佐藤 益弘の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める前に知っておきたいこと・始めた後に確認したいこと

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

新型コロナウイルス感染拡大から考える 大家がすべき対応 No.4 なぜ、8割の外出自粛が必要だったのか?その発想を投資に活かす!

今回の新型コロナウイルス感染拡大に伴い、政府より不要不休の外出自粛がアナウンスされました。執筆時点で改善に向かっていますが、特にゴールデンウィークなど休暇中は心身共に苦痛だったはずです。

そんな中、思い出したのが、「お家が一番!~There’s no place like home.」と言う言葉です。この言葉は、私自身も大好きな1939年のアメリカのファンタジー・ミュージカル映画の傑作『オズの魔法使』(The Wizard of Oz)で、主人公のドロシーが最後に魔法の国オズから故郷であるカンザス(家)へ帰る際に発する言葉・呪文です。

自分事として考える癖=習慣を付ける!

政府より不要不休の外出自粛。具体的には「平時の8割程度に減らして欲しい」ということだったのですが・・・みなさんはどのように考えたでしょうか?そもそも行動できたでしょうか?
できた方とそうでない方がいらっしゃったと思いますが、できた方は総じて、自分事として考えられた方でしょう。人によっては他人事として捉え、感染後に反省している方の動画を何人も見ました。

自分事として考え、行動するヒントですが、まずは、その情報を理解し、咀嚼することが大切です。

そういう意味では、フランクリン・ルーズベルトやトルーマン、ケネディ(JFK)、ジョンソンなど歴代の大統領を支えた『経済学の巨人』ジョン・ケネス・ガルブレイス(1908年~2006年)が行った、以下の言葉を思い出します。

「伝統的な考え方は、考えるという苦痛を伴う仕事から我々を守ってくれる。」

常識と言われていること、思われていることは、何も考えずに受け入れ安く、またそうすることで失敗をしても後ろ指を指されずに済みます。

ですから、人は「間違っている・・・」と思えても100%確信が持てなければ、行動できないことが多いのです。普段と違うこと・新しいことを始めるには、まず、自分事=当事者意識を持ち、実益や実損をイメージできるかどうか?がスタートラインになるでしょう。

8割削減のロジックは?

外出自粛要請が政府から出た頃、お客さまから(中学校の娘から) 「なぜ?コロナ感染者の増加を押さえ込む=増やさないために、80%の外出削減が必要なの?」と聞かれて説明できないというので、小学生ぐらいのお子さまでも意識して貰えるよう単純な算数で説明する方法を伝えました。

厳密には違うと思いますが、発想としてお伝えできれば・・・と思います。
逆の見方をすると、答えが割と簡単に見えます。

まず、80%の外出削減とは、直接的な人的交流を20%に押さえるということです。

そして、将来の感染者数(予測)は、「現在の感染者×基本再生産数(R0)」で表せます。

基本再生産数とは、感染者自身が回復する≒免疫力を持つまでに何名の人に感染を広げてしまう可能性があるかを示す指数です。
新型コロナウイルスの感染力について、WHO報告では、基本再生産数(R0)は、1.4~2.5(推定)です。

感染症の一般的な回復期間≒免疫力確保までの期間は、概ね約2週間なので、1ヵ月だと2サイクルになります。
ですから、1人の感染者が最大で2.5人に感染させてしてしまうことになり、何もしなければ、1ヵ月で 6.25人(2.5の累乗)の割合で、感染者が増加することになります。

人との接触頻度は、この「基本再生産数(R0)」を考える際の1つの要素=計算する際の条件です。

ですから、これを押さえ込む、つまり、将来の感染者数=現在の感染者数にするには・・・

将来の感染者数(1)=現在の感染者(1)×基本再生産数(R0)( 6.25) という計算式が成り立つので・・・

この基本再生産数(R0)=6.25を1にできれば良いわけです。

つまり、必要な接触頻度 は、0.16(=1÷6.25) ≒16% となります。

1ヵ月間で人の接触を20%程度にすれば、確実に感染者数は沈静化することになります.

