不動産は取得時、保有時、売却時において税金が課されます。 それぞれの場面においてどのような税金が課せられるか以下の表(参考図表1)にまとめてみました。 |
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●(参考図表1)不動産と税金 |
取得したとき |
印紙税 |
登録免許税 |
不動産取得税 |
*贈与税・相続税 |
保有しているとき |
固定資産税・都市計画税 |
所得税・住民税(個人) |
*地価税 |
売却したとき |
所得税・住民税(個人) |
*土地譲渡益の重課税(法人) |
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不動産を取得する場合、印紙税・登録免許税・不動産取得税が課されます。また、不動産を贈与により取得する場合は贈与税が課され、相続により取得する場合は被相続人の残した財産の金額によって相続税が課される場合もあります。 |
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不動産の売買契約書に記載された金額に応じて課される税金です。記載された売買金額が大きいほど税額も多くなります。バブル崩壊以降、長引いていた不動産デフレを少しでも克服し、不動産流通を促進させようという観点から平成21年3月31日までは時限的に以下(参考図表2)のように軽減されておりますが、それ以降は本則の税額に戻る、すなわち印紙税がアップするおそれがあります。 |
●(参考図表2)印紙税率(不動産売買契約書に記載された金額) |
記載金額 |
平成21年3月31日迄 |
本 則 |
500万円超 1000万円以下 |
10,000円 |
10,000円 |
1000万円超 5000万円以下 |
15,000円 |
20,000円 |
5000万円超 1億円以下 |
45,000円 |
60,000円 |
1億円超 5億円以下 |
80,000円 |
100,000円 |
5億円超 10億円以下 |
180,000円 |
200,000円 |
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売買などによって取得した事実を公示するため所有権などの権利を登記する場合は登録免許税が課されます。登録免許税は以下の算式により求められます。 |
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また、登録免許税も平成25年3月31日まで、時限的に以下の通り軽減措置が設けられており、それ以降は本則の税率に戻る可能性があります。 |
登記の内容 |
取得時期 |
税率 |
売買等による所有権の移転 |
土地 |
平成23年3月31日迄 |
1.0% |
平成23年4月1日~平成24年3月31日 |
1.3% |
平成24年4月1日~平成25年3月31日 |
1.5% |
本則の税率 |
2.0% |
建物 |
本則の税率 |
2.0% |
※一定の要件を充たした自己の居住用建物の場合は軽減措置の適用があります。 |
また、抵当権の設定については、債権金額の0.4%が登録免許税となります。 |
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売買などにより不動産を取得した場合は不動産取得税が課されます。 不動産取得税は以下の算式により求められます。 |
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上記の3%という税率は平成21年3月31日までに取得した場合の軽減税率となっており、平成21年4月1日以降は税率が本則の4%に上昇する可能性があります。 また、土地については以下のような軽減措置がとられております。 |
土地にかかる不動産取得税=固定資産税評価額×1/2×3% |
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このように土地の不動産取得税は現在1/2に軽減されております。しかし、この、土地にかかる不動産取得税の軽減措置は平成21年3月31日までの時限的措置となっておりますので、平成21年4月1日以降は軽減措置がなくなり、土地にかかる不動産取得税が倍になる可能性があります。
居住用に限っては、建物にかかる不動産取得税に、以下のような特例措置が設けられており、結果的に税金が軽減されることとなります。 |
住宅用建物にかかる不動産取得税=(固定資産税評価額-控除額)×3% 住宅以外の建物にかかる不動産取得税=固定資産税評価額×3.5%
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●(参考図表3) |
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新築住宅 |
中古住宅 |
要 件 |
居住の用に供する建物 (貸家も可) |
自己の居住用に供する建物 |
床面積 |
50m2(戸建以外の貸家は40m2)以上240m2以下 |
50m2以上240m2以下 |
控除額 |
1,200万円 |
H9.4.1以降 1,200万円 |
H9.3.31迄 1,000万円 |
H1.3.31迄 450万円 |
S60.6.30迄 420万円 |
S56.6.30迄 350万円 |
S51.3.31迄 なし |
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上記(参考図表3)のように新築の場合は共同住宅のような貸家についても軽減措置が設けられております。共同住宅の場合は住居ごとに40m2以上であれば、各戸それぞれ控除することが可能となっております。 |
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固定資産税評価額の増減により税金が大きく変わるリスク |
前述した登録免許税、不動産取得税は「固定資産税評価額」を基準に税金を算出します。固定資産税評価額は各市区町村(東京23区については都)が3年に一度評価の見直しをしております。したがって、この評価の見直しにより固定資産税評価額が上下した場合、必然的に、登録免許税、不動産取得税も増減することとなります。次回の固定資産税の評価見直しは平成21年となっておりますので評価の動向が注目されるところです。 |
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バブル崩壊以降の長い不動産デフレの脱却を図るため、現在の税制においては、前述したように不動産取得に関する税金が軽減されております。しかし、いずれも景気回復のための時限的な措置であり、来年以降の税制改正によっては時限措置が外される可能性もあります。
このように不動産投資には税制によって不動産取得コストが大きく上下するリスクが伴いますので、毎年改正される税制に注目し、情報収集をする事が上手な不動産投資をする上での大事なポイントとなります。