毎年10月は、健康保険組合連合会が定める「健康強調月間」です。健康意識の向上による生活習慣病の予防や、ヘルスリテラシーの向上による健康寿命の延伸などを目指すさまざまな活動が行われます。

人生100年時代と言われる日本において、平均寿命だけでなく「健康寿命」への意識は非常に重要になっています。
投資といえば本来資産形成を意味するものですが、この記事では投資に絡めて「健康投資」について考えてみませんか? 正しい理解と正しい予防で「健康資産」を築きましょう。

日本の平均寿命と健康寿命~基礎知識~

健康寿命とは?

厚生労働省の資料では、健康寿命とは「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」とされています。
(※参考:厚生労働省「e-ヘルスネット 平均寿命と健康寿命」

つまり「健康寿命」とは、介護を受けたり人の助けを必要とせずに、食事・入浴などの基本的な生活を1人で自立して送ることができ、健康でいられる期間のことです。

2000年にWHO(世界保健機関)が提唱したもので、以来寿命を延ばすことだけでなく、いかに健康的に暮らせる期間を延ばすかが重要視されるようになりました。

不健康寿命とは?

一方不健康寿命とは、平均寿命から健康寿命を差し引いた期間のこと。つまり寝たきりや認知症などによって介護を必要とする「日常生活に制限を受けてしまう不健康な期間」を指します。

厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)によると、2019年時点の日本の不健康寿命は男性平均8.73年、女性平均12.06年です。
年々縮小されてはいるものの、欧米と比べて日本の不健康寿命は長いといわれています。

厚生労働省「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」では「『不健康割合』を2016年と比較して2040年には男性は0.84倍、女性は0.88倍程度(全年齢階級において)まで減少させる必要がある」と提案されています。
(※参考:厚生労働省「e-ヘルスネット 健康寿命のあり方に関する有識者研究会報告書」

日本の平均寿命と健康寿命最新データ


厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)

日本の平均寿命と健康寿命は、どちらも年々上昇していることが分かります。

厚生労働省「健康寿命のあり方に関する有識者研究会」では「2016年から2040年までに健康寿命を3年以上延ばす」という目標が提案されています。
(※参考:厚生労働省「e-ヘルスネット 健康寿命のあり方に関する有識者研究会報告書」

健康寿命の増加分が平均寿命の増加分を上回る


厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)

上記の数値は、2010年から2019年の推移を表したものです。「平均寿命の増加分を健康寿命の増加分が上回る」という目標を男女ともに達成していることが分かります。

健康寿命の増加と不健康寿命の低下


厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)

先述のとおり、平均寿命と健康寿命の差が不健康寿命です。
平均寿命の増加分を健康寿命の増加分が上回るという前項のデータからも分かるとおり、2010年からの10年間で不健康寿命が短縮されていることが示されています。

具体的な不健康寿命の数値の変化は以下のとおりです。

厚生労働省「健康寿命の令和元年値について」(2021年12月)

今後の日本の平均寿命の見通し

厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」によると、日本の平均寿命は今後さらに延びていくと予想されています。

【平均寿命】

2019年2040年
男性81.41歳83.27歳
女性87.45歳89.63歳

【その年の65歳の人の生存確率】

2019年2040年
90歳まで男性36%42%
女性62%68%
100歳まで男性4%6%
女性16%20%

厚生労働省「令和2年版 厚生労働白書」

平均寿命が延びたとしても、不健康期間が延びることになれば医療費や介護費が増え、家計の負担が増えることに……。まさに人生100年時代が迫っているなか、健康寿命を延ばす意識を持つことがより重要になっていくでしょう。

健康寿命を延ばすために行いたい「健康投資」5選

健康投資とは、将来の健康的な生活のために今からできることに取り組むこと。お金をかけることだけでなく、時間や労力をかけることも「健康投資」の一つです。どのようなことを意識したらよいのか、5つのポイントに絞ってみていきましょう。

