逆瀬川 勇造の不動産投資コラム

シリーズ連載: 不動産投資を始める人のノウハウ

LIFULL HOME'S 不動産投資コラム

不動産投資における確定申告の基礎知識や確定申告の流れを解説

不動産投資では、どのようなケースが確定申告の対象になるかをご存知だろうか。

今回は、不動産投資に取り組むうえで確定申告が必要となるケースについてお伝えするとともに、その中でも不動産所得に絞って経費に計上できるものや、確定申告の進め方についてご紹介する。

■不動産投資で確定申告が必要となるケース

不動産投資において確定申告が必要となるのは以下の4つのケースだ。

・賃貸経営による利益と損失
・物件の売却による利益と損失
・土地などの贈与を受けた場合
・消費税(地方消費税)の納付

それぞれについて詳しく解説していこう。

・賃貸経営による利益と損失

賃貸経営を始めると家賃収入を得ることができるが、得られた収入から各種経費を差し引いた所得は不動産所得として確定申告し、所得税と住民税を納めなければならない。

なお、不動産所得は総合課税と呼ばれ、給与所得等他の所得と足し合わせた額に対して税率が課される仕組みになっている。

そのため、不動産所得がマイナスの場合には給与所得等他の所得からマイナス分を差し引き(これを損益通算と言う)、税金の還付を受けることが可能だ。

所得税の確定申告は、原則として所得のあった年の翌年2月16日~3月15日の間に行う必要がある。
また、住民税は所得税の確定申告を元に自動的に計算され、翌年の6月頃から給与からの天引き、もしくは納付書が送付されて納税する仕組みになっている。
(ただし、2018年分は2月16日が土曜日のため2月18日~3月15日まで)

なお、法人の場合は所得税ではなく法人税として計算し、事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に申告する必要がある。

・物件の売却による利益と損失

次に、保有物件を売却して得られた利益は譲渡所得として確定申告して税金を納める必要がある。

不動産を売却すると売却価格分のお金を得ることができるが、そこから譲渡時の費用や、物件を取得した時に要した費用を差し引き、その額がプラスであれば譲渡所得として税金を納める必要が生じる。

不動産所得とは異なり、不動産の譲渡所得は分離課税のため、原則としてマイナスであっても給与所得等他の所得からマイナス分を差し引くことはできない。

売却する不動産が自己居住用である場合など、一定の条件を満たせば損益通算できるが、不動産投資においてこの条件に当てはまることはあまりないだろう。

譲渡所得の確定申告も先述した不動産所得の確定申告と同じ時期に行う必要がある。

また、法人の場合にも同じく、所得税ではなく法人税として取扱い、確定申告の時期も事業年度終了の翌日から2ヶ月以内となっている。

・土地などの贈与を受けた場合

土地などの贈与を受け、その上に賃貸住宅を建てる場合、もしくは賃貸住宅そのものの贈与を受ける場合には、贈与を受けた土地や賃貸住宅の価値を算出し、確定申告して贈与税を納める必要がある。

贈与税の確定申告は原則、贈与を受けた年の翌年2月1日~3月15日だ。

・消費税(地方消費税)の納付

基準期間の年間の売上が1,000万円を超える場合には、課税事業者として消費税を納める必要がある。

消費税における基準期間とは、前々年度(2年前)の申告のことを指す。

つまり、不動産の収入が1,000万円を超えた年の2年後には確定申告をして消費税を納める必要があるということだ。

消費税の確定申告は個人の不動産オーナーの場合、消費税を納める必要のある年度の翌年3月31日までとなる。
(ただし、2018年分は3月31日が日曜日のため2019年4月1日まで)

なお、本記事ではこれら4つの確定申告の内、主に1つ目の不動産所得に関する確定申告について解説する。

■不動産投資で経費にできる費用は?

