これまで不動産投資における調査段階でのチェックポイントについて説明してきましたが、今回は物件の調査を終了し、購入の意思決定から契約の前段階までの流れ、手続きにおけるチェックポイントについてご説明いたします。
意思決定から購入までの流れ![]() |
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物件の調査を完了し、購入の意思決定から実際に取得するまでの流れは以下のようになります。![]() |
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●チェックポイント![]() |
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![]() 全額自己資金で購入する場合は、契約と同時に売買代金の全額を支払い、物件の引渡しを受けたのち、すぐに運用を開始することが可能ですが、購入資金の一部に借入金を活用する場合などは、金融機関の融資の本審査から融資実行、物件の引渡しまで、通常1ヶ月程度要します。 |

購入申し込み |

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![]() またその際に、売主の売却希望金額より少しでも安く購入したい場合などは、その購入希望額を記載して、価格交渉をします。これを不動産業界では「指値(さしね)」と呼びます。 購入申込書はあくまで購入の意思表示を相手方に書面で通知したに過ぎず、特にこの書面によって売主、買主ともに拘束されることはありません。したがって申込書提出後、購入の意思表示を撤回しても、相手方から損害賠償を請求されるなどという問題は一切ありません。いわば「購入申込書」は購入の意思表示を伝え、売主との交渉のテーブルにつくという意味合いが強いのです。 しかしながら、購入意思があいまいな状態で、購入申込書を提出することは、よくありませんので、法的な拘束力をもたないにしても、十分検討したうえで購入申し込みをすべきです。 ![]() |
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重要事項説明を受ける![]() |
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![]() 物件の売主が不動産業者の場合や、物件の仲介者が不動産業者の場合は宅地建物取引業法という不動産会社を規制する法律によって、売買契約締結前に買主に対し、取引する物件の「重要事項に関する説明」を書面をもって宅地建物取引主任者がしなければいけないことになっています。「重要事項の説明書」には以下の内容が記載されています。 ![]() |
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![]() 不動産は高額な商品であり、権利関係や法規制が複雑多岐にわたっておりますので、物件の法規制、建物を新築する場合、建替えする場合の法規制や引き継がねばならない権利関係、その他、その物件がもっている特性など、きちんと納得するまで説明を受ける必要があります。 重要事項の説明を受けて納得いかない部分があれば、契約を延期したり、取りやめにしても止むを得ないでしょう。したがってこの重要事項の説明は契約締結と同日ではなく、事前に説明を受け、納得した上で契約日を設定することが望ましいと言えます。 |

売買契約の締結![]() |
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重要事項の説明を受け、納得したのちに売買契約の締結となります。 売買契約はその物件の売買に関する約束事を記載した書面に売主、買主が記名押印して成立します。 不動産の売買契約書には以下の内容を記さなければなりません。 ![]() |
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●契約書に記載すべき事項(主なもの)![]() |
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![]() また、契約書に記載した事項が守られない場合、契約違反となり、違約金や損害賠償を払わなければいけない場合もあります。 したがって契約内容は十分に吟味し、不安な要素がある場合は契約書の条文を追加、修正して契約に関する自身のリスクを回避する必要が出てきます。 |

今回は購入の意思決定から契約締結までの流れを解説しました。不動産は非常に高額な投資であり、権利関係や法規制も複雑多岐にわたっております。また、一旦契約書に調印したら簡単に取り消しや解除はできません。
したがってプロのアドバイスは当然のことですが、自分自身も不動産に関する基礎知識を習得することが、失敗しない不動産投資の基本となります。次回はケースに基づいた契約内容の解説をしたいと思います。
略歴
- 昭和44年
- 青森県出身
- 平成6年
- 公認会計士・税理士、山田淳一郎事務所(現税理士法人山田&パートナーズ)入所後、グループ会社である株式会社ユーマック(現TFP不動産コンサルティング)に出向。
おもに土地資産家に対する相続対策、底地借地の権利調整、物納、不動産投資、収用に伴う行政との交渉、買換え、土地活用、空室相談、固定資産税の軽減など、土地資産家の持つ、ありとあらゆる問題解決のコンサルティングを行う。また日本特有の借地、底地の問題に着目し、底地専門に投資する私募ファンドの組成に携わり、ファンドマネージャーの一員として1年間に13%の高配当を実現。 コンサルティング業務の傍ら、中立公正な不動産知識情報を配信するサイト「ホームナレッジ」を作成、運営し、コンテンツの内容が評価され多くのポータルサイトにコンテンツを提供する。 実務経験を生かし、FPの講師や金融機関・不動産会社などに対するコンサルティングセミナーや勉強会を数多くこなした。 平成14年同社取締役就任、平成16年8月同社退社平成16年11月ナレッジバンク株式会社を設立、代表取締役に就任
講演
りそな銀行、埼玉りそな銀行、三井住友銀行、野村證券、いちよし証券、東京海上火災保険、積水ハウス、兵庫県宅建協会、日税不動産、NPO法人日本地主家主協会 など
著書
大和證券資産管理読本、税会計法務の羅針盤(大蔵財務協会)共著、FPマニュアル96~98年(きんざい)共著 など
不動産投資の気になるTOPICS |
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