現在の資産状況から自分に見合った不動産投資イメージを持つ
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不動産は他の金融商品と異なり、流動性(換金性)が低いため、必然的に中長期での家賃収入に着目した投資となります。したがって投資したお金(元本)は長期にわたって取り崩せない、いわば眠ったお金になるということを念頭に置く必要があります。そのお金を眠らせる見返りとして定期的に家賃収入を得るのです。
したがって預貯金をはじめとする自分の金融資産の中から「いざという時のために必要となるであろう資金」を確保した上で不動産投資に充てる、言い換えると「長期に眠らせてもいい金額の目安」をつける必要があります。
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流動性重視 |
(いざという時にいつでも換金可能な資産)預貯金や株式、債券、投資信託など
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収益性重視 |
(中長期にわたって必要のない資金)不動産投資など |
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この流動性の高い資産と不動産のように流動性が低い資産とのバランスは、年齢や、家族構成、目的によって個々に異なります。 |
不動産投資における資金計画と投資ターゲットのイメージをもつ
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不動産投資に充てられる資金がどれくらいあるのかによって、不動産投資において求めるべき利回りのターゲットが異なってきます。
全額自己資金によって不動産投資をする場合と異なり、購入資金の一部または全部を借入金で賄おうと考えている場合は、借入れ金利や返済方法と不動産投資によって得られるであろう利回りとのバランスを考えなければ、不動産投資によって得られるキャッシュフローが大きく異なり、場合によっては毎月のキャッシュフローがマイナスになることもありますので注意が必要です。
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●元利均等返済による金利と実質の元利金返済率(1000万円を借入れた場合) |
金利 |
返済期間 |
年間返済総額(元金利) |
実質返済率 |
2% |
20年 |
607,080円 |
6.07% |
3% |
20年 |
665,520円 |
6.65% |
4% |
20年 |
727,200円 |
7.27% |
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上記のように元利均等返済の場合、月々の返済額は元金と金利が含まれるので、実際の適用金利よりも借入金に対する実際のキャッシュアウト、返済率は当然のことながら大きくなります。したがって不動産投資資金のほとんどを借入金により調達しようと考えた場合は、実質の返済率以上の不動産の利回りを確保しなければ、月々のキャッシュフローはマイナスになってしまいます。
例えば3%の金利で1000万円の不動産を全額借入金で投資する場合は、不動産から得られる家賃収入から経費を差し引いた実質の利回りが6.65%以上でなければ、収入どころか毎月資金の持ち出しが必要となってしまいます。仮に実質の利回りが6.65%以上得られたとしても、空室が出た場合や、修繕などの臨時の支出が発生した場合は、すぐにキャッシュフローがマイナスになってしまいます。加えて、不動産所得にかかる税金等を考えると、より高い利回りを求める必要があります。
このことから、ほぼ全額を借入金により不動産投資をする場合、より高い利回りの不動産に投資しなければ、収入から支出を差し引いたプラスのキャッシュフローを得ることができません。
当然のことながら、不動産投資により月々の収入金額を多く得ようとする場合は、自己資金を少しでも多く投じる必要があります。
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●自己資金と借入金の比率から求める不動産投資利回り
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(元利均等返済、固定金利) (借入金を活用してキャッシュフローをプラスにする為の目標利回り)
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金利 |
返済期間 |
借入金の割合 |
購入(投資)金額に対する 元利金の年間返済率 |
2% |
20年 |
100% |
6.07% |
80% |
4.85% |
50% |
3.03% |
3% |
20年 |
100% |
6.65% |
80% |
5.32% |
50% |
3.32% |
4% |
20年 |
100% |
7.27% |
80% |
5.81% |
50% |
3.63% |
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上記の表は借入金と自己資金の割合と不動産投資金額に対する元利金の年間返済額の割合です。表の「購入(投資)金額に対する元利金の年間返済率」=「借入金を活用してキャッシュフローをプラスにする為の目標利回り」となります。
例えば金利3%、元利金等返済、返済期間20年の条件で不動産投資額の50%を借入金で調達しようとする場合、その不動産から得られる経費差し引き後の利回りは3.32%以上なければ月々のキャッシュフローがマイナスになってしまいます。
このように自己資金と借入金のバランスによって、自ずとターゲットとする物件の利回りがイメージできます。 |

自己資本に対する投資利回りという尺度で考える
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不動産の利回りは一般的に不動産価格に対する収入の割合を示しています。このほかに、借入金を活用する場合、自己資金に対する収入の割合を示す指標があります。これを投下資本利益率ROI(Return On Investment)と呼びます。借入金を上手に活用することによって、実際の利回りよりも自己資金に対する収入の割合を上げることが可能となります。
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●不動産投資における利回りと借入金を活用した投下資本利益率のケーススタディ |
資金調達方法 |
不動産価格 |
年間家賃収入 |
年間借入金 返済額 |
年間収支 |
自己資金に 対する利回り |
全額自己資金 |
50,000,000円 |
4,000,000円 |
0円 |
4,000,000円 |
8.00% |
自己資金 |
10,000,000円 |
4,000,000円 |
2,662,080円 |
1,337,920円 |
13.38% |
借入金 |
40,000,000円 |
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※金利3%固定、20年返済の場合
上記のケーススタディは借入金を上手に活用して自己資金に対する投資効率があがる事例です。物件価格は5000万円ですが、見方を変えると1000万円で約137万円の収入を得ていることになります。この場合の自己資金に対する利回りは13.38%と上昇します。借入れ金利が低く、不動産から得られる利回りが高い場合に大きな効果を発揮します。これを不動産の借入金を活用したレバレッジ効果(てこの原理)とよびます。しかし、金利が上昇したり不動産から得られる収入が低下した場合は一気に効果がなくなってしまうので慎重に検討する必要があります。 |

今回は不動産投資を検討する際に、おさえておかなければいけない投資計画、資金計画についてお話いたしました。借入金を上手に活用して投資効率を高められる可能性もありますが、すべてが計算どおりにいくとは限りません。不動産投資は中長期の投資です。金利情勢を把握し、不動産特有のリスクを十分に考慮したうえで投資しなければ損失をこうむる危険性を含んでいるということを忘れないでください。