不動産投資の確定申告で気になるのが、どのような出費があればそれを経費にできるのか、ということだ。ここでは、不動産所得の経費について、大きく4つに分けて解説する。

1.固定資産税や都市計画税など毎年かかる税金

物件取得後、その物件を保有している限り毎年固定資産税と都市計画税を支払う必要があるが、これらは経費として計上できる。

2.不動産取得税や登録免許税など不動産取得時にかかる税金

不動産取得税や登録免許税、印紙税など、物件取得時にはさまざまな税金がかかるが、これら取得時に支払う税金についても確定申告時に経費として計上可能だ。

3.減価償却費など実際に支払う必要のない経費

不動産投資では、物件の減価償却費や青色申告特別控除など、実際に支払っていないのにも関わらず経費として計上できるものがある。

減価償却費とは、物件取得時に支払ったお金を1回で経費として計上するのではなく、複数年に渡って計上できるものだ。

また、青色申告特別控除は正規の簿記で記帳し確定申告していることを条件に、65万円の控除を受けられる制度である。

4.修繕費や管理費などその他経費

その他、物件の修繕費や管理費、ローン返済額のうち借入金利子分等については経費として計上できる。
具体的には、以下のようなものが経費として認められる。

・消費税
・事業税
・修繕費
・損害保険料(火災保険など)
・管理費(管理組合)
・管理手数料(不動産会社)
・入居者募集のための広告宣伝費
・税理士や弁護士への報酬で不動産賃貸に関わるもの
・立退料
・共用部分の水道光熱費
・ローン返済額のうち借入金利子部分
・掃除費や消耗品代費

■不動産投資における確定申告の流れ

税金の申告と聞くと難解に感じる方もいるかと思うが、実際には次の3つの流れに沿って申告を進めていくだけでよい。それぞれを解説していこう。

1.必要書類を揃える

まず、1月1日~12月31日の所得を計算するのに必要な書類を揃える。

具体的には家賃収入が分かる書類、経費を支払った際の領収書の他、給与所得を受け取っている方は源泉徴収票、また年間10万円以上の医療費を支払った場合には医療費の領収書などもあるとよいだろう。

これらの書類は一ヶ所に集めておくと確定申告時に慌てなくて済む。

2.申告書を作成する

書類が揃ったら、書類の数字を見ながら確定申告書を作成する。手書きでも構わないが、国税庁のサイトから簡単に書類を作成することができるので活用しよう。

書き方や入力方法が分からない時は、確定申告期間中に税務署や確定申告のための特別会場で相談員に聞きながら作成を進めることもできる。管轄の税務署のサイトを確認するか、電話で問合せしてみよう。

3.申告書を提出する

確定申告書は、主に以下の3つの方法で提出できる。

・税務署に持参する
・税務署へ郵送する
・インターネットで申告する

税務署に持参するのはもっともオーソドックスな方法だが、確定申告の時期は税務署が混む点に注意が必要だ。

郵送であれば税務署に並ぶ必要がない。ただし、税務署の職員から最低限のチェックをしてもらうこともできないため、初めての確定申告ではおすすめしない。

また、国税庁のサイトで確定申告書を作成した場合は、ICカードリーダーとマイナンバーカードを用意できるのであれば、インターネットで申告することもできる。

なお、2018年分の確定申告からは、税務署で事前にID・パスワードを発行してもらえば、マイナンバーカードやICカードリーダーがなくてもインターネット申告が可能だ。

■まとめ

不動産投資で得た利益は確定申告して納税する必要があるが、損失が出た際には還付を受けられるケースもある。
税理士に依頼すると手っ取り早く最善策のアドバイスを受けられるが、その場合でも、税制について基本的な内容を理解しておいたほうがよいだろう。
基本的な内容については、ぜひ今回の記事を参考にしていただきたい。

【このコラムの著者】

逆瀬川 勇造

■保有資格
宅地建物取引士
2級FP技能士(AFP)

■主なキャリア
地方銀行にてリテール業務に従事後、不動産部門のある注文住宅会社にて新築住宅、不動産売買業務に携わる。
金融知識を活かした住宅ローン提案、綿密なヒアリングからのライフプランニング、
税金や相続のアドバイスから税理士への橋渡しなど、新築住宅、不動産売買にまつわる金銭問題の解決を得意とする。

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