この程度の計算であれば、電卓を使いながら、あるいは手計算でできると思います。

自分たちに求められ、できる事は、前述した通り、当事者意識を持ち、人との直接的な接触を極力少なくすることです。

今後の不動産賃貸市場に影響を与えること

よく今回の新型コロナ感染拡大をリーマンショックと比較されますが、リーマンショックが財務でいうと資産(ストック)の激減という問題であったのに対して、今回の新型コロナ感染拡大は現金の流れ(フロー)が止まる問題であることから、根本が違います。影響は甚大です。

いくら資産が目減りしてもキャッシュフロー(現金の流れ)さえ止めなければ経済=世の中の流れは止まりません。キャッシュフローさえ潤沢であれば、赤字会社であっても倒産しませんが、その逆は難しいです。

不動産投資は、借入を起こし一定のレバレッジを掛けて行う投資手法なので、その割合が大きければ、影響は甚大です。

ですから、キャッシュフローの源泉の影響がどうなるか?見定める必要があります。

これまで大都市圏を中心に住宅価格が上昇してきた理由は、フローリッチと言われる共働き世帯の量的な増加と良好な雇用情勢=人出不足による家計の増加という質的な向上があったかたです。そもそも数値上は超長期化していた好景気が循環的にもそろそろ下方になるタイミングであったこと、消費税増税による経済指標の弱含み感が出ていたところに、今回の新型コロナ禍が発生しましたから、今まで好調を保っていた条件が崩れる可能性が否定できません。価格は究極的には需給関係で決まりますから、一定の調整が発生すると考えるのが普通です。

最後に

新型コロナウイルス感染拡大により、ムラや無駄な業務の削減や省力化、リモートワークの定着などによる業務効率化は進展します。働き方改革も実現し、人出不足解消につながる可能性が高く、生産性が向上することで、新しい局面を迎えるでしょう。

最初にお伝えした『オズの魔法使』(The Wizard of Oz)ですが、主人公のドロシーが魔法の国オズに行く前と戻ってきた後で、故郷であるカンザス(家)は全く違った景色に変わっています。

有名な「虹の彼方に(Over The Rainbow)」を歌って旅する前のドロシーと旅から戻ってきた後のドロシーでは状況が変わっています。

今回の新型コロナウイルス感染拡大もその前(BC=ビフォア・コロナ)と後(AC=アフター・コロナ)で様々な環境変化が確実に起きます。

喜劇王チャールズ・チャップリンも「人生は近くで見ると悲劇だが、遠くから見れば喜劇だ」と言っています。

また、過去にも、アイザック・ニュートンが“ペスト流行(パンデミック)”により故郷で長期休暇した際の「驚異の諸年」「創造的休暇」と言われる18ヶ月間に、「ニュートンの三大業績」が成し遂げられています。

最後に、前述の『経済学の巨人』ジョン・ケネス・ガルブレイスの言葉をもう1つ引用させてください。

「私たちは真理を、自分に好都合なことと結びつける。」

今後も、LIFULL HOME’S 不動産投資コラムを読んでいただき、一歩先の情報収集、発想を思い描けるように準備しておきましょう。

【このコラムの著者】

佐藤 益弘

CFP®認定者、日本FP協会 評議員
宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士、住宅ローンアドバイザー(一財住宅金融普及協会)

東洋精糖(株)の不動産部門にてマンション開発・販売統括・管理支援などの主任を務める中、CFP®資格(FP)を取得。 オールアバウト・不動産投資(現土地活用)ガイドとして20年近く活動する中、延べ1000名以上の不動産投資家と触れ合い、成功事例&失敗事例を蓄積。

現在、お客さまサイドに立ったシンの独立系実務家FP~金融商品販売を伴わないコンサルティング業務をメインとした~教科書通りのFP=ライフプランFP® として、20年の長きにわたり活動。

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