

LIFULL HOME'S マーケティング部 データ編集担当

シリーズ連載: ユーザーの本音から探る不動産投資

最新コラム: 将来性を秘めた街 『都心』エリア

鈴木 学

シリーズ連載: Withコロナの新・不動産事情

最新コラム: 個人投資家からみた、コロナ時代の不動産市況と投資戦略

石渡 浩

シリーズ連載: 不動産投資に有益な融資を受けるための知識

最新コラム: 第4回 税引後キャッシュフロー偏重の盲点 銀行は決算書のここを見る(後編)

北野 琴奈

シリーズ連載: 今後はどうする?不動産投資と資産形成・運用の考え方

最新コラム: 地価下落地区増で、不動産投資メリットの享受を改めて考える

猪俣 淳

シリーズ連載: 猪俣淳の「不動産投資の正体」

最新コラム: 売却による資金確保

右手 康登

シリーズ連載: CPM®流「相続・不動産経営 実践術」 右手 康登のコンサル「みぎからひだりへ」

最新コラム: 島国の中での常識 VS グローバルスタンダードを知ることの重要性

末永 照雄

シリーズ連載: 失敗しない不動産投資の法則

最新コラム: 米国不動産投資(2) ― サンディエゴ編

寺尾 恵介

シリーズ連載: 悩める投資家への「目からウロコが落ちる」アドバイス 誌上チャレンジ面談

最新コラム: 36.大家さんと幸せな人生について

伊藤 英昭

シリーズ連載: 伊東英昭氏の不動産投資コラム

最新コラム: vol.13 マンションと高級車

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

※ No.1表記について:不動産投資ポータルサイトが掲載をする物件数統計 2020年6月時点(フジサンケイビジネスアイ調べ)

不動産投資・収益物件を検索するなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】賃貸経営[マンション経営・アパート経営]をお考えなら、まずは掲載中の投資物件[投資用マンション・売りアパート・一棟売りマンション]を地域や価格帯、会社で検索して、価格や想定利回りで絞り込み!気になる投資物件を見つけたら物件の周辺情報を調べたり、収益シミュレーションを使って実際の運用をイメージ出来ます。不動産会社へはメールか電話でお問い合わせ・相談が可能です(無料)。不動産投資による資産運用をお考えなら【LIFULL HOME'S 不動産投資】

ページトップへ

情報セキュリティマネジメントシステム国際規格

株式会社LIFULLは、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格「ISO/IEC 27001」および国内規格「JIS Q 27001」の認証を取得しています。