不動産をとりまく法律は極めて複雑多岐にわたっており、全てを理解する事は不可能といっても過言ではありません。 したがって今回は、不動産にはどのような法律が関係するかという体系的整理と、不動産投資に影響を与える可能性のある法律の概要について説明いたします。
不動産をとりまく法体系![]() |
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わが国の不動産は、私有財産制度のもと自由に使用、収益、処分できるという所有権や、借地借家権などのように、土地や建物を利用する権利を保護するためのルールを基礎としています。その上で、不動産は公共的な側面も持ち合わせているという理由から、取引上の制限および利用上の制限を設けております。不動産をとりまく法体系は概ね以下のように3つに分かれます。
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●不動産をとりまく法体系![]() |
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権利に関する法律の中でも不動産投資に多くの影響を与える借地借家法 |

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![]() 権利に関する法律の中で不動産投資に与える影響が大きいのは「借地借家法」です。借地借家法とは土地や建物の貸主と借主のルールを定めたもので、その時代にあわせて何度か改正がなされております。 ![]() |
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このように借地借家制度は時代背景とともに、以下の図のように改正されてきました。当初は契約期間に併せて借地、借家契約も終了するという貸主借主対等な制度から、戦時立法により「正当事由」がなければ貸主からの契約を終了することのできないという、どちらかというと借主保護に重点をおいた借家制度に、そして現在は定期借地、借家制度と、「正当事由」借地借家制度が混在するという流れになっております。定期借地、借家はまだ馴染みの薄い制度かもしれませんが、契約社会である欧米などの先進国の中では逆に「正当事由」による日本の借家制度のほうが非常に珍しい制度なのです。
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●借地借家制度改正の流れ![]() |
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借家制度の改正が不動産投資に与えた影響![]() |
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![]() ここでは定期借家制度の特徴と要件について説明します。 ![]() |
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![]() また、近隣住民に迷惑をかける不良な入居者や、賃料をしばしば遅延する入居者などは、これまで退居、明け渡しを求めるのに時間と費用がかかりましたが、定期借家制度を利用することにより、このような不良入居者を契約終了時に排除し、常に良質な入居者を常に確保できるというメリットや、老朽化した賃貸建物のスムーズな建替えなどの効率的な資産運用と機動的な投資戦略が練れることになります。 |

不動産の権利に関する法律、特に借地、借家に関する法律は不動産投資に非常に大きな影響を与えます。また、時代背景によっても制度が変わる可能性があります。昨今の定期借家制度の創設を柱とした借地借家法改正は、どちらかといえば不動産投資にとって大きなプラスといえる改正でしたが、今後、この定期借家制度の運用如何によってはどのような方向に改正されていくのかわかりません。いずれにしても、借地借家法の今後の動向は注目すべきところです。
略歴
- 昭和44年
- 青森県出身
- 平成6年
- 公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。
おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任
講演
りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など
著書
大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など
不動産投資の気になるTOPICS |
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