2回に分けて不動産投資における収入面でのリスクをお話しました。収入面に関するリスクには主に、空室リスク、賃料下落リスク、滞納リスク、中途解約リスクの4つがあげられますが、今回はこのようなリスクを軽減し、安定経営する為の方法についてお話します。
空室リスク、滞納リスクをプロにとってもらう(家賃保証・滞納保証) |

空室などの発生により、当初予定していた賃料が得られなかった場合、投資計画に狂いが生じます。特に借入金によって不動産投資した場合は空室が発生することによって毎月の返済が賃料収入では賄うことができず、自己資金を持ち出さなければいけない事態も発生します。このような空室リスクを回避するために、月々、空室があろうとなかろうと、定められた一定の家賃を保証する家賃保証サービスを提供する不動産管理会社が増えています。家賃保証の仕組みは以下のとおりです。
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![]() 家賃保証サービスは上記のように貸主と家賃保証会社とのあいだで、相場賃料の80%~90%を保証賃料として賃貸借契約を締結します。家賃保証会社は貸主から借りた物件を入居者に相場の賃料で転貸(又貸し)します。家賃保証会社は入居者から受領する賃料と貸主へ支払う賃料の差額を報酬として得ることになります。逆に入居者が退居して家賃保証会社に賃料が入らない場合でも、貸主へは約束した賃料は支払わなければなりません。このようなことから貸主にとってみれば、相場の賃料より安く家賃保証会社に貸すことになりますが、入退居手続きの煩わしさと空室や滞納のリスクから解放されることになります。 ![]() ![]() |
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中途解約リスクを回避する(定期借家契約の活用) |

通常は2年ないし3年の契約期間を定めて、賃貸借契約を締結しますが、契約期間中であったとしても、通常は、借主からの中途解約条項が入っています。したがって借主を確保して契約を締結しても中途解約される恐れがあるため契約期間内は賃料が確保されたとは言えないのが現状です。借主から中途解約された場合、すみやかに次の借主が決まらなければ収入が途絶えてしまいます。また、新たな借主が見つかったとしても従来どおりの賃料をいただけるかどうかも不明です。
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![]() 平成12年3月1日に施行された「定期借家」制度を上手に活用することにより、借主による中途解約や契約途中での賃料の減額請求などを排除することが可能となりました。「定期借家」制度とは「貸主と借主が対等な立場で契約期間や家賃等を定められる自由な賃貸借契約制度」です。この制度ができる前は「借主=弱者」という概念の下に法制度が作られていましたので、たとえば、借主による中途解約はいつでも認められるものの、逆に貸主からの契約解除は事実上認められていません。貸主にとっては、契約期間中は賃料を支払って借りてほしいのに、借主の都合によっていつでも中途解約されるリスクが伴います。そして、貸主からの事情による解約には多額の立退き料を支払わないと明け渡しに応じてもらえないという法制度でした。 この「定期借家」制度ができたことによって、貸主と借主の立場が対等になり、自由な契約ができるようになったと言えるでしょう。定期借家契約の主な特徴は以下のとおりです。 ![]() |
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今回は、家賃保証や滞納保証といった管理サービスを活用することによって収入に関するリスクを軽減する方法と、定期借家という法制度を活用して、リスクを軽減する方法を説明しました。このように管理形態と契約形態を少し工夫することによってリスクが軽減されるのです。不動産投資にはプロのアドバイスが欠かせませんが、投資する本人がこのようなリスクの軽減方法を頭の片隅に入れておくこと自体が本当の意味でのリスク回避につながる事になるのです。
略歴
- 昭和44年
- 青森県出身
- 平成6年
- 公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。
おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任
講演
りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など
著書
大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など
不動産投資の気になるTOPICS |
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