佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルス感染拡大で増加するオンラインセミナー・講演会のたしなみ方

「たしなむ」とは、漢字で「嗜む」と書きます。
“悪い結果にならないように自分の行いに気をつける”という意味があります。

そういう意味では、息の長い不動産投資を行う過程で定期的に情報収集することは大切です。ただ、今回の新型コロナ感染拡大に伴い外出自粛することが多いので、セミナーや講演会で情報収集する機会が制限されています。

一方、情報発信元である企業サイドでは、特に教育や営業現場でオンラインを通じた取り組みが増えています。リモートワークに伴う社内会議などのコミュニケーションツールとしてだけでなく、マネーや不動産投資系のオンラインセミナー・講演会など情報発信手段としての活用機会も目立ってきました。

そんな中、複数社の不動産投資会社が行った無料のオンラインセミナーをお客さまと一緒に拝聴する機会がありました。私自身も講演や大学の講師を務めているので、いろいろ気付いたこと、感じたこともありました。

そこで、今回は、新しい形態として増えてきたオンラインセミナー・講演会を情報収集手段としてたしなむ際のポイントについてしたためたいと思います。

なぜ、オンラインセミナー・講演会が増えているのか?

講演事業をしていたり、広報や営業促進のために情報提供する業者側の視点 と受け手である私たち消費者側の視点の2方向から考えてみましょう。

情報提供する業者側の視点から考えれば、“効率良く”結果、つまり情報提供する目的が達成されているかどうか?が判断基準になります。

情報発信する理由は、講演で収益を上げるか? また、営業促進や既存顧客の囲い込みなどビジネスで結果を残したい=収益を上げたいのか?【ゴール視点】 たくさんの人を集めて宣伝・広報したいのか?【スタート視点】の3つです。
質(結果)が欲しいのか? 量が欲しいのか? という言い方に変えることもできるでしょう。

通常の会場を利用したセミナー・講演会は、現在、新型コロナウイルス感染拡大の可能性や集客の難しさ、三密を避けるためにどうしても少人数形式になっています。
ですから、質(結果)が欲しい場合は問題が少ないかもしれませんが、逆に、講師や提供する内容について高いクオリティーが求められますから、必然的に講師選定や内容については限られ、コストもそれなりになってしまいます。講演自体で収益を上げるビジネスであれば1人当たりの受講料は高額になるでしょう。

それに対して販売促進的なセミナーの場合、現時点では、インターネット環境に順応できる方に限られていますが、オンラインセミナー自体の目新しさもあり、1回当たりの参加数も多いようです。通信環境やホストになるサーバーなど物理的な問題もありますが、参加数の上限は会場開催より大きくなるので、結果として1人当たりの集客コストは安くなります。
講師も社員や提携先のコンサルタントや士業など質的なハードルは低くなり、費用もリーズナブルに収まるでしょう。つまり、量が欲しい場合は向いている形態です。

スマホが主な情報収集手段として機能している中、5Gと言われる新規格の通信環境が整ってくれば、人やお金の流れと同様、情報が流れる量とスピードは今以上に多く&早くなってきますから、今後もオンラインセミナー・講演会という選択は消えることは考えづらいでしょう。

聞くに当たり、どんな視点が必要か?

次に情報の受け手である私たち消費者側の視点から考えてみましょう。

情報の価値は、大きく分けて“速報性”と “希少性”の2つです。
例えば、統計データなど同じ情報ソースであっても、情報を発信する媒体や立場、解釈の違いにより、良し悪しの判断が変わり、表現により心証も変わります。

実際に、情報を整理すると・・・速報性から希少性へ
・事実をありのまま伝える「伝達・報告・連絡」レベル
・理解するために表現などをかみ砕く必要のある「説明・解説」レベル
・当事者として行動するために納得感を得る「説得」的なレベル
という3つのレベルに変化します。

ですから、聞き手としてどのレベルの情報が欲しいのか?事前に認識し、情報収集する手段も住み分けておかないと、情報発信側の誘惑に導かれることになります。又、そもそも提供されている情報がどのレベルのモノか?理解できるようにしましょう。特に無料セミナーの場合、売り込みをされることは稀ですが、誘導的な手法が用いられるのが普通で営業手法の1つとして応対も含めマニュアル化もされているケースもあります。

当然ですが、伝達、説明、説得の順に自分自身にとって希少性の高い貴重な情報になりますから、コストや手間も掛かると思いましょう。

実際にオンラインセミナーを見聞きして感じたこと

前述の通り、先日、複数社の不動産投資会社が行った無料のオンラインセミナーをお客さまと一緒に拝聴する機会がありました。
そこで感じた率直な感想をしたためます。

基本的には通常の情報収集と変わらないのですが、顕著に感じた点が3つありました。

まず、「根拠にしているデータが不明確なことが多い」ということです。恐らく公的なデータがほとんど使われていると思いますが、明確な出典が書かれていないケースがほとんどでした。

そして、「最新データではないもの」も中にありました。私も講演時に敢えて古いデータを利用することもありますが、その場合はその理由を伝えます。今回、そのような断りは皆無でした。

最後に、核心部分で話には出てくるのですが、ソースにしている「データが無い」ケースもありました。例えば、当社調べや受けた相談といった具体例など内部者でないとわからず確認もできない限定的な情報ソースです。
個人情報などもあり、明確にできないのはわかりますが、後述するように、良く考えると整合性がとれていないケースなどもあったので、情報自体の信頼度を割り引く必要があり、そうであれば、逆に情報提供しない方が良いのでは?と思ってしまいました。

また、時折、話題になっている専門用語や最新情報を説明するケースもありましたが、「事実や解説と主張(考え方)が混合されてお話しされている」ケースが意外に多かったという心証を感じました。

当初はとても説得力があるように感じましたが、良く考えると「1+1=2.5」というように“筋が微妙に通っていなかった”り、具体例など聞いていても“前提条件に無理があった”り、そもそも“実現可能性が低い”など、聞き流してしまえばわからないのですが、少し知識や創造力があれば、「違和感を覚える」お話もありました。

消費者契約法では、消費者契約の申し込み又はその承諾の意思表示の取消しについて
不当な勧誘(4条関係)を定めています。

もちろん、セミナー自体はこれには当たりませんが、このような「誤認を与えるような微妙な表現」も見受けられました。

例えば・・・
1.しっかり事実を伝えていない「不実の告知」的な表現
2.未確定のことを断定的な判断基準でそうだと認識してしまうような表現
3.故意に不利益な事実を提供していないような表現
ことです。

程度の問題ですから、個々人で差があるとは思いますが、不動産投資をする際の情報提供としては怖さを感じました。

最後に・・・今後のオンラインセミナーを聞く際のポイントは?

具体的に対処するためには、情報収集するにあたり、5W1H~六何(ろっか)の原則・法則に基づき、事前に自分自身のフィルター(基準)を用意しておきましょう。

5W1Hの原則
①何時(いつ)
②何処(どこ)で
③何人(なんびと)=誰が
④何を
⑤何故
⑥如何(いかに)=どのように

例えば、情報提供側である企業がどのような結果を求めているのか?イメージすることも大事です。
前述のように提供する側には情報提供する目的があります。最近は何十万円もする高額のセミナーもありますが、受け手である私たちが自分の欲しい情報の価値を理解していないと、それほど価値がない情報を高値摑みしてしまう可能性すらあります。

実は、以前からオンライン・webを通じた高額セミナー・講演会はありました。
例えば、最初は無料でメルマガ登録などしてもらい、そのメルマガを何回かに渡って読んでいく中で、徐々にモチベーションが上がり、収録したデータをダウンロードしたりストリーミングしたりする形式で見る高額セミナーです。

このセミナー自体の価値はわかりません。

ただ、投資は成功する人もいれば失敗する人もいます。
過去に成功した人は、以後に同じ領域で失敗しなければ、つまり、同じ投資をしなければ、一生勝ちっ放しで、その実績を残せます。
また、成功も時の流れに乗って得たケースもあるでしょう。

情報の陳腐化するスピードは今後も格段に早まっていきます。情報を受ける私たちから考えても高い買い物になるはずなので、その価格に見合った内容か?検討する必要があります。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

CFP®認定者、日本FP協会 評議員
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー(一財住宅金融普及協会)

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。 オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして20年近く活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FP~金融商品販売を伴わないコンサルティング業務をメインとした~教科書通りのFP=ライフプランFP® として、20年の長きにわたり活動。

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