適度な運動

適度な運動は健康的な生活には欠かせません。

厚生労働省「健康日本21(身体活動・運動)」の中で、身体活動量の多い人、運動量の多い人の方が、死亡率や肥満、高血圧、糖尿病などの罹患率が低いことが認められています。身体活動量の増加と生活習慣病の予防効果は比例するといえるでしょう。
高齢者においても、歩行などの日常的な活動が寝たきりや死亡率を減少させる効果があることが分かっています。

お金をかけてジムやヨガスタジオに通って運動することも一つの方法ですが、お金をかけなくてもできることはたくさんあります。「なるべく階段を使う」「1つ手前の駅から歩く」「毎日散歩して5,000歩は歩く」など身近なことから始めてみるとよいでしょう。
外に出ることで日光を浴びると、ビタミンDが活性化し丈夫な骨や歯をつくることにもつながります。

日常の中で意識的に運動を取り入れ、それを習慣化することが大切です。

健康的な食事

バランスのよい健康的な食事として意識したいポイントをまとめました。

・三食バランスよく食べる
・主食、タンパク質、野菜のバランスを整える
・塩分を控える
・食物繊維を意識して取る
・各々の性別や体格によって適切な一日の必要摂取量を知り、カロリーを取りすぎない
・脂質の取りすぎに注意
・さまざまな種類の食材を取り入れる(好き嫌いや偏りを防ぐ)
など

健康的なバランスのよい食事は、適正体重のキープにもつながります。
体重の増加、太りすぎは生活習慣病など病気のリスクを高めるため、注意しましょう。

規則正しい生活

規則正しい生活とは、できるだけ毎日同じような時間に「起床」「朝食」「昼食」「夕飯」「就寝」を行うことを指します。同じリズムの生活を繰り返すのが理想です。

・休日だけ睡眠時間が長く、昼ごろまで寝ている……
・朝ごはんを食べない日がある……
などは体内時計を狂わせる原因となります。
睡眠の質が下がったり、肥満の原因になったりすることもあるので注意しましょう。

朝起きて太陽を浴びると体内時計がリセットされ、昼は活動的に、夜はしっかり眠るリズムがつくられます。また朝食は脳のエネルギーにもなる重要な食事ですので、なるべく抜かないようにするとよいでしょう。

定期的な健診や人間ドック、がん検診の受診

自分の体の状態を知ること、病気の早期発見のためには、定期的に健康診断を受けることが重要です。

厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査 Ⅲ世帯員の健康状況」によると、20歳以上の男性74.0%、女性65.6%が1年以内に健診や人間ドックを受診していることが分かっています。
一方で、がん検診の受診割合を見ると、いまだ半数程度にとどまっているようです。


厚生労働省「2019年 国民生活基礎調査 Ⅲ世帯員の健康状況」

雇用されている人の場合、会社負担で受けられるケースも多いですが、そうでない場合は自己負担となるため、なかなか受診する機会がない人もいるでしょう。
たしかに費用はかかりますが、病気の予防や早期発見ができれば、将来的にかかる医療費を削減することにもつながります。各自治体から出ている助成金や無料の健診なども活用して、積極的に受診するようにしましょう。

気になる症状があれば早めに適切な医療を受ける

気になる症状があっても「これくらいなら大丈夫」と自己判断で先延ばしにすると、後々治療が手遅れになり、健康寿命を縮めることも……。
健診や人間ドックと同様、一時的に費用はかかるかもしれませんが、病気の早期発見・早期治療によって健康寿命を延ばしたり、将来的な医療費の削減につながったりする可能性があります。

自分の体に気になることがあれば、できるだけ早めに医療機関を受診するよう心がけましょう。

まとめ

健康投資はすぐに結果が分かるものではないため、取り組むモチベーションにつながりにくいかもしれません。しかし健康を損なうような病気が分かってからでは、手遅れになる可能性があります。
人生100年時代、ただ長生きするだけではなく「健康的に」長生きすることを目指したいもの。将来のQOLを上げるためにも、ぜひ積極的にさまざまな面での健康投資を考えてみましょう